佐々木味津三
1896.03.18 〜 1934.02.06
“佐々木味津三”に特徴的な語句
匕首
駒
憚
喃
詮議
眼
風情
駕籠
女子
面
公卿
嫌疑
犇
仰有
数珠
莞爾
死骸
曲輪
笑
烱々
対
鳶頭
頤
吹聴
不埓
集
乍
檀家
啖呵
龕燈
和尚
花魁
怕
気色
入水
卍
印籠
大切
女将
如何
刃
平
忍
悶絶
懲
間
佇
相撲
褥
面
著者としての作品一覧
右門捕物帖:01 南蛮幽霊(新字新仮名)
読書目安時間:約37分
切支丹騒動として有名なあの島原の乱——肥前の天草で天草四郎たち天主教徒の一味が起こした騒動ですから一名天草の乱ともいいますが、その島原の乱は騒動の性質が普通のとは違っていたので、起 …
読書目安時間:約37分
切支丹騒動として有名なあの島原の乱——肥前の天草で天草四郎たち天主教徒の一味が起こした騒動ですから一名天草の乱ともいいますが、その島原の乱は騒動の性質が普通のとは違っていたので、起 …
右門捕物帖:02 生首の進物(新字新仮名)
読書目安時間:約44分
——むっつり右門第二番てがらです。 前回の南蛮幽霊騒動において、事のあらましをお話ししましたとおり、天下無類の黙り虫の変わり者にかかわらず、おどろくべき才腕を現わして、一世を驚倒さ …
読書目安時間:約44分
——むっつり右門第二番てがらです。 前回の南蛮幽霊騒動において、事のあらましをお話ししましたとおり、天下無類の黙り虫の変わり者にかかわらず、おどろくべき才腕を現わして、一世を驚倒さ …
右門捕物帖:03 血染めの手形(新字新仮名)
読書目安時間:約53分
——今回は第三番てがらです。 しかし、今回の三番てがらは、前回と同様捕物怪異談は怪異談でございますが、少々ばかり方角が変わりまして、場所はおひざもとの江戸でなく、武州忍のご城下に移 …
読書目安時間:約53分
——今回は第三番てがらです。 しかし、今回の三番てがらは、前回と同様捕物怪異談は怪異談でございますが、少々ばかり方角が変わりまして、場所はおひざもとの江戸でなく、武州忍のご城下に移 …
右門捕物帖:04 青眉の女(新字新仮名)
読書目安時間:約45分
——その第四番てがらです。 すでにもうご承知のごとく、われわれの親愛なる人気役者は、あれほどの美丈夫でありながら、女のことになると、むしろ憎いほどにも情がこわくて、前回の忍の城下の …
読書目安時間:約45分
——その第四番てがらです。 すでにもうご承知のごとく、われわれの親愛なる人気役者は、あれほどの美丈夫でありながら、女のことになると、むしろ憎いほどにも情がこわくて、前回の忍の城下の …
右門捕物帖:05 笛の秘密(新字新仮名)
読書目安時間:約44分
——今回はその五番てがらです。 事の起こりましたのは山王権現、俗に山王さんといわれているあのお祭りのさいちゅうでした。 ご存じのごとく、山王さんのお祭りは、江戸三社祭りと称せられて …
読書目安時間:約44分
——今回はその五番てがらです。 事の起こりましたのは山王権現、俗に山王さんといわれているあのお祭りのさいちゅうでした。 ご存じのごとく、山王さんのお祭りは、江戸三社祭りと称せられて …
右門捕物帖:06 なぞの八卦見(新字新仮名)
読書目安時間:約46分
今回はその第六番てがらです。 事件の端を発しましたのは、前回のにせ金事件がめでたく大団円となりましてから約半月ほどたってからのことでしたが、半月のちといえばもちろんもう月は変わって …
読書目安時間:約46分
今回はその第六番てがらです。 事件の端を発しましたのは、前回のにせ金事件がめでたく大団円となりましてから約半月ほどたってからのことでしたが、半月のちといえばもちろんもう月は変わって …
右門捕物帖:07 村正騒動(新字新仮名)
読書目安時間:約38分
——今回はいよいよ第七番てがらです。 由来、七の数は、七化け、七不思議、七たたりなどと称して、あまり気味のよくないほうに縁が多いようですが、しかし右門のこの七番てがらばかりは、いた …
読書目安時間:約38分
——今回はいよいよ第七番てがらです。 由来、七の数は、七化け、七不思議、七たたりなどと称して、あまり気味のよくないほうに縁が多いようですが、しかし右門のこの七番てがらばかりは、いた …
右門捕物帖:08 卍のいれずみ(新字新仮名)
読書目安時間:約56分
——今回は第八番てがらです。 それがまた因縁とでも申しますか、この八番てがらにおいても、右門はまたまたあの同僚のあばたの敬四郎とひきつづき第三回めの功名争いをすることになりましたが …
読書目安時間:約56分
——今回は第八番てがらです。 それがまた因縁とでも申しますか、この八番てがらにおいても、右門はまたまたあの同僚のあばたの敬四郎とひきつづき第三回めの功名争いをすることになりましたが …
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女(新字新仮名)
読書目安時間:約44分
——今回はいよいよ第九番てがらです。 それがまた妙なひっかかりで右門がこの事件に手を染めることとなり、ひきつづいてさらに今回のごとき賛嘆すべきてがらを重ねることになりましたが、事の …
読書目安時間:約44分
——今回はいよいよ第九番てがらです。 それがまた妙なひっかかりで右門がこの事件に手を染めることとなり、ひきつづいてさらに今回のごとき賛嘆すべきてがらを重ねることになりましたが、事の …
右門捕物帖:10 耳のない浪人(新字新仮名)
読書目安時間:約41分
——今回は第十番てがらです。 ところが、少しこの十番てがらが、右門の捕物中でも変わり種のほうで、前回にご紹介いたしました九番てがらの場合のごとく、抜くぞ抜くぞと見せかけてなお抜かな …
読書目安時間:約41分
——今回は第十番てがらです。 ところが、少しこの十番てがらが、右門の捕物中でも変わり種のほうで、前回にご紹介いたしました九番てがらの場合のごとく、抜くぞ抜くぞと見せかけてなお抜かな …
右門捕物帖:11 身代わり花嫁(新字新仮名)
読書目安時間:約46分
——ひきつづき第十一番てがらに移ります。 事の勃発いたしましたのは師走の月ずえ。今までもしばしば申し上げたように、当今とは一カ月おくれの太陰暦ですから、師走は師走であっても、ずっと …
読書目安時間:約46分
——ひきつづき第十一番てがらに移ります。 事の勃発いたしましたのは師走の月ずえ。今までもしばしば申し上げたように、当今とは一カ月おくれの太陰暦ですから、師走は師走であっても、ずっと …
右門捕物帖:12 毒色のくちびる(新字新仮名)
読書目安時間:約52分
——ひきつづき第十二番てがらにうつります。 事の勃発いたしましたのは、前回の身代わり花嫁騒動が、いつもながらのあざやかな右門の手さばきによってあのとおりな八方円満の解決を遂げてから …
読書目安時間:約52分
——ひきつづき第十二番てがらにうつります。 事の勃発いたしましたのは、前回の身代わり花嫁騒動が、いつもながらのあざやかな右門の手さばきによってあのとおりな八方円満の解決を遂げてから …
右門捕物帖:13 足のある幽霊(新字新仮名)
読書目安時間:約50分
——今回は第十三番てがらです。 それがまた妙なもので、あとを引くと申しますのか、それともこういうのがまえの世からの約束ごととでも申しますのか、この十三番てがらにおいて、ひきつづき、 …
読書目安時間:約50分
——今回は第十三番てがらです。 それがまた妙なもので、あとを引くと申しますのか、それともこういうのがまえの世からの約束ごととでも申しますのか、この十三番てがらにおいて、ひきつづき、 …
右門捕物帖:14 曲芸三人娘(新字新仮名)
読書目安時間:約42分
——だんだんと回数を重ねまして、名人の捕物帳もいよいよ今回は第十四番てがらとなりましたが、目のあるところには珠が寄るのたとえで、ご番所のご記録帳によりますと、なんとも愉快千万なこと …
読書目安時間:約42分
——だんだんと回数を重ねまして、名人の捕物帳もいよいよ今回は第十四番てがらとなりましたが、目のあるところには珠が寄るのたとえで、ご番所のご記録帳によりますと、なんとも愉快千万なこと …
右門捕物帖:15 京人形大尽(新字新仮名)
読書目安時間:約55分
——前章の化け右門事件で、名人右門の幕下に、新しく善光寺辰なる配下が一枚わき役として加わり、名人、伝六、善光寺辰と、およそ古今に類のない変人ぞろいの捕物陣を敷きまして、いと痛快至極 …
読書目安時間:約55分
——前章の化け右門事件で、名人右門の幕下に、新しく善光寺辰なる配下が一枚わき役として加わり、名人、伝六、善光寺辰と、およそ古今に類のない変人ぞろいの捕物陣を敷きまして、いと痛快至極 …
右門捕物帖:16 七化け役者(新字新仮名)
読書目安時間:約43分
——ひきつづき第十六番てがらにうつります。 事件の勃発いたしましたのは、五月のちょうど晦日。場所は江戸第一の関門である品川の宿、当今の品川はやけにほこりっぽいばかりで、さざえのつぼ …
読書目安時間:約43分
——ひきつづき第十六番てがらにうつります。 事件の勃発いたしましたのは、五月のちょうど晦日。場所は江戸第一の関門である品川の宿、当今の品川はやけにほこりっぽいばかりで、さざえのつぼ …
右門捕物帖:17 へび使い小町(新字新仮名)
読書目安時間:約45分
——ひきつづき第十七番てがらに移ります。 前回の七化け騒動がそもそも端を発しましたところは品川でしたが、今回はその反対の両国河岸。しかも、事件の勃発した日がまたえりにえって七月の七 …
読書目安時間:約45分
——ひきつづき第十七番てがらに移ります。 前回の七化け騒動がそもそも端を発しましたところは品川でしたが、今回はその反対の両国河岸。しかも、事件の勃発した日がまたえりにえって七月の七 …
右門捕物帖:18 明月一夜騒動(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
右門捕物第十八番てがらです。 事の勃発いたしましたのは九月中旬。正確に申しますると、十三日のことでしたが、ご存じのごとくこの日は、俗に豆名月と称するお十三夜のお月見当夜です。ものの …
読書目安時間:約29分
右門捕物第十八番てがらです。 事の勃発いたしましたのは九月中旬。正確に申しますると、十三日のことでしたが、ご存じのごとくこの日は、俗に豆名月と称するお十三夜のお月見当夜です。ものの …
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫(新字新仮名)
読書目安時間:約46分
——このたびはその第十九番てがら。 前回の名月騒動が、あのとおりあっけなさすぎるほどぞうさなくかたづきましたので、その埋め合わせというわけでもありますまいが、事の端を発しましたのは …
読書目安時間:約46分
——このたびはその第十九番てがら。 前回の名月騒動が、あのとおりあっけなさすぎるほどぞうさなくかたづきましたので、その埋め合わせというわけでもありますまいが、事の端を発しましたのは …
右門捕物帖:20 千柿の鍔(新字新仮名)
読書目安時間:約40分
その第二十番てがらです。 事の端を発しましたのは、ずっと間をおいて十一月下旬。奇態なもので、寒くなると決まってこがらしが吹く。寒いときに吹く風なんだから、こがらしが吹いたとてなんの …
読書目安時間:約40分
その第二十番てがらです。 事の端を発しましたのは、ずっと間をおいて十一月下旬。奇態なもので、寒くなると決まってこがらしが吹く。寒いときに吹く風なんだから、こがらしが吹いたとてなんの …
右門捕物帖:21 妻恋坂の怪(新字新仮名)
読書目安時間:約46分
——その第二十一番てがらです。 事件の起きたのは、年を越して、それも松の内の二日。 「めでたさも中ぐらいなりおらが春」——というのが俳諧寺一茶の句にありますが、中ぐらいでも、下の下 …
読書目安時間:約46分
——その第二十一番てがらです。 事件の起きたのは、年を越して、それも松の内の二日。 「めでたさも中ぐらいなりおらが春」——というのが俳諧寺一茶の句にありますが、中ぐらいでも、下の下 …
右門捕物帖:22 因縁の女夫雛(新字新仮名)
読書目安時間:約46分
——その第二十二番てがらです。 場所は少しく飛んで、いわゆる江戸八宿のうちの一つの新宿。竹にすずめは仙台侯、内藤様は下がり藤、と俗謡にまでうたわれたその内藤駿河守の広大もないお下屋 …
読書目安時間:約46分
——その第二十二番てがらです。 場所は少しく飛んで、いわゆる江戸八宿のうちの一つの新宿。竹にすずめは仙台侯、内藤様は下がり藤、と俗謡にまでうたわれたその内藤駿河守の広大もないお下屋 …
右門捕物帖:23 幽霊水(新字新仮名)
読書目安時間:約44分
その二十三番てがらです。 時は真夏。それもお盆のまえです。なにしろ暑い。旧暦だからちょうど土用さなかです。だから、なおさら暑い。 「べらぼうめ、心がけが違うんだ、心がけがな。おいら …
読書目安時間:約44分
その二十三番てがらです。 時は真夏。それもお盆のまえです。なにしろ暑い。旧暦だからちょうど土用さなかです。だから、なおさら暑い。 「べらぼうめ、心がけが違うんだ、心がけがな。おいら …
右門捕物帖:24 のろいのわら人形(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間6分
——その第二十四番てがらです。 時は八月初旬。むろん旧暦ですから今の九月ですが、宵々ごとにそろそろと虫が鳴きだして、一年十二カ月を通じ、この月ぐらい人の世が心細く、天地蕭条として死 …
読書目安時間:約1時間6分
——その第二十四番てがらです。 時は八月初旬。むろん旧暦ですから今の九月ですが、宵々ごとにそろそろと虫が鳴きだして、一年十二カ月を通じ、この月ぐらい人の世が心細く、天地蕭条として死 …
右門捕物帖:25 卒塔婆を祭った米びつ(新字新仮名)
読書目安時間:約53分
その第二十五番てがらです。 事の起きたのは仲秋上浣。 鳶ノ巣山初陣を自慢の大久保彦左があとにも先にもたった一度詠んだという句に、 「おれまでが朝寝をしたわい月の宿」 という珍奇無双 …
読書目安時間:約53分
その第二十五番てがらです。 事の起きたのは仲秋上浣。 鳶ノ巣山初陣を自慢の大久保彦左があとにも先にもたった一度詠んだという句に、 「おれまでが朝寝をしたわい月の宿」 という珍奇無双 …
右門捕物帖:26 七七の橙(新字新仮名)
読書目安時間:約52分
その第二十六番てがらです。 物語の起きたのは年改まった正月のそうそう。それも七草がゆのその七日の朝でした。起きても御慶、寝ても御慶の三カ日はとうにすぎたが、なにしろまだめでたいし、 …
読書目安時間:約52分
その第二十六番てがらです。 物語の起きたのは年改まった正月のそうそう。それも七草がゆのその七日の朝でした。起きても御慶、寝ても御慶の三カ日はとうにすぎたが、なにしろまだめでたいし、 …
右門捕物帖:27 献上博多人形(新字新仮名)
読書目安時間:約50分
——その第二十七番てがらです。 場所は芝。事の起きたのは、お正月も末の二十四日でした。風流人が江戸雪といったあの雪です。舞いだしたとなると、鉄火というか、伝法というか、雪までがたい …
読書目安時間:約50分
——その第二十七番てがらです。 場所は芝。事の起きたのは、お正月も末の二十四日でした。風流人が江戸雪といったあの雪です。舞いだしたとなると、鉄火というか、伝法というか、雪までがたい …
右門捕物帖:28 お蘭しごきの秘密(新字新仮名)
読書目安時間:約47分
——その第二十八番てがらです。 「一ツ、三月十二日。チクショウメ、ふざけたまねをしやがる。女ノ女郎めが、不忍弁天サマ裏ニテ、お参リノ途中、腰ニ結ンデおったる、シゴキを盗み取られたと …
読書目安時間:約47分
——その第二十八番てがらです。 「一ツ、三月十二日。チクショウメ、ふざけたまねをしやがる。女ノ女郎めが、不忍弁天サマ裏ニテ、お参リノ途中、腰ニ結ンデおったる、シゴキを盗み取られたと …
右門捕物帖:29 開運女人地蔵(新字新仮名)
読書目安時間:約45分
その第二十九番てがらです……。 事の起きたのは四月初め。——もう春も深い。 小唄にも、浮かれ浮かれて大川を、下る猪牙船影淡く、水にうつろうえり足は、紅の色香もなんじゃやら、エエまあ …
読書目安時間:約45分
その第二十九番てがらです……。 事の起きたのは四月初め。——もう春も深い。 小唄にも、浮かれ浮かれて大川を、下る猪牙船影淡く、水にうつろうえり足は、紅の色香もなんじゃやら、エエまあ …
右門捕物帖:30 闇男(新字新仮名)
読書目安時間:約39分
——その第三十番てがらです。 事の起きたのは新緑半ばの五月初め。 さみだれにかわずのおよぐ戸口かな、という句があるが、これがさみだれを通り越してつゆになったとなると、かわずが戸口に …
読書目安時間:約39分
——その第三十番てがらです。 事の起きたのは新緑半ばの五月初め。 さみだれにかわずのおよぐ戸口かな、という句があるが、これがさみだれを通り越してつゆになったとなると、かわずが戸口に …
右門捕物帖:31 毒を抱く女(新字新仮名)
読書目安時間:約41分
その三十一番です。 江戸城、内濠の牛ガ淵。——名からしてあんまり気味のいい名まえではない。半蔵門から左へつづいたあの一帯が、今もその名の伝わる牛ガ淵ですが、むかしはあれを隠し井の淵 …
読書目安時間:約41分
その三十一番です。 江戸城、内濠の牛ガ淵。——名からしてあんまり気味のいい名まえではない。半蔵門から左へつづいたあの一帯が、今もその名の伝わる牛ガ淵ですが、むかしはあれを隠し井の淵 …
右門捕物帖:32 朱彫りの花嫁(新字新仮名)
読書目安時間:約46分
その第三十二番てがらです。 ザアッ——と、刷毛ではいたようなにわか雨でした。空も川も一面がしぶきにけむって、そのしぶきが波をうちながら、はやてのように空から空へ走っていくのです。 …
読書目安時間:約46分
その第三十二番てがらです。 ザアッ——と、刷毛ではいたようなにわか雨でした。空も川も一面がしぶきにけむって、そのしぶきが波をうちながら、はやてのように空から空へ走っていくのです。 …
右門捕物帖:33 死人ぶろ(新字新仮名)
読書目安時間:約42分
その第三十三番てがらです。 朝ごとに江戸は深い霧でした……。 これが降りるようになると、秋が近い。秋が近づくと、江戸の町に景物が決まって二つふえる。角兵衛獅子に柳原お馬場の朝げいこ …
読書目安時間:約42分
その第三十三番てがらです。 朝ごとに江戸は深い霧でした……。 これが降りるようになると、秋が近い。秋が近づくと、江戸の町に景物が決まって二つふえる。角兵衛獅子に柳原お馬場の朝げいこ …
右門捕物帖:34 首つり五人男(新字新仮名)
読書目安時間:約53分
その第三十四番てがらです。 事の起きたのは九月初め。 蕭々落莫として、江戸はまったくもう秋でした。 濠ばたの柳からまずその秋がふけそめて、上野、両国、向島、だんだんと秋が江戸にひろ …
読書目安時間:約53分
その第三十四番てがらです。 事の起きたのは九月初め。 蕭々落莫として、江戸はまったくもう秋でした。 濠ばたの柳からまずその秋がふけそめて、上野、両国、向島、だんだんと秋が江戸にひろ …
右門捕物帖:35 左刺しの匕首(新字新仮名)
読書目安時間:約36分
その第三十五番てがらです。 鼻が吹きちぎられるような寒さでした。 まったく、ひととおりの寒さではない。いっそ雪になったらまだましだろうと思われるのに、その雪も降るけしきがないのです …
読書目安時間:約36分
その第三十五番てがらです。 鼻が吹きちぎられるような寒さでした。 まったく、ひととおりの寒さではない。いっそ雪になったらまだましだろうと思われるのに、その雪も降るけしきがないのです …
右門捕物帖:36 子持ちすずり(新字新仮名)
読書目安時間:約38分
その第三十六番てがらです。 事の起きたのは正月中旬、えりにえってまたやぶ入りの十五日でした。 「えへへ……話せるね、まったく。一月万歳、雪やこんこん、ちくしょうめ、降りやがるなと思 …
読書目安時間:約38分
その第三十六番てがらです。 事の起きたのは正月中旬、えりにえってまたやぶ入りの十五日でした。 「えへへ……話せるね、まったく。一月万歳、雪やこんこん、ちくしょうめ、降りやがるなと思 …
右門捕物帖:37 血の降るへや(新字新仮名)
読書目安時間:約46分
その第三十七番てがらです。 二月の末でした。あさごとにぬくみがまして江戸も二月の声をきくと、もう春が近い。 初午に雛市、梅見に天神祭り、二月の行事といえばまずこの四つです。 初午は …
読書目安時間:約46分
その第三十七番てがらです。 二月の末でした。あさごとにぬくみがまして江戸も二月の声をきくと、もう春が近い。 初午に雛市、梅見に天神祭り、二月の行事といえばまずこの四つです。 初午は …
右門捕物帖:38 やまがら美人影絵(新字新仮名)
読書目安時間:約37分
その第三十八番てがらです。 「ご記録係!」 「はッ。控えましてござります」 「ご陪席衆!」 「ただいま……」 「ご苦労でござる」 「ご苦労でござる」 「みなそろいました」 「のこら …
読書目安時間:約37分
その第三十八番てがらです。 「ご記録係!」 「はッ。控えましてござります」 「ご陪席衆!」 「ただいま……」 「ご苦労でござる」 「ご苦労でござる」 「みなそろいました」 「のこら …
十万石の怪談(新字新仮名)
読書目安時間:約28分
燐の火だ! さながらに青白く燃えている燐の火を思わすような月光である。——書院の障子いちめんにその月光が青白くさんさんとふりそそいで、ぞおっと襟首が寒む気立つような夜だった。 そよ …
読書目安時間:約28分
燐の火だ! さながらに青白く燃えている燐の火を思わすような月光である。——書院の障子いちめんにその月光が青白くさんさんとふりそそいで、ぞおっと襟首が寒む気立つような夜だった。 そよ …
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約39分
——時刻は宵の五ツ前。 ——場所は吉原仲之町。 それも江戸の泰平が今絶頂という元禄さ中の仲之町の、ちらりほらりと花の便りが、きのう今日あたりから立ちそめかけた春の宵の五ツ前でしたか …
読書目安時間:約39分
——時刻は宵の五ツ前。 ——場所は吉原仲之町。 それも江戸の泰平が今絶頂という元禄さ中の仲之町の、ちらりほらりと花の便りが、きのう今日あたりから立ちそめかけた春の宵の五ツ前でしたか …
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約33分
——その第二話です。 前話でその面目の片鱗をあらましお話ししておいた通り、なにしろもう退屈男の退屈振りは、殆んど最早今では江戸御免の形でしたから、あの美男小姓霧島京弥奪取事件が、愛 …
読書目安時間:約33分
——その第二話です。 前話でその面目の片鱗をあらましお話ししておいた通り、なにしろもう退屈男の退屈振りは、殆んど最早今では江戸御免の形でしたから、あの美男小姓霧島京弥奪取事件が、愛 …
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
——その第三話です。 江戸年代記に依りますと、丁度この第三話が起きた月——即ち元禄七年の四月に至って、お犬公方と綽名をつけられている時の将軍綱吉の逆上は愈々その極点に達し、妖僧護持 …
読書目安時間:約29分
——その第三話です。 江戸年代記に依りますと、丁度この第三話が起きた月——即ち元禄七年の四月に至って、お犬公方と綽名をつけられている時の将軍綱吉の逆上は愈々その極点に達し、妖僧護持 …
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約49分
その第四話です。 第三話において物語ったごとく、少しばかり人を斬り、それゆえに少し憂欝になって、その場から足のむくまま気の向くままの旅を思い立ち、江戸の町の闇から闇を縫いながら、い …
読書目安時間:約49分
その第四話です。 第三話において物語ったごとく、少しばかり人を斬り、それゆえに少し憂欝になって、その場から足のむくまま気の向くままの旅を思い立ち、江戸の町の闇から闇を縫いながら、い …
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約43分
——その第五話です。 まことにどうも退屈男は、言いようもなく変な男に違いない。折角京までやって来たことであるから、長崎、薩摩とまでは飛ばなくとも、せめて浪華あたりにその姿を現すだろ …
読書目安時間:約43分
——その第五話です。 まことにどうも退屈男は、言いようもなく変な男に違いない。折角京までやって来たことであるから、長崎、薩摩とまでは飛ばなくとも、せめて浪華あたりにその姿を現すだろ …
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約37分
その第六話です。 シャン、シャンと鈴が鳴る……。 どこかでわびしい鈴が鳴る……。 駅路の馬の鈴にちがいない。シャン、シャンとまた鳴った。 わびしくどこかでまた鳴った。だが、姿はない …
読書目安時間:約37分
その第六話です。 シャン、シャンと鈴が鳴る……。 どこかでわびしい鈴が鳴る……。 駅路の馬の鈴にちがいない。シャン、シャンとまた鳴った。 わびしくどこかでまた鳴った。だが、姿はない …
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約40分
——第七話です 三十五反の帆を張りあげて行く仙台石の巻とは、必ずしも唄空事の誇張ではない。ここはその磯節にまでも歌詞滑らかに豪勢さを謳われた、関東百三十八大名の旗頭、奥羽五十四郡を …
読書目安時間:約40分
——第七話です 三十五反の帆を張りあげて行く仙台石の巻とは、必ずしも唄空事の誇張ではない。ここはその磯節にまでも歌詞滑らかに豪勢さを謳われた、関東百三十八大名の旗頭、奥羽五十四郡を …
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約53分
——その第八話です。 現れたところは日光。 それにしても全くこんな捉まえどころのない男というものは沢山ない。まるで煙のような男です。仙台から日光と言えば、江戸への道順は道順であるか …
読書目安時間:約53分
——その第八話です。 現れたところは日光。 それにしても全くこんな捉まえどころのない男というものは沢山ない。まるで煙のような男です。仙台から日光と言えば、江戸への道順は道順であるか …
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約40分
——その第九話です。 とうとう江戸へ帰りました。絲の切れた凧のような男のことであるから、一旦退屈の虫が萌して来たら最後、気のむくまま足のむくまま、風のまにまに、途方もないところへ飛 …
読書目安時間:約40分
——その第九話です。 とうとう江戸へ帰りました。絲の切れた凧のような男のことであるから、一旦退屈の虫が萌して来たら最後、気のむくまま足のむくまま、風のまにまに、途方もないところへ飛 …
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約41分
——その第十話です。 「おういよう……」 「何だよう……」 「かかった!かかった!めでたいお流れ様がまたかかったぞう!」 「品は何だよう!」 「対じゃ。対じゃ。男仏、女仏一対が仲よ …
読書目安時間:約41分
——その第十話です。 「おういよう……」 「何だよう……」 「かかった!かかった!めでたいお流れ様がまたかかったぞう!」 「品は何だよう!」 「対じゃ。対じゃ。男仏、女仏一対が仲よ …
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間21分
その第十一話です。少し長物語です。 神田明神の裏手、江戸ッ児が自慢のご明神様だが、あの裏手は、地つづきと言っていい湯島天神へかけて、あんまり賑やかなところではない。藤堂家の大きな屋 …
読書目安時間:約1時間21分
その第十一話です。少し長物語です。 神田明神の裏手、江戸ッ児が自慢のご明神様だが、あの裏手は、地つづきと言っていい湯島天神へかけて、あんまり賑やかなところではない。藤堂家の大きな屋 …
山県有朋の靴(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
「平七。——これよ、平七平七耳が遠いな。平七はどこじゃ。平はおらんか!」 「へえへえ。平はこっちにおりますんで、只今、お靴を磨いておりますんで」 「庭へ廻れ」 「へえへえ。近ごろま …
読書目安時間:約29分
「平七。——これよ、平七平七耳が遠いな。平七はどこじゃ。平はおらんか!」 「へえへえ。平はこっちにおりますんで、只今、お靴を磨いておりますんで」 「庭へ廻れ」 「へえへえ。近ごろま …
流行暗殺節(新字新仮名)
読書目安時間:約31分
「足音が高いぞ。気付かれてはならん。早くかくれろっ」 突然、鋭い声があがったかと思うと一緒に、バラバラと黒い影が塀ぎわに平みついた。 影は、五つだった。 吸いこまれるように、黒い板 …
読書目安時間:約31分
「足音が高いぞ。気付かれてはならん。早くかくれろっ」 突然、鋭い声があがったかと思うと一緒に、バラバラと黒い影が塀ぎわに平みついた。 影は、五つだった。 吸いこまれるように、黒い板 …
老中の眼鏡(新字新仮名)
読書目安時間:約27分
ゆらりとひと揺れ大きく灯ざしが揺れたかと見るまに、突然パッと灯りが消えた。奇怪な消え方である。 「……?」 対馬守は、咄嗟にキッとなって居住いを直すと、書院のうちの隅から隅へ眼を放 …
読書目安時間:約27分
ゆらりとひと揺れ大きく灯ざしが揺れたかと見るまに、突然パッと灯りが消えた。奇怪な消え方である。 「……?」 対馬守は、咄嗟にキッとなって居住いを直すと、書院のうちの隅から隅へ眼を放 …
“佐々木味津三”について
佐々木 味津三(ささき みつぞう、明治29年(1896年)3月18日 - 昭和9年(1934年)2月6日)は、日本の小説家。佐佐木 味津三と表記されることもある。本名・光三。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)
“佐々木味津三”と年代が近い著者
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
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ジェーン・テーラー(没後200年)
山村暮鳥(没後100年)
黒田清輝(没後100年)
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