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凝然
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じつ
ふりがな文庫
“
凝然
(
じつ
)” の例文
藤田は立止つて
凝然
(
じつ
)
と
此方
(
こつち
)
を見てゐる樣だつたが、下げてゐた手拭を上げたと思ふ間に、道路は少し曲つて、並木の松に隱れた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
俄
(
にはか
)
に
眼
(
め
)
を
聳
(
そびや
)
かすやうにして
木陰
(
こかげ
)
の
闇
(
やみ
)
を
見
(
み
)
た。
彼
(
かれ
)
は
其處
(
そこ
)
におつぎの
浴衣姿
(
ゆかたすがた
)
が
凝然
(
じつ
)
として
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
て
筵
(
むしろ
)
から
離
(
はな
)
れることは
仕
(
し
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
燈
(
ひ
)
も
夢
(
ゆめ
)
を
照
(
て
)
らすやうな、
朦朧
(
まうろう
)
とした、
車室
(
しやしつ
)
の
床
(
ゆか
)
に、
其
(
そ
)
の
赤
(
あか
)
く
立
(
た
)
ち、
颯
(
さつ
)
と
青
(
あを
)
く
伏
(
ふさ
)
つて、
湯気
(
ゆげ
)
をふいて、ひら/\と
燃
(
も
)
えるのを
凝然
(
じつ
)
と
視
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
ると、
何
(
ど
)
うも
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
まづ
僕
(
ぼく
)
は
泣
(
な
)
きだしさうな
顏
(
かほ
)
をして
凝然
(
じつ
)
と
洋燈
(
ランプ
)
の
傘
(
かさ
)
を
見
(
み
)
つめて
居
(
ゐ
)
たと
想像
(
さう/″\
)
し
給
(
たま
)
へ。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
藤田は立止つて
凝然
(
じつ
)
と
此方
(
こつち
)
を見てゐる様だつたが、下げてゐた手拭を上げたと思ふ間に、
道路
(
みち
)
は少し曲つて、並木の松に隠れた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
耳敏い爺さんは
凝然
(
じつ
)
と枕を
欹
(
そばた
)
てました。これまで數次かうして惡戲好な村落の若者の爲にぢらされた
例
(
ためし
)
がありましたからか、爺さんはもう非常な怒氣を含みました。
白瓜と青瓜
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
襟
(
えり
)
をあとへ、
常夏
(
とこなつ
)
を
指
(
ゆび
)
で
少
(
すこ
)
し
引
(
ひ
)
いて、きやしやな
撫肩
(
なでがた
)
をやゝ
斜
(
なゝめ
)
に
成
(
な
)
つたと
思
(
おも
)
ふと、
衣絵
(
きぬゑ
)
さんの
顔
(
かほ
)
は、
睫
(
まつげ
)
を
濃
(
こ
)
く、
凝然
(
じつ
)
と
視
(
み
)
ながら
片手
(
かたて
)
を
頬
(
ほゝ
)
に
打招
(
うちまね
)
く。……
撓
(
しな
)
ふ、
白
(
しろ
)
き
指先
(
ゆびさき
)
から、
月
(
つき
)
のやうな
影
(
かげ
)
が
流
(
なが
)
れた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
竹山が唯一人、
凝然
(
じつ
)
と椅子に凭れて新聞を読んで居る。一分、二分、……五分! 何といふ長い時間だらう。何といふ恐ろしい沈黙だらう。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
渠は腰かけても見た、立つても見た、新聞を取つても見た、火箸で暖炉の中を掻廻しても見た。窓際に行つても見た。竹山は
凝然
(
じつ
)
と新聞を読んで居る。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
菊池君は矢張、唯一人自分の世界に居て、胡坐をかいた膝頭を、両手で攫んで、
凝然
(
じつ
)
として居る人だ。……………
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
肇さんは起き上ツて、
凝然
(
じつ
)
と其友の後姿を見送ツて居たが、浪の音と磯の香に
犇々
(
ひしひし
)
と身を包まれて、寂しい様な、自由になツた様な、何とも云へぬ気持になツて、いひ知らず涙ぐんだ。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ト、一日手を離さぬので筆が
仇敵
(
かたき
)
の様になつてるから、手紙一本書く気もしなければ、
書
(
ほん
)
など見ようとも思はぬ。
凝然
(
じつ
)
として
洋燈
(
ランプ
)
の火を見つめて居ると、
断々
(
きれぎれ
)
な事が
雑然
(
ごつちや
)
になつて心を掠める。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
“凝然”の解説
凝然(ぎょうねん、仁治元年3月6日(1240年3月30日) - 元亨元年9月5日(1321年9月26日))は、鎌倉時代後期の東大寺の学僧。インド・中国・日本にまたがる仏教史を研究してその編述をおこない、日本仏教の包括的理解を追究して多くの著作をのこした。
(出典:Wikipedia)
凝
常用漢字
中学
部首:⼎
16画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“凝”で始まる語句
凝
凝視
凝乎
凝結
凝固
凝議
凝脂
凝集
凝塊
凝滞