“雑然”のいろいろな読み方と例文
旧字:雜然
読み方割合
ざつぜん35.7%
ごちゃごちゃ21.4%
ごちや/\14.3%
ごたごた7.1%
ごつちや7.1%
ごろ/\7.1%
ざわざわ7.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その室は、毎朝氏の掃除にはなりますが、書籍や、作りかけの仕事などが、雑然ざつぜん混然こんぜんとして居て一寸ちょっと足の踏み所もい様です。
何で眼を醒ましたのかと思って、ボンヤリしていると果せるかなだ。コンナ風に雑然ごちゃごちゃ聞えて来る騒音の中のドレか一つが起している。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そこには炭俵、漬物桶、又は耕作の道具なぞが雑然ごちや/\置き並べてある。片隅には泥のまゝの『かびた芋』(馬鈴薯)山のやうに。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
まだ発車には余程あいだがあるのに、もう場内は一杯の人で、雑然ごたごたと騒がしいので、父が又狼狽あわて出す。親しい友の誰彼たれかれも見送りに来て呉れた。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ト、一日手を離さぬので筆が仇敵かたきの様になつてるから、手紙一本書く気もしなければ、ほんなど見ようとも思はぬ。凝然じつとして洋燈ランプの火を見つめて居ると、断々きれぎれな事が雑然ごつちやになつて心を掠める。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
暗らさが瞳に沈むと、雑然ごろ/\と風呂敷包みが墓場の石塊のように転がって、寝巻や帯が、海草のように壁に乱れている。
放浪記(初出) (新字新仮名) / 林芙美子(著)
悲鳴するような叫喚さけびが、山に反響して雑然ざわざわ如何いかにも物凄くきこえてくるので、乗客は恐ろしさにえず、皆その窓を閉切しめきって、震えながらに通ったとの事である。
大叫喚 (新字新仮名) / 岩村透(著)