雑然ごちゃごちゃ)” の例文
旧字:雜然
何で眼を醒ましたのかと思って、ボンヤリしていると果せるかなだ。コンナ風に雑然ごちゃごちゃ聞えて来る騒音の中のドレか一つが起している。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
其様そんな時にはあれは友禅メリンスというものだか、縮緬ちりめんだか、私には分らないが、何でも赤い模様や黄ろいかた雑然ごちゃごちゃと附いた華美はで襦袢じゅばんの袖口から、少し紅味あかみを帯びた、白い、すべっこそうな
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今日までの代の変遷うつりかわりを見せる一種の展覧会、とでも言ったような具合に、あるいは人間の無益な努力、いたずらに流した涙、滅びて行く名——そういうものが雑然ごちゃごちゃ陳列してあるかのように見えた。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)