“ごたごた”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
混雑31.0%
紛擾20.7%
紛々10.3%
紛争10.3%
雑然3.4%
動揺3.4%
混々3.4%
紛爭3.4%
紛糾3.4%
紛紜3.4%
雑然紛然3.4%
騒擾3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
変窟へんくつな僕からいうと、そう混雑ごたごたした所へ二人で押しかけるのは、世話にならないにしても気の毒でいやだった。けれども母は行きたいような顔をした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「どうしたというんだろう。」と、母親は会社の紛擾ごたごたから引き続いて、心配事ばかり多い弟の体を気遣った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「放っておくがいい。俺はお上の御用を勤めていりゃいいんだ。お町が可哀想だと思って乗り出したが、——入費は嵩んでも苦しゅうない——てな事を言う武家の紛々ごたごたなんかに首を突っ込むのは嫌だ」
彼は高子の身内の一人で、順一たちの紛争ごたごたの頃から、よくここへ立寄るので、正三にももう珍しい顔ではなかつた。
壊滅の序曲 (新字旧仮名) / 原民喜(著)
まだ発車には余程あいだがあるのに、もう場内は一杯の人で、雑然ごたごたと騒がしいので、父が又狼狽あわて出す。親しい友の誰彼たれかれも見送りに来て呉れた。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
眼を放って見渡すと、城下の町の一角が屋根は黒く、壁は白く、雑然ごたごたかたまって見える向うに、生れて以来十九年のあいだ、毎日仰ぎたお城の天守が遙に森の中に聳えている。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それは困ったろうネ、私の方へも為替かわせが来なく成った。ああ御金の送れないところを見ると、国でも動揺ごたごたしてるわい……しかしネ、豊世、ここで家の整理が付きさえすれば、お前を
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
事件を引渡したと思われる——車掌がいきおいなく戻って、がちゃりと提革鞄さげかばんを一つゆすって、チチンと遣ったが、まだ残惜そうに大路に半身を乗出して人だかりの混々ごたごた揉むのを、通り過ぎざまに見て進む。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
國内に未だ紛爭ごたごたが絶えぬ故、今暫く猶豫され度い、と、取敢へず使を以て言はせたが、其の使者と入れ違ひに衞の太子からの密使が晉に屆いた。
盈虚 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
ところが可哀そうに余り面白く行かないとかだいぶん紛糾ごたごたがあるようで御座います。お正さんは二十四でもだ若い盛で御座いますが、旦那は五十幾歳いくつとかで、二度目だそうで御座いますから無理も御座いませんよ。」
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
雪江さんが相手の女主人公じょしゅじんこうで、紛紜ごたごたした挙句に幾度いくたびとなく姦淫するのを、あやふやな理想や人生観でまぎらかして、高尚めかしてすじりもじった物であったように記憶する。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
再び見る東京の雑然紛然ごたごたとした過渡期の空気に包まれていたことも、半蔵の想像以上であった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
村の騒擾ごたごたを捌く智恵を沢山もつてゐたが、年齢が年齢なので、ときどき胴忘れをすることも多かつた、そんな時老人は手にした竹の杖でトントンと地を突いてから、杖の中の薄荷水を
小熊秀雄全集-15:小説 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)