盈虚えいきょ
衞の靈公の三十九年と云ふ年の秋に、太子蒯聵が父の命を受けて齊に使したことがある。途に宋の國を過ぎた時、畑に耕す農夫共が妙な唄を歌ふのを聞いた。 既定爾婁豬 盍歸吾艾豭 牝豚はたしかに遣つた故 早く牡豚を返すべし 衞の太子は之を聞くと顏色を變 …
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盈虚 (新字新仮名)中島敦 (著)