“己”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おの30.2%
おれ23.7%
おのれ20.8%
じぶん10.7%
おら4.6%
2.4%
おい1.5%
うぬ1.2%
0.5%
0.5%
オノ0.5%
おいら0.4%
うら0.3%
わし0.3%
われ0.2%
おり0.2%
0.2%
0.2%
をれ0.2%
をのれ0.1%
0.1%
おつ0.1%
おのず0.1%
おらア0.1%
おる0.1%
0.1%
つちのと0.1%
ひと0.1%
オノレ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ただ口にいってしかして衆人に実行させ、おのれもまたこれを実行するという点に於ては先生の右に出ずる者がなかった。いな今でもない。
「あのつらに、げんこつをくらわせることはなんでもない。だが、おれが、うでちからをいれてったら、あのかおけてしまいはせぬか?」
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
人をあざむくか、おのれをあざむくか、どこかでうそをつかなければ、とうていああおおげさには、おいおい泣けるわけのものじゃない。
樗牛の事 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それはじぶんが捨てて来た唖の女ではないか。石川は急いで車に乗って一行のあとを追ったが、ひどい熱が出て芝居ができないようになった。
唖娘 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
音「かみ繁右衞門しげえもん殿どんの宅で二十三回忌の法事があるんで、おらア旦那様も往くんだが、うか尼さんにもというのでむけえにめえったのだ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
老人としより子供こどもだから馬鹿ばかにしておもふやうにはうごいてれぬと祖母おばあさんがつてたつけ、れがすこ大人おとなると質屋しちやさして
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
伊「そりゃおいらの方にゃア願ったり叶ったりだけれどな、し来られた日にゃアそれこそ大変なわけ、一旦手切まで貰って分れたんだから」
……天秤かついだうぬなりが、何でございますかね、天狗様の下男が清水を汲みに山一つ彼方あなたへといったていで、我ながら、余り世間離れがした心細さに
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が飯はすでにあまるを、が飯に足れりとはせで、なじかさはひとの物る、なじかさはよその物欲る。同じことかはゆきものを、同じこと飯は盛れるを、犬の子よ子鴉よあはれ。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
アブラハム、ヤコブなぞ遊牧族ゆうぼくぞくの老酋長の物語は、十勝の山中に牛馬と住むが境涯に引くらべて、殊に興味が深いのであろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「惜」は『万葉集』に「嗚思」、「遠志」、「怨之」、「乎之」、こう書いてある。それから「オノ」は「意能」、「於能」、「意乃」。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
かめ「多助の事と云うと目くじら立って騒ぎやアがる、おいらの子をおいらが勘当するのは当然あたりまえだ、手前てめえの世話にはならないぞ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
便たよりねえ身の上はうらばかしでねえ、一人法師ひとりぼつちが二人寄りや、もう一人法師でねえちふもんだ、といふやうな気にもなる。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
武「いやそれは心配には及ばん、明日あしたわしが其のお筆さんと云うを町奉行所へ訴え出て帰れるようにして遣る、其の金はわしが遣ったんだ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
われと籠を作って籠の中の鳥になって居るのが可笑おかしくもある。但花や果物を無暗にあらされたり、無遠慮なお客様にわずらわさるゝよりまだ可と思うて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
こうおりゃ巡査じゃねえぜ。え、おい、かわいそうによっぽど面食らったと見える、全体おめえ、気が小さすぎらあ。なんの縛ろうとはやしめえし、あんなにびくびくしねえでものことさ。
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
千葉県知事折原らう氏が、以前福岡県知事を勤めてゐた頃、ある宴会で目もとの可愛かあいらしい芸者が側目わきめもふらず、じつと自分の顔に見とれてゐるのに気がついた。
保雄は相変らず自分に対する新聞雑誌記者の無責任な悪戯いたづらまないのだなと思つた。茶の間の前桐の箪笥の前に立つた山田は
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
長次さんは全く一人で罪を引受けて死んだので、をれが居つたら殺しはせぬのぢやつたと龍馬が残念がつて居りました。
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
をのれの珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨かうともせず、又、おのれの珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出來なかつた。
山月記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
かへりみて がさびしさを言ふなかれ。若きをたのみ 国は戦ふ
鵠が音:01 鵠が音 (新字旧仮名) / 折口春洋(著)
おつてちや、国に戻るこつば勧むツとなるばツてん、どうにもかうにも、あツぢや、わざわざ苦労ば重ねぎや行くごたるもんだものね。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
賤女しずのめの風はしているが京師けいしの公卿に縁ある者、おのずと備わる品位と美貌びぼうは、恥を含んで一層美しく、右門の眼にも見えるのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
うちには寄せ附けねえように働かせ、おらア貧乏だなんという心をよしにしてしまって、唯無茶苦茶に天地へ奉公をして居さえすれば、天運で自然と金が出来、天がそれだけの楽をさせてくれるから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
よね おるも、今日、浜で、そるば云ふたツた。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
人のうれひをうれひ人のたのしみをたのしむと是は又一豪傑がうけつなりさても家主長助は道十郎後家のお光を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つちのとです。」
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
どのくらいか臆病おくびょうづらを下げて、きまりの悪いおもいをしたか知れやしねえ、畜生め、ひとが臆病だと思いやあがって
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼ヲ知リ、オノレヲ知ルトキハ百度ヒャクタビ戦ッテ百度勝ツ——と古語にあります。曹真はすでに初めから孔明の相手としては不足でした。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)