“おり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オリ
語句割合
35.3%
14.3%
13.9%
機会9.8%
8.1%
4.1%
2.9%
2.3%
2.1%
1.5%
0.6%
渣滓0.6%
0.6%
0.4%
下車0.4%
0.4%
時機0.4%
汚吏0.4%
沈渣0.4%
折箱0.2%
下山0.2%
0.2%
折詰0.2%
沈滓0.2%
酒滓0.2%
降車0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
おりの戸をあけてそっと内部なかにはいると、見かけは鈍重そうな氷原の豹どもも、たちまち牙をきだし、野獣の本性をあらわしてくる。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
われゆゑぬるひとのありとも御愁傷ごしうしようさまとわきくつらさ他處目よそめやしなひつらめ、さりともおりふしはかなしきことおそろしきことむねにたゝまつて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おりがあったらどうかしてと、ちょい/\ほのめかして見るのですが、先方ではまるで馬鹿にし切って、てんで相手にしてくれません。
幇間 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
仕方が無いから、今に又機会おりも有ろうと、雪江さんの話は浮の空に聞いて、只管ひたすら機会おりを待っていると、忽ちガラッと障子がいて
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
横にねて、ずりおりる子供の重みで、するりと半纏の襟がすべると、肩から着くずれがして、を一文字につッと引いた、ぬめのような肌が。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
海岸からはだいぶ道程みちのりのある山手だけれども水は存外悪かった。手拭てぬぐいしぼって金盥かなだらいの底を見ていると、たちまち砂のようなおりおどんだ。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とうさんの祖母おばあさんの隱居所いんきよじよになつてた二かい土藏どざうあひだとほりぬけて、うら木小屋きごやはうおり石段いしだんよこに、その井戸ゐどがありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
(ちゞみはくぢらざし三丈を定尺とす)うみはじむるよりおりおろしさらしあげてたんになすまでの苦心労繁くしんらうはんおもひはかるべし。
こうむりましょう、はゞかりながら私しは其様な馬鹿でも無ければ嘘つきでもありません自分の言う事くらいは心得ておりますから
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
魚釣りのおりが水底に沈んで純粋な目的だけがのこるようになるには一千回もここに通わなければなるまい。だが、そういう浄化の作用は絶えずおこなわれているのであろう。
無慈悲なやつとうらんでいよう。おりゃおまえに怨まれるのが本望だ。いくらでも怨んでくれ。どうせ、おれもこう因業じゃ、いい死に様もしやアしまいが、何、そりゃもとより覚悟の前だ
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今は苦い渣滓おりとなって心の隅にこびりついているのを感ぜずにはいられなかった。
鰊漁場 (新字新仮名) / 島木健作(著)
髪をれざる働きに俊雄君閣下初めて天に昇るを得て小春がその歳暮くれ裾曳すそひひろめ、用度をここに仰ぎたてまつれば上げ下げならぬ大吉が二挺三味線にちょうざみせんつれてそのおり優遇の意をあきらかにせられたり
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
ぶたを飼ってあるおりけて笑って言った。
劉海石 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「この次で下車おりるのじゃに。」
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時機おりを見て、武田家再興の大陰謀を企てるのじゃで、随分忠勤を励まれよと言い含め、一方公儀に向っては、信州黒姫山の麓には、金脈有り気に見えまするで
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
もとより暴君汚吏おり民を悩まし人をぎょしたるものもすくなからざりしといえども、概して論ずれば徳川時代の封建政治は、我が国民に取りては、開闢かいびゃく以来無上むじょうの善政たることは、吾人ごじんが敢て断言する処。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
私が聽いた彼の雄辯は——人にも同じくさう感じられたかどうかは知らないが——泥にまみれた失意の沈渣おりの溜つた深み——滿たされない憧憬と不安な野心の惱ましい衝動が動いてゐる深みから湧き出したものゝやうに思はれたからである。
露八は、顔の小さい、ちょっと可愛らしいおんなを、小格子の中に見つけて、折箱おりを、上げてみせた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だまって、うなずいた顔が、何だか不愍ふびんだったので、露八は、折箱おりと一緒に、登楼あがってしまった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まあ、とうとう、鞍馬を下山おりてしまわれたか。——あの稚子ちごばかりは父御の末路を踏ましとうないと祈っていたが」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうさ。範宴が下山おりたのは、先一昨年さきおととしの冬だったから……」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
野郎が言うことにゃ、おやおや、おとっさんの頭か、おりゃまた大事の燗徳利かんどっくりかと思ったと、そうぬかすんですから、こんなのは、とても親孝行の方には向きませんよ。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「うむ、参ろう。酒や折詰おりのしたくをしておけ」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大海人はそれを回想し、かつは自省するのだつた。その自省の底にはしかし、何かにがにがしい沈滓おりがあつた。
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
緋色の海賊旗が酒滓おりの上にたゆとうてゐるのを見た
降車おりて怪物は闇の中の自動車の周囲を玩具のやうに物珍らしく撫で廻しました。進んで運転手台の機械に指を触れると『あち……』と驚きました。
怪物と飯を食ふ話 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)