おり)” の例文
詩にて申候えば『古今集』時代はそう時代にもたぐえ申すべく俗気紛々ふんぷんと致しおり候ところはとても唐詩とうしとくらぶべくも無之候えども
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
こうむりましょう、はゞかりながら私しは其様な馬鹿でも無ければ嘘つきでもありません自分の言う事くらいは心得ておりますから
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
もっとも某先生の助力があったという事も聞いておりますが、西洋臭いものの割には言葉遣などもよくこなれていて
言語体の文章と浮雲 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ちと無理なお話でございますが、其の時分の君臣の権識けんしきたいして違っておりましたもので、若江が懐妊したようだというから、何うしてもこと露顕を致します
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
久世太郎右衛門殿物語くぜたろうえもんどのものがたりに、前方此男出でけるに、腰に何やらん附けて居る故、或者あるもの近く寄りてそれを取り、還りて見れば高麗こうらい茶碗ちゃわんなり。今に其子の方に持伝へておりける由。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
長谷川氏に至り候処三沢も参りおり、種々評議、私は平子と相携へて、大仏に走り、耳塚に上り見候処砲声漸く近く相成り候間、阪兵入京と相成らば、御所にも伺上出可申いでもうすべし罷帰まかりかえ
鳥羽伏見の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
かんしんいたし候ゆえ文して申遣もうしつかわし参らせそろ左候さそうらえば日にまし寒さに向い候えどもいよいよかわらせなく相くらされこのかたも安心いたしおり候ととさんともうしかかさんと申誠に誠に難有ありがたく………
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
従っては一切の情慾が弱くなり其代り堪弁かんべんと云う者が強くなっおりますから人を殺すほどの立腹は致しませずよしや立腹した所で力が足らぬから若い者を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ただし和歌俳句のごとき短きものには主観的佳句よりも客観的佳句多しと信じおり候えば、客観に重きをおくというもここのことを意味すると見れば差支さしつかえ無之候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
林藏も刀の柄元を握詰め喉をいておりますから、如何どういう事かと調べになると、大藏の申立もうしたてに、平素つねからおかしいように思って居りましたが、かねて密通を致し居り
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
西行の心はこの歌に現れおり候。「心なき身にも哀れは知られけり」などいう露骨的の歌が世にもてはやされてこの歌などはかえって知る人すくなきも口惜くちおしく候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
と仕方が無いから其のは寝ましたが、翌朝よくあさから土鍋で飯はきまして、おかずそとから買って来まして喰いますような事で、此処こゝおります。甚藏はぶら/\遊び歩きます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
惣「此辺こゝらに癪に利く薬でだらすけという様な薬は何処どこで売っておりますか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
血をべっとりと塗附けて之を懐中し、又々庭へ出て、お菊の懐中を探して見たが、別に掛守かけまもりもない、帯止おびどめほどいて見ますと中にまもりが入っておりますから、其の中へ右の起請をれ、元のように致して置き
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
河中へ投込候ものと相見え今以て行方相知れ不申候もうさずそろ又土蔵へ忍入りしやわたくし所持の衣類金銀ともことごとく盗取り逃去り候跡へ我等参合まいりあわせきよと申す下婢かひに相尋ね候処驚怖の余りおのれの部屋に匿れ潜みおり候えば賊の申候言葉ならびいずれへ逃去候しか不相分あいわからず申出候もうしいでそろしかるに一応家内取調申候処庭前ていぜん所々しょ/\に鮮血の点滴有之これあり殊に駒の緋絹縮ひぎぬちゞみ下〆帯したじめおびりゅうの単物ひとえもの血に染み居候まゝ打棄うちすて有之候間此段御訴申上候
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)