“口惜”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くや72.3%
くやし10.4%
くちお9.1%
くちおし3.7%
くちを2.7%
くちをし1.4%
くやしゅ0.3%
くちおしゅ0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分が悪口を云われる口惜くやまぎれに他人の悪口を云うように取られては、悪口の功力くりきがないと心得て今日まで謹慎の意を表していた。
田山花袋君に答う (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのの十二時に近い時分、遠藤は独り婆さんの家の前にたたずみながら、二階の硝子窓に映る火影ほかげ口惜くやしそうに見つめていました。
アグニの神 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
四十の手習ひで始めた国学もわれながら学問の性はいいのだが、とにかく闘争に気を取られ、まとまつた研究をして置かなかつたのが次に口惜くやしい。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
解った。いやしくも大東京市内においては、橋の上で煙草をむ時世ではないのである、と云うのも、年を取ると、口惜くやしいが愚痴に聞える。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何か気にわぬことを言われた口惜くやしまぎれに、十露盤そろばんで番頭の頭をブンなぐったのは、宗蔵が年季奉公の最後の日であった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
土足で頭を蹴ましたから、砂埃が眼に入って長二は物を見る事が出来ませんが、余りの口惜くやしさに手探りで幸兵衞の足を引捉ひっとらえて起上り
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うわさに歌われるような恋をして、最後には捨てられたということを、今度始まったことのように口惜くちおしく悲しくばかり思われるのであった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
今朝けさから、わしの作は、十幾振も試しておるのじゃ、それと互角には申されまいが、口惜くちおしくば、猶、二刀三刀、数を重ねて、試してみよ』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『ああ。あの花さえ無ければ、私はあんなにほかの国へ行かなくともよかったのに。そうしてこんなに恥かしい、口惜くちおしい思いをせずともよかったのに』
オシャベリ姫 (新字新仮名) / 夢野久作かぐつちみどり(著)
「——事実を言おう、口惜くちおしいが、目が光ったんだ。鏨で突きつぶすと、銅像の目が大きく開いて光ったんだ。……女は驚いて落ちこんだ。」
「心なき身にも哀れは知られけり」などいう露骨的の歌が世にもてはやされてこの歌などはかえって知る人すくなきも口惜くちおしく候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
恥しさと口惜くちおしさに二階の暗がりで風琴を前へ置いて泣いて居り升と、母が丁度帰つて来まして、此様子を見てビツクリし。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
疳癪かんしやく筋骨すぢぼねつまつてかひとよりは一寸法師いつすんぼし一寸法師いつすんぼしそしらるゝも口惜くちをしきに
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
互に憎し、口惜くちをしとしのぎを削る心のやいばを控へて、彼等は又相見あひみざるべしと念じつつ別れにけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
——など書きつらねたるさへあるに、よしや墨染の衣に我れ哀れをかくすとも、心なき君にはうはの空とも見えん事の口惜くちをしさ、など硯の水になみだちてか、薄墨うすずみ文字もじ定かならず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
無念とはうか、口惜くちをしいと謂はうか、宮さん、僕はお前を刺殺さしころして——驚くことは無い! ——いつそ死んで了ひたいのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そのしつは当時家中かちうきこえし美人なりしが、女心をんなごころ思詰おもひつめて一途に家を明渡すが口惜くちをし
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
然るを先生余を目して先生の態度の不眞面目なるを甚しく攻撃するものとなす、馬鹿々々しとて思ひ捨てんにはあまりに口惜くちをしく此の一文を草するに至りぬ。
友「へー/\旦那で、有難い/\能く来て下さいました、旦那様口惜くやしゅうございます、うかかたきを討って下さい、私は半分死んで居ります」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
友「へー/\わたくしはあきらめましょうが口惜くやしゅうございます、私は実に残念でございます」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
喜「余り口惜くやしゅうございます、中央まんなかにいた奴の叩くのが一番痛うござえました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
到底とてものがれぬ不仕合ふしあわせと身をあきらめては断念あきらめなかった先程までのおろかかえって口惜くちおしゅう御座りまする
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)