“口惜”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くや72.3%
くやし10.2%
くちお8.9%
くちおし3.5%
くちを3.0%
くちをし1.6%
くやしゅ0.3%
くちおしゅ0.1%
くやしく0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分が悪口を云われる口惜くやまぎれに他人の悪口を云うように取られては、悪口の功力くりきがないと心得て今日まで謹慎の意を表していた。
田山花袋君に答う (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もうとても……大慈大悲に、腹帯をお守り下さいます、観音様の前には、口惜くやしくって、もどかしくって居堪いたたまらなくなったんですもの。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いかほどお前たちが口惜くちおしく存じてもせんない事さ。とかく人の目を引くような綺麗なものは何ののとねたまれ難癖を付けられるものさ。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
能く心して生活なりわいの道を治めよ、とねんごろに説き示しければ、弟はこれを口惜くちおしく思ひてそののち生活の道に心を用ひ、ようやく富をいたしけるが
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
きことにしてかねやらんせうになれ行々ゆく/\つまにもせんと口惜くちをしきことかぎくにつけてもきみさまのことがなつかしくにまぎれてくに
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これぎりむなしく相成候が、あまり口惜くちをし存候故ぞんじさふらふゆゑ、一生に一度の神仏かみほとけにもすがり候て、此文には私一念を巻込め、御許おんもと差出さしいだしまゐらせ候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
友「へー/\旦那で、有難い/\能く来て下さいました、旦那様口惜くやしゅうございます、うかかたきを討って下さい、私は半分死んで居ります」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あなたは亀屋かめや御出おいでなされた御客様わたくしの難儀を見かねて御救おすくい下されたはまことにあり難けれど、到底とてものがれぬ不仕合ふしあわせと身をあきらめては断念あきらめなかった先程までのおろかかえって口惜くちおしゅう御座りまする
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
り今癲癇といはれては口惜くやしくもあれ忌々いま/\しければかつと怒つてはしすてと立上り飛掛とびかゝり和吉が首筋くびすぢとるより早く其所へ引附目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)