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口惜
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くちを
ふりがな文庫
“
口惜
(
くちを
)” の例文
宜
(
よ
)
きことにして
金
(
かね
)
やらん
妾
(
せう
)
になれ
行々
(
ゆく/\
)
は
妻
(
つま
)
にもせんと
口惜
(
くちを
)
しき
事
(
こと
)
の
限
(
かぎ
)
り
聞
(
き
)
くにつけても
君
(
きみ
)
さまのことが
懷
(
なつ
)
かしく
或
(
あ
)
る
夜
(
よ
)
にまぎれて
國
(
くに
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
知られで永く
已
(
や
)
みなんこと
口惜
(
くちを
)
しく、
一
(
ひとつ
)
には妾が
眞
(
まこと
)
の心を打明け、且つは御身の恨みの程を承はらん爲に茲まで迷ひ來りしなれ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
も見ずに
迯
(
にげ
)
さりけり斯ることの早兩三度に及びし故
流石
(
さすが
)
の久八も
憤
(
いきど
)
ほり我が忠義の
仇
(
あだ
)
と
成事
(
なること
)
如何
(
いか
)
にも/\
口惜
(
くちを
)
しや今一度
逢
(
あう
)
て異見せん者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
つけられていると聞いて「男の子やもいとけなけれど人中に
口惜
(
くちを
)
しきこと数々あらん」とかの女は切なく
詠
(
うた
)
ったこともあった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かしこう心定りて
口惜
(
くちを
)
しき事なく、悲しきことなく、くやむことなく恋しきことなく、只
本善
(
ほんぜん
)
の善にかへりて、一意に大切なるは親兄弟さては家の為なり。
婦人と文学
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
されど
狼狽
(
うろた
)
へたりと見られんは
口惜
(
くちを
)
しとやうに、
遽
(
にはか
)
にその手を
胸高
(
むなたか
)
に
拱
(
こまぬ
)
きて、動かざること山の如しと
打控
(
うちひか
)
へたる
様
(
さま
)
も、
自
(
おのづか
)
らわざとらしくて、また
見好
(
みよ
)
げにはあらざりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
他に
詮術
(
せんすべ
)
のあらばこそ、
口惜
(
くちを
)
しけれど吾は
唯
(
たゞ
)
ありとあらゆるわが思
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
手前
(
てまへ
)
口惜
(
くちを
)
しいと
存
(
ぞん
)
じまして。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何
(
ど
)
ういふ
樣子
(
やうす
)
何
(
ど
)
のやうな
事
(
こと
)
をいふて
行
(
ゆ
)
きましたかとも
問
(
と
)
ひたけれど
悋氣男
(
りんきをとこ
)
と
忖度
(
つも
)
らるゝも
口惜
(
くちを
)
しく、
夫
(
そ
)
れは
種々
(
いろ/\
)
御厄介
(
ごやつかい
)
で
御座
(
ござ
)
りました
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
など書き
聯
(
つら
)
ねたるさへあるに、よしや墨染の衣に我れ哀れをかくすとも、心なき君には
上
(
うは
)
の空とも見えん事の
口惜
(
くちを
)
しさ、など硯の水に
泪
(
なみだ
)
落
(
お
)
ちてか、
薄墨
(
うすずみ
)
の
文字
(
もじ
)
定かならず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
互に憎し、
口惜
(
くちを
)
しと
鎬
(
しのぎ
)
を削る心の
刃
(
やいば
)
を控へて、彼等は又
相見
(
あひみ
)
ざるべしと念じつつ別れにけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
討
(
うつ
)
て
貰
(
もら
)
ふが
能
(
よい
)
と
懇切
(
ねんごろ
)
さうに申
聞
(
きけ
)
又
居直
(
ゐなほ
)
りて御奉行樣私よりも願ひ上ます妹の安は此三次めが殺せしと承まはる上からは
直
(
すぐ
)
にも
打果
(
うちはた
)
すべき
奴
(
やつ
)
なるに
現在
(
げんざい
)
妹の敵と
名乘
(
なのる
)
に
側
(
そば
)
に居ながら手も出されぬ我が身は如何に
口惜
(
くちを
)
しと
齒
(
は
)
がみを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
他處目
(
よそめ
)
うら
山
(
やま
)
しう
見
(
み
)
えて、
面白
(
おもしろ
)
げ
成
(
なり
)
しが、
旦那
(
だんな
)
さま
好
(
よ
)
き
頃
(
ころ
)
と
見
(
み
)
はからひの
御積
(
おつも
)
りなるべく、
年來
(
としごろ
)
足
(
た
)
らぬ
事
(
こと
)
なき
家
(
いへ
)
に
子
(
こ
)
の
無
(
な
)
きをばかり
口惜
(
くちを
)
しく
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
口惜
(
くちを
)
しとの色は
絶
(
したた
)
かその
面
(
おもて
)
に
上
(
のぼ
)
れり。貫一は彼が意見の父と
相容
(
あひい
)
れずして、
年来
(
としごろ
)
別居せる内情を
詳
(
つまびら
)
かに知れば、
迫
(
せ
)
めてその喜ぶべきをも、
却
(
かへ
)
つてかく
憂
(
うれひ
)
と
為
(
な
)
す
故
(
ゆゑ
)
を
暁
(
さと
)
れるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
申すも恐れある事ながら、御父重盛卿は智仁勇の三徳を
具
(
そな
)
へられし古今の
明器
(
めいき
)
。敵も味方も共に景慕する所なるに、君には其の正嫡と生れ給ひて、先君の譽を
傷
(
きずつ
)
けん事、
口惜
(
くちを
)
しくは
思
(
おぼ
)
さずや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
見わたす
岡
(
をか
)
の若葉のかげ暗う、過ぎゆきけんかげも見えぬなん、いと
口惜
(
くちを
)
しうもゆかしうも
唯
(
たゞ
)
身にしみて
打
(
うち
)
ながめられき。
すゞろごと
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
母親
(
はゝおや
)
は
子
(
こ
)
に
甘
(
あま
)
きならひ、
聞
(
き
)
く
毎々
(
こと/″\
)
に
身
(
み
)
にしみて
口惜
(
くちを
)
しく、
父樣
(
とゝさん
)
は
何
(
なん
)
と
思
(
おぼ
)
し
召
(
め
)
すか
知
(
し
)
らぬが
元來
(
もと/\
)
此方
(
こち
)
から
貰
(
もら
)
ふて
下
(
くだ
)
されと
願
(
ねが
)
ふて
遣
(
や
)
つた
子
(
こ
)
ではなし
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
無下
(
むげ
)
に
賤
(
いや
)
しき
種
(
たね
)
には
有
(
あ
)
るまじ、
妻
(
つま
)
か
娘
(
むすめ
)
か
夫
(
それ
)
すらも
聞
(
き
)
き
知
(
し
)
らざりし
口惜
(
くちを
)
しさよ、
宿
(
やど
)
の
主
(
あるじ
)
は
隣家
(
となり
)
のことなり、
問
(
と
)
はば
素性
(
すじやう
)
も
知
(
し
)
るべきものと、
空
(
むな
)
しくはなど
過
(
すご
)
しけん
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此方
(
こちら
)
が
此通
(
このとほ
)
りつまらぬ
活計
(
くらし
)
をして
居
(
ゐ
)
れば、
御前
(
おまへ
)
の
縁
(
ゑん
)
にすがつて
聟
(
むこ
)
の
助力
(
たすけ
)
を
受
(
う
)
けもするかと
他人樣
(
ひとさま
)
の
處思
(
おもはく
)
が
口惜
(
くちを
)
しく、
痩
(
や
)
せ
我慢
(
がまん
)
では
無
(
な
)
けれど
交際
(
つきあひ
)
だけは
御身分
(
ごみぶん
)
相應
(
さうおう
)
に
盡
(
つく
)
して
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
正太は
何故
(
なに
)
とも得ぞ解きがたく、烟のうちにあるやうにてお前はどうしても変てこだよ、そんな事を言ふ
筈
(
はづ
)
は無いに、
可怪
(
をか
)
しい人だね、とこれはいささか
口惜
(
くちを
)
しき思ひに
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
正太
(
しようた
)
は
何故
(
なに
)
とも
得
(
ゑ
)
ぞ
解
(
と
)
きがたく、
畑
(
はた
)
のうちにあるやうにてお
前
(
まへ
)
は
何
(
ど
)
うしても
變
(
へん
)
てこだよ、
其樣
(
そん
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふ
筈
(
はづ
)
は
無
(
な
)
いに、
可怪
(
をか
)
しい
人
(
ひと
)
だね、と
是
(
こ
)
れはいさゝか
口惜
(
くちを
)
しき
思
(
おも
)
ひに
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何
(
なに
)
は
置
(
お
)
きて
御
(
おん
)
さげすみ
恥
(
はづ
)
かしゝ、
睦
(
むつ
)
ましかりしも
道理
(
だうり
)
、
主從
(
しうじゆう
)
とは
名
(
な
)
のみなりしならんなど、
彼
(
か
)
の
君
(
きみ
)
に
思
(
おも
)
はれ
奉
(
たてまつ
)
らん
口惜
(
くちを
)
しさよ、
是
(
これ
)
も
誰
(
た
)
れ
故
(
ゆゑ
)
雪三
(
せつざう
)
故
(
ゆゑ
)
なり、
松野
(
まつの
)
が
邪心
(
じやしん
)
一ツゆゑぞ
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
昼も夢に見て
独言
(
ひとりごと
)
にいふ情なさ、女房の事も子の事も忘れはててお力一人に命をも遣る心か、浅ましい
口惜
(
くちを
)
しい
愁
(
つ
)
らい人と思ふに中々言葉は
出
(
いで
)
ずして恨みの露を目の中にふくみぬ。
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
晝
(
ひる
)
も
夢
(
ゆめ
)
に
見
(
み
)
て
獨言
(
ひとごと
)
にいふ
情
(
なさけ
)
なさ、
女房
(
にようぼう
)
の
事
(
こと
)
も
子
(
こ
)
の
事
(
こと
)
も
忘
(
わす
)
れはてゝお
力
(
りき
)
一人
(
ひとり
)
に
命
(
いのち
)
をも
遣
(
や
)
る
心
(
こゝろ
)
か、
淺
(
あさ
)
ましい
口惜
(
くちを
)
しい
愁
(
つ
)
らい
人
(
ひと
)
と
思
(
おも
)
ふに
中々
(
なか/\
)
言葉
(
ことば
)
は
出
(
いで
)
ずして
恨
(
うら
)
みの
露
(
つゆ
)
を
目
(
め
)
の
中
(
うち
)
にふくみぬ。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
五日
(
いつか
)
とたゝずに
兜
(
かぶと
)
をぬがなければ
成
(
な
)
らないのであらう、そんな
嘘
(
うそ
)
つ
吐
(
つ
)
きの、ごまかしの、
慾
(
よく
)
の
深
(
ふか
)
いお
前
(
まへ
)
さんを
姉
(
ねえ
)
さん
同樣
(
どうやう
)
に
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
たが
口惜
(
くちを
)
しい、もうお
京
(
きやう
)
さんお
前
(
まへ
)
には
逢
(
あ
)
はないよ
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
物
(
もの
)
いはゞ
振切
(
ふりき
)
らんず
袖
(
そで
)
がまへ
嘲
(
あざけ
)
るやうな
尻目遣
(
しりめづか
)
ひ
口惜
(
くちを
)
しと
見
(
み
)
るも
心
(
こゝろ
)
の
僻
(
ひが
)
みか
召使
(
めしつか
)
ひの
者
(
もの
)
出入
(
でいり
)
のもの
指
(
ゆび
)
折
(
を
)
れば
少
(
すくな
)
からぬ
人數
(
にんず
)
ながら
誰
(
た
)
れ
一人
(
ひとり
)
として
我
(
わ
)
れ
相談
(
さうだん
)
の
相手
(
あひて
)
にと
名告
(
なのり
)
出
(
い
)
づるものなし
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
内々は
彼方
(
あちら
)
がたに成たるも
口惜
(
くちを
)
し、まつりは
明後日
(
あさつて
)
、いよいよ我が
方
(
かた
)
が負け色と見えたらば、破れかぶれに暴れて暴れて、正太郎が
面
(
つら
)
に
疷
(
きず
)
一つ、我れも片眼片足なきものと思へば
為
(
し
)
やすし
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
聞く
毎々
(
ことごと
)
に身にしみて
口惜
(
くちを
)
しく、
父様
(
ととさん
)
は何と
思
(
おぼ
)
し召すか知らぬが
元来
(
もともと
)
此方
(
こち
)
から貰ふて下されと願ふて遣つた子ではなし、身分が悪いの学校がどうしたのと宜くも宜くも勝手な事が言はれた物
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
大威張に
出這入
(
ではいり
)
しても差つかへは無けれど、
彼方
(
あちら
)
が立派にやつてゐるに、此方がこの通りつまらぬ
活計
(
くらし
)
をしてゐれば、御前の縁にすがつて
聟
(
むこ
)
の
助力
(
たすけ
)
を受けもするかと
他人様
(
ひとさま
)
の
処思
(
おもはく
)
が
口惜
(
くちを
)
しく
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ふいと
立
(
た
)
つて
家
(
うち
)
をば
御出
(
おで
)
あそばさるゝ、
行先
(
ゆくさき
)
は
何
(
いづ
)
れも
御神燈
(
ごじんとう
)
の
下
(
した
)
をくゞるか、
待合
(
まちあひ
)
の
小座敷
(
こざしき
)
、それをば
口惜
(
くちを
)
しがつて
私
(
わたし
)
は
恨
(
うら
)
みぬきましたけれど
眞
(
しん
)
の
處
(
ところ
)
を
言
(
い
)
へば、
私
(
わたし
)
の
御機嫌
(
ごきげん
)
の
取
(
と
)
りやうが
惡
(
わる
)
くて
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
三之助に雑煮のはしも取らさるると言はれしを思ふにも、どうでも欲しきはあの金ぞ、恨めしきは御新造とお峯は
口惜
(
くちを
)
しさに物も言はれず、常々をとなしき身は理屈づめにやり込る
術
(
すべ
)
もなくて
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
口惜
(
くちを
)
しげに
相手
(
あひて
)
を
睨
(
にら
)
みしこともありしがそれは
無心
(
むしん
)
の
昔
(
むかし
)
なり
我
(
わ
)
れ
性來
(
せいらい
)
の
虚弱
(
きよじやく
)
とて
假初
(
かりそめ
)
の
風邪
(
ふうじや
)
にも
十日
(
とをか
)
廿日
(
はつか
)
新田
(
につた
)
の
訪問
(
はうもん
)
懈
(
おこた
)
れば
彼處
(
かしこ
)
にも
亦
(
また
)
一人
(
ひとり
)
の
病人
(
びやうにん
)
心配
(
しんぱい
)
に
食事
(
しよくじ
)
も
進
(
すゝ
)
まず
稽古
(
けいこ
)
ごとに
行
(
ゆ
)
きもせぬとか
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
田中屋
(
たなかや
)
が
柔和
(
おとなし
)
ぶりにごまかされて、一つは
學問
(
がくもん
)
が
出來
(
でき
)
おるを
恐
(
おそ
)
れ、
我
(
わ
)
が
横町組
(
よこてうくみ
)
の
太郎吉
(
たらうきち
)
、三五
郎
(
らう
)
など、
内々
(
ない/\
)
は
彼方
(
あちら
)
がたに
成
(
なり
)
たるも
口惜
(
くちを
)
し、まつりは
明後日
(
あさつて
)
、いよ/\
我
(
わ
)
が
方
(
かた
)
が
負
(
ま
)
け
色
(
いろ
)
と
見
(
み
)
えたらば
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
身は
疳癪
(
かんしやく
)
に筋骨つまつてか人よりは一寸
法師
(
ぼし
)
一寸法師と
誹
(
そし
)
らるるも
口惜
(
くちを
)
しきに、吉や
手前
(
てめへ
)
は親の日に
腥
(
なまぐ
)
さを
喰
(
やつ
)
たであらう、ざまを見ろ廻りの廻りの小仏と朋輩の鼻垂れに仕事の上の
仇
(
あだ
)
を返されて
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
身
(
み
)
は
疳癪
(
かんしやく
)
に
筋骨
(
すぢぼね
)
つまつてか
人
(
ひと
)
よりは
一寸法師
(
いつすんぼし
)
一寸法師
(
いつすんぼし
)
と
誹
(
そし
)
らるゝも
口惜
(
くちを
)
しきに、
吉
(
きち
)
や
手前
(
てめへ
)
は
親
(
おや
)
の
日
(
ひ
)
に
腥
(
なまぐ
)
さを
喰
(
やつ
)
たであらう、ざまを
見
(
み
)
ろ
廻
(
まは
)
りの
廻
(
まは
)
りの
小佛
(
こぼとけ
)
と
朋輩
(
ほうばい
)
の
鼻垂
(
はなた
)
れに
仕事
(
しごと
)
の
上
(
うへ
)
の
仇
(
あだ
)
を
返
(
かへ
)
されて
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
恨
(
うら
)
めしきは
御新造
(
ごしんぞ
)
とお
峯
(
みね
)
は
口惜
(
くちを
)
しさに
物
(
もの
)
も
言
(
い
)
はれず、
常〻
(
つね/″\
)
をとなしき
身
(
み
)
は
理屈
(
りくつ
)
づめにやり
込
(
こめ
)
る
術
(
すべ
)
もなくて、すご/\と
勝手
(
かつて
)
に
立
(
た
)
てば
正午
(
しようご
)
の
號砲
(
どん
)
の
音
(
おと
)
たかく、かゝる
折
(
をり
)
ふし
殊更
(
ことさら
)
胸
(
むね
)
にひゞくものなり。
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あの
頃
(
ころ
)
旦那
(
だんな
)
さまが
離縁
(
りえん
)
をやると
一言
(
ひとこと
)
仰
(
おつ
)
しやつたが
最期
(
さいご
)
、
私
(
わたし
)
は
屹度
(
きつと
)
何事
(
なにごと
)
の
思慮
(
しりよ
)
もなく
暇
(
いとま
)
を
頂
(
いたゞ
)
いて、
自分
(
じぶん
)
の
身
(
み
)
の
不都合
(
ふつがふ
)
は
棚
(
たな
)
へ
上
(
あ
)
げて、
此樣
(
こん
)
な
不運
(
ふうん
)
な、
情
(
なさけ
)
ない、
口惜
(
くちを
)
しい
身
(
み
)
と
天
(
てん
)
が
極
(
き
)
めてお
置
(
お
)
きなさるなら
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
家藏持參
(
いへくらぢさん
)
の
業平男
(
なりひらをとこ
)
に
見
(
み
)
せ
給
(
たま
)
ふ
顏
(
かほ
)
我等
(
われら
)
づれに
勿體
(
もつたい
)
なしお
退
(
の
)
きなされよ
見
(
み
)
たくもなしとつれなしや
後
(
うしろ
)
むき
憎
(
にく
)
らしき
事
(
こと
)
の
限
(
かぎ
)
り
並
(
なら
)
べられても
口惜
(
くちを
)
しきはそれならず
解
(
と
)
けぬ
心
(
こゝろ
)
にあらはれぬ
胸
(
むね
)
うらめしく
君樣
(
きみさま
)
こそは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
盡
(
つ
)
くすが
我
(
わ
)
が
身
(
み
)
ながら
口惜
(
くちを
)
しきなり
左
(
さ
)
りとても
彼
(
か
)
の
人
(
ひと
)
の
事
(
こと
)
斷念
(
あきらめ
)
がたきは
何
(
なに
)
ゆゑぞ
云
(
い
)
はで
止
(
や
)
まんの
决心
(
けつしん
)
なりしが
親切
(
しんせつ
)
な
詞
(
ことば
)
きくにつけて
日頃
(
ひごろ
)
の
愼
(
つゝし
)
みも
失
(
なく
)
なりぬと
漸々
(
やう/\
)
せまりくる
娘氣
(
むすめぎ
)
に
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
びて
良時
(
やゝ
)
ありしが
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
惜
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“口惜”で始まる語句
口惜涙
口惜紛