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君樣
家藏持參の
業平男に
見せ
給ふ
顏我等づれに
勿體なしお
退きなされよ
見たくもなしとつれなしや
後むき
憎らしき
事の
限り
並べられても
口惜しきはそれならず
解けぬ
心にあらはれぬ
胸うらめしく
君樣こそは
淺き
心と
思召すか
假令どのやうな
事あればとて
仇し
人に
何のその
笑顏見せてならうことかは
山ほどの
恨みも
受くる
筋あれば
詮方なし
君樣に
愛想つきての
計略かとはお
詞ながら
餘りなり
親につながるゝ
子罪は
同じと
覺悟ながら
其名ばかりはゆるし
給へよしや
父樣にどのやうなお
憎しみあればとて
渝らぬ
心の
私こそ
君樣の
妻なるものを