“縁”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ふち38.1%
えん21.9%
へり18.7%
えにし6.2%
べり2.7%
2.2%
ゆかり2.0%
ゑん1.3%
ぷち1.2%
えに0.8%
(他:42)4.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「それじゃ、君はこの穴のふちつたって歩行あるくさ。僕は穴の下をあるくから。そうしたら、上下うえしたで話が出来るからいいだろう」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は書物を読むのも散歩に出るのもいやだったので、ただ漠然と火鉢のふちひじを載せてじっあごを支えたなり考えていました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
文字春は芝のおなじ稼業の家に不幸があって、その悔みに行った帰り途に、溜池のふちへさしかかったのはもう五ツ(午後八時)を過ぎた頃であった。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
壯丁さうていくるまはなれてみづむもあり、みな掛茶屋かけぢやゝえんあつまつてやすんでた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「僕はこの頃僕の妹が(妹が一人あったことはぼんやり覚えているんだがね。)えんづいた先を聞いて来たんだよ。今度の日曜にでも行って見ないか?」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
鐘楼しょうろうのそばにとびらを閉め切った不動堂があって、その高いえんでは、額髪ひたいがみを手拭いでまいた子守りが二三人遊んでいる。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ぎょっと驚いて今さらのように大きく目を見張った君の前には平地から突然下方に折れ曲がった崖のへりが、地球の傷口のように底深い口をあけている。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
灰皿のほうは肉の薄味、線の丸さ、波形のへりのうねり、その他どう見ても優しいそうして濃まやかな感じの持ち主の手になったものとしか思われない。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
五軒町から江戸川のへりつたつて、かはむかふへ越した時は、先刻さつき散歩からの帰りの様に精神の困憊を感じてゐなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
えにしは、目に見えないが、常に行いのうえにあらわれる。夫人は、何ごとも知らずに、房枝あやうしと感じて、帆村探偵の力をもとめたのであった。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼と信仰の間のえにし聖盤サクロフォンテのほとりに結ばれ、かれらかしこにて相互かたみの救ひをその聘物おくりものとなしゝ後 六一—六三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
忘れんとして躊躇ちゅうちょする毛筋の末を引いて、細いえにしに、絶えるほどにつながるる今と昔を、のあたりに結び合わすにおいである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
江戸川べりに住む小身者のわかい侍は、本郷の親類のもとまで往って、其処で酒を振舞われたので、好い気もちになって帰って来た。
花の咲く比 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
といって、廊下へ出た。うんげんべり畳敷たたみじきで、天井の高い広廊下は、凍った風で寒かった。信祝は、急ぎ足に、一つ角を曲ると
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「御町内から江戸川べりの娘達を集めて盆踊りのもよほしがあつたよ。奧方の御望みでな——、踊り子には一人百疋づつの御祝儀が出た上大した御馳走でな——」
貫一はその相貌そうぼう瞥見べつけんりて、ただちに彼の性質をうらなはんとこころむるまでに、いと善く見極みきはめたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかし詩の変体としてこれをれば、脚本、小説の価値も認めずには置かれず、脚本にって演じいだす劇も、高級芸術として尊重しなくてはならなくなる。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
渠はいかにしてかなきそでを振りける? 魚は木にりて求むべからず、渠は他日の興行を質入れして前借りしたりしなり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
またこれから日本につぽんまで夫人等ふじんら航海かうかいともにするやうになつた不思議ふしぎゆかり言葉ことばみじかかたると
孔子こうしの教えのごときは、よほど俗界にゆかりの近いものであるが、なお恭謙譲の三者をもって最高の徳として考えている。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
もう自分には何のゆかりもなくなった遠い前世の夢が、くいもなく、ただ遥かな想い出のようによみがえって来るのです。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
おくさまとろ/\としてお目覺めさむれば、まくらもとのゑんがはに男女なんによはなこゑさのみはゞかる景色けしき
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
鼻紙はながみうへけておしひねり、雪灯ぼんぼり片手かたてゑんいづれば天井てんぜうねづみがた/\とれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
桂次けいじいまをる此許こゝもと養家やうかゑんかれて伯父をぢ伯母をばといふあひだがらなり
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まるで青菜に塩のていで、考え込みながらふらふらと数寄屋橋すきやばし御門から西紺屋にしこんや河岸かしぷちへ出た。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
この人がまだ普魯西プロシヤ王フレデリキ・ウイルレム四世の皇弟であつた一八四九年のある秋の日、御微行おしのびでライン河のかはぷちをぶらぶらしてゐた事があつた。
にんじん——それに、とうさんだって、ここより水っぷちのほうがいいよ。草の上へ寝転ねころんどいでよ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
夕露にひもとく花は玉鉾たまぼこのたよりに見えしえにこそありけれ
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
みをつくし恋ふるしるしにここまでもめぐり逢ひけるえには深しな
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
実に上々のお生れだが金銭の福はない。他の福禄が十分にあるお人だ。すぐれたところをあげれば、才もあり智もあり、物にたくみあり、悟道のえにしもある。ただ惜むところはのぞみが大きすぎて破れるかたちが見える。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
しかしながらまたよく考えてみると、近ごろ世間には、数年断絶したことの知れている家を、ゆかりのない他氏他門から、勝手に相続することもある。
小田中左門次——八丁堀にゆかりのある役人は、當時役得だけでも大名暮しができたと言はれてをりますが、その八丁堀同心の、小田中左門次が舌を卷くのです。
鍵を見てから、急に昨夜とはガラリと態度を変えた秀蓮尼は、そも如何なるゆかりの人物であろうか。
鍵から抜け出した女 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今は失くした日本橋の旧居で使っていた道具のなかからわずかに残しておいたこの手のこんだ彫刻ぶちの姿見で化粧をするのは、小初には寂しい。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
河岸ぶちへ来て、己が正体なくなって土地じびたへ坐った時に、常がこう/\と云った事はかすかに覚えてるが
丸顔で色の真黒まっくろな、目のきょろりとしたのが、一人はベエスボオルの小手をめた手を振るし、就中なかんずく一人ロイドぶちの大目金を掛けたのが、チュウインガムをニチャニチャとみながら
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
旅の若い女性ニヨシヤウは、型摺りの大樣な美しい模樣をおいた著る物を襲うて居る。笠は、淺いヘリに、深い縹色ハナダの布が、うなじを隱すほどに、さがつてゐた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
旅の若い女性ニヨシヤウは、型摺りの大樣な美しい模樣をおいた著る物を襲うて居る。笠は、淺いヘリに、深い縹色ハナダの布が、うなじを隱すほどに、さがつてゐた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
旅の若い女性ニヨシヤウは、型摺カタズりの大様な美しい模様をおいたる物をヨソうて居る。笠は、浅いヘリに、深い縹色ハナダイロの布が、うなじを隠すほどに、さがつてゐた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
宗教及び道徳は彼のシバルリイに欠くべからざる要素なりしに、我が平民のシバルリイは寧ろ当時の道徳組織をしりぞけ、宗教にはちなみ薄きものにてありし。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
そうして馬の背の上に、梅鉢の紋らしいのが見えるところによって見れば、これは、やはりこの街道の神様である加州家にちなみのある荷馬にうまであることも推測おしはかられます。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
花の寺は西行法師にちなみのある古いお寺で、向う町から乗合バスでゆけますが、何しろ、寺の手前二十町のところまでしかゆきませんから、道をおっくうに思う人には少々難儀ですけれども、もし徒歩かちを厭わぬ人なら、却って楽しみです。
女の話・花の話 (新字新仮名) / 上村松園(著)
はや秋深くうつむく豆畑の麦稈帽子のつばの痛さよ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
四月にははやつば広の帽を被つた
わがひとに与ふる哀歌 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
ばっさりと垣にかかるあわせの頃は、さまでに心を動かすよすがともならぬと油断する翌朝よくあさまたばさりと落ちる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分は天の冥加みょうがに叶って今かくとうとい身にはなったが、氏も素性もないものである、草刈りが成上ったものであるから、いにしえ鎌子かまこ大臣おとど御名おんなよすがにして藤原氏になりたいものだ。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
やや小さくて、フチがあつて、盛り物でもするらしい机代りの品を、「外居案ホカヰヅクヱ」と言ふらしい。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
耕二はその笑に全く無関心のやうに、卓の端にのつかつてる茶々碗のフチに光つてる小さな電燈に吸ひ込まれるやうにそれをみながら、「緑茶センチヤ」と言つて口をムクムク動かした。
耕二のこと (新字旧仮名) / 中原中也(著)
それ故七兵衞さんを殺していんの下へ隠したのでございましょうと私が云うたら、あんたも直に縛られて行って、お処刑しおきを受けんではなるまいが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
七兵衞がっては邪魔になるというて、とゝまの七兵衞を薪割で打殺ぶちころし、本堂のいんの下へかこしたところが、われえ事は出来でけぬものじゃなア、心棒が狂いまごうたから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こうして二時間ち、十二時が打つや、あおい顔のお政は死人のように横たわっているのを見届けて、前夜は盗賊を疑ごうて床を脱け出た自分は、今度は自身盗賊のように前夜よりも更に静に、更に巧に、寝間を出て、えんがわの戸を一分又た一分に開け、跣足はだし外面そとに首尾能く出た。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
これりの話だよ、たれにもしらしてはなりませんよ。私がだ若い時分、お里の父上おとうさまえんづかない前にある男に言い寄られて執着しゅうねく追いまわされたのだよ。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
当主の公爵、公爵夫人、手伝いに来てくれた、アンドレーセン子爵にかたづいているめいのソールヴェイグ夫人、その母親のフロム夫人、それらの人々ともどもホール入口で客を迎えて、すでに来客たちのことごとくが大広間ホールや控えの間一杯に満ちあふれて、歓談笑声煙草の煙は濛々と、邸の内外にゴッタ返している時であった。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「あなたがどうでも家にいれば、今日から私の方で、あなたのいる間、親類へでも何処へでも行っている。……奉公にでも行く。……好いくちがあれば、明日でもかたづかねばならぬ。……同じ歳だって、女の三十四では今の内早く何うかせねば拾ってくれ手が無くなる。」と言うから、
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
うれしきことにていまわたくしわがまゝをもゆるたまひ、おもことなき今日此頃けふこのごろ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
世の人いけるを以てまかれるひとに誤つことを惡む、此れ其のことのもとなり
支那歴史的思想の起源 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
此れ世の人の所謂反矢かへしやむべしと云ふことのもとなり
支那歴史的思想の起源 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
大変殿様の御気に入りで、猿にちなんだものを時々下さった。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この大夕立が秩父山を通り過ぎて、東の地平線上に銀のりを着けたような一塊の雲となって、東京の空あたりに余勢を逞しうするのは、三時間も経った後である。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
あをぐろい茂りを東北地方夏季中特有の優しみある空に、高くのびのびと差出してゐる松の廣い方陣、その方陣と方陣とのあひだに所々空間があつて、綺麗な芝生カガハラへりどつた野球グラウンド、テニス・コート
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
褥の下には別に御畳といって、高麗りの少し広い一畳を敷く。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
王栄老は郊外電車の不通に出会つた銀行員のやうに、荷物を横抱きにぶつぶつぼやきながら、かはぺりの宿屋に入つた。
妾はいろいろとよりを探してみた。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)