“縁”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふち37.9%
えん22.7%
へり18.0%
えにし6.1%
べり2.7%
2.2%
ゆかり1.9%
ゑん1.3%
ぷち1.1%
えに0.9%
ぶち0.5%
ゆか0.5%
ヘリ0.4%
ちなみ0.3%
0.2%
ちな0.2%
つば0.2%
よすが0.2%
フチ0.2%
いん0.1%
ことのもと0.1%
えんがわ0.1%
えんづ0.1%
かた0.1%
くち0.1%
こと0.1%
0.1%
へりど0.1%
0.1%
ぺり0.1%
0.1%
みどり0.1%
めぐ0.1%
よし0.1%
よつ0.1%
ゑに0.1%
ゑにし0.1%
エニシ0.1%
エン0.1%
ブチ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
寒い時分で、私は仕事机のわき紫檀したん長火鉢ながひばちを置いていたが、彼女はその向側むこうがわ行儀ぎょうぎよく坐って、両手の指を火鉢のふちへかけている。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
鮓売すしうりの女も日が近くば、桶はそのえんの隅へ置いたがいぞ。わ法師も金鼓ごんくはずしたらどうじゃ。そこな侍も山伏もたかむしろを敷いたろうな。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
旅の若い女性によしやうは、型摺りの美しい模様をおいた麻衣を著て居る。笠は浅いへりに、深いはなだ色の布が、うなじを隠すほどにさがつてゐる。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
かの新婦はなよめ——即ち大聲おほごゑによばはりつゝ尊き血をもてこれとえにしを結べる者の新婦——をしてそのいつくしむ者のもとくにあたり 三一—三三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
私たちは坂を降りて江戸川べりを船河原橋の方へと往った。片側町の家の後はもう焼け落ちて、その火は後の砲兵工廠の火に続いていた。
変災序記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこに吾々は有限の形につて無限の生命に接觸し到達することを感ずる。有限固定の物質の中に、無限の生命の躍動を感ずる。
生みの力 (旧字旧仮名) / 片上伸(著)
『未だ聞かれずや、大臣殿(宗盛)の思召おぼしめしにて、主上しゆじやうを始め一門殘らず西國さいごくに落ちさせ給ふぞや、もしゆかりの人ならば跡より追ひつかれよ』
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
いま苦勞くらうこひしがるこゝろづべし、かたちよくうまれたる不幸ふしやはせ不相應ふさうおうゑんにつながれていくらの苦勞くらうをさすることあはれさのまされども
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
がけぷちに枝を差しのべていた山百合と一緒に、その辺に咲いている野性の花をむしり取って来て、鉄柵を乗り越えて墓前に供えて置いた。
逗子物語 (新字新仮名) / 橘外男(著)
落し娘兩人は苦界へしづみ夫のみ成らで其身まで此世のえにし淺草なる此中田圃なかたんぼの露と共にきえて行身のあはれさはたとふるものぞなかりける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今は失くした日本橋の旧居で使っていた道具のなかからわずかに残しておいたこの手のこんだ彫刻ぶちの姿見で化粧をするのは、小初には寂しい。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかしながらまたよく考えてみると、近ごろ世間には、数年断絶したことの知れている家を、ゆかりのない他氏他門から、勝手に相続することもある。
訝しく、襟元を見ると、あたりまえに襟をつけず、深くくって細い白羽二重のヘリがとってある。私共はいつもそういうのを着て居る。
木蔭の椽 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
宗教及び道徳は彼のシバルリイに欠くべからざる要素なりしに、我が平民のシバルリイは寧ろ当時の道徳組織をしりぞけ、宗教にはちなみ薄きものにてありし。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
かくのごとく一方には史前時代と、他方には有史時代とが、かすかながらに、あるにしの糸で結び付けられているような現象も少くはないのである。
「サクソンのかしこき神にちなみてぞ、けふをば『ヱンスデイ』といふ。その神見ませ、よるよりも暗くさびしき墳墓おくつきに、くだりゆくまで我が守る宝といふは誠のみ。」
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
はや秋深くうつむく豆畑の麦稈帽子のつばの痛さよ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一葉いちよう落ちてと云う句は古い。悲しき秋は必ず梧桐から手をくだす。ばっさりと垣にかかるあわせの頃は、さまでに心を動かすよすがともならぬと油断する翌朝よくあさまたばさりと落ちる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かなり大きなもので、唐櫃めいた風らしく考へられる。其やや小さくて、フチがあつて、盛り物でもするらしい机代りの品を、「外居案ホカヰヅクヱ」と言ふらしい。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
わしあわてゝな庭の物置の中へ隠れまして、薪の間に身を潜めて居りますると、庄吉め本堂のいんの下へ逃げて這込んで見ると、先に一人隠れてる奴が
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これは世の人がかういふ風に傳えてゐる「ことのもとなり」といふことをよく言つて居ります。
支那歴史的思想の起源 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
更に巧に、寝間を出て、えんがわの戸を一分又た一分に開け、跣足はだし外面そとに首尾能く出た。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
これりの話だよ、たれにもしらしてはなりませんよ。私がだ若い時分、お里の父上おとうさまえんづかない前にある男に言い寄られて執着しゅうねく追いまわされたのだよ。けれども私は如何どうしても其男の心に従わなかったの。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
アンドレーセン子爵にかたづいているめいのソールヴェイグ夫人、その母親のフロム夫人、それらの人々ともどもホール入口で客を迎えて
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
……好いくちがあれば、明日でもかたづかねばならぬ。……同じ歳だって、女の三十四では今の内早く何うかせねば拾ってくれ手が無くなる。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
わたくしをば母親はゝおやおもざしるにかんたねとてせつけもいたされず、朝夕あさゆふさびしうてくらしましたるを、うれしきことにていまわたくしわがまゝをもゆるたまひ、おもことなき今日此頃けふこのごろ、それは勿體もつたいないほどの有難ありがたさも
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この大夕立が秩父山を通り過ぎて、東の地平線上に銀のりを着けたような一塊の雲となって、東京の空あたりに余勢を逞しうするのは、三時間も経った後である。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
あをぐろい茂りを東北地方夏季中特有の優しみある空に、高くのびのびと差出してゐる松の廣い方陣、その方陣と方陣とのあひだに所々空間があつて、綺麗な芝生カガハラへりどつた野球グラウンド、テニス・コート
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
側役が宜しう御坐りますというと、それから小姓がしとねを敷くのである。褥の下には別に御畳といって、高麗りの少し広い一畳を敷く。これは御居間方と云う坊主があって、持ち出して敷く。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
王栄老は郊外電車の不通に出会つた銀行員のやうに、荷物を横抱きにぶつぶつぼやきながら、かはぺりの宿屋に入つた。
妾はいろいろとよりを探してみた。だがそれがどうしてもハッキリ分らない。実は父が死んだときは、妾が十歳のときのことであるが、そのとき父についていた身内というのは妾一人だった。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
汝また知るべし、一の罪とともに、まさしくこれと相反する咎、そのみどりをこゝにらすを 四九—五一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
をぎ一四六尾花のたけ人よりもたかく生茂おひしげり、露は時雨めきて降りこぼれたるに、一四七三つのみちさへわからざる中に、堂閣の戸右左みぎひだりたふれ、方丈はうぢやう一四八庫裏くりめぐりたるらう
然れども後には、その伺見かきまみたまひし御心を恨みつつも、ふる心にえへずして、その御子をひたしまつるよしに因りて、そのいろと玉依毘賣に附けて、歌獻りたまひき。その歌
みづうつつきうばはんとする山猿やまざるよ、無芸むげい無能むのうしよくもたれ総身そうみ智恵ちゑまはりかぬるをとこよ、よつうをもとくさうつへびをどろ狼狽うろたへものよ、白粉おしろいせて成仏じやうぶつせんことねが艶治郎ゑんぢらう
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
づかしや女子をんな不似合ふにあひくだものりも一重ひとへ活計みすぎためのみならず便たよりもがなたづねたやの一しんなりしがゑにしあやしくかたありて不圖ふとれられし黒塗塀くろぬりべい勝手かつてもとにあきなひせしときあとにてけば御稽古おけいこがへりとやじやうさまのしたるくるまいきほひよく御門内ごもんうち引入ひきいるゝとてでんとするわれ行違ゆきちがひしがなにれけんがさしたる櫛車くしくるままへには
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
桂の橋の欄杆に、水音聞いてゐるところへ、通り掛かつた人こそは、後に舅となるほどの、深いゑにしか。その時から他人ではない深切に、我を身投げと思ふたか。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
そのやうに思ひがけなく、ぷつゝりと——とぎれたやまと・沖縄の民族のエニシの糸——。
沖縄を憶ふ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其茶屋のエンの下には、今でも鬼灯が生えるといふ物語りを、母が其まゝ、私等に聞かせた。
三郷巷談 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
鶸焼くや炉ブチにならぶ皿小鉢
松本たかし句集 (新字旧仮名) / 松本たかし(著)