“ぶち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
39.9%
扶持29.7%
7.4%
斑点3.4%
斑犬3.4%
2.7%
2.7%
2.0%
1.4%
斑牛1.4%
(他:9)6.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
んちはもうお立ちだしたで。何んやら急な用やいうて。」と、白粉のぶちになつた口元に微笑を寄せつゝ、女は言つた。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
それは長さ一尺に近いけものの毛で、大体は青黒いような色であるが、ところどころに灰色のぶちがあるようにも見える。
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あてがい扶持ぶちの低い家禄のものとして、余裕のないその日その日は、気の持ちようまでもぎすぎすさせ一図にさせたのだ。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
井上源兵衛といえば、九両三人扶持ぶちを頂いて、小身ながらも、君候在世ざいせいみぎりはお勝手元勘定方を勤めていた老人である。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
角「馬鹿野郎、まだ金を借りたいと云うか、名主へ連れてくのは面倒だからぶちのめしたんだ、けったらかねえか」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
滅多に手荒なことをしたことのなかった父親をして、しまいにお島の頭髪たぶさつかんで、彼女をそこに捻伏ねじふせてぶちのめすような憤怒を激発せしめた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
例の牛は土手にあがると、のそりのそりと曳子ひきこと一緒に歩いて行った。白の斑点ぶちはまるで雲のように鮮やかだった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
舟中の牛の背中にある白い斑点ぶちがやっと見えるくらい遠のいた時分に、男は乗客に聞えぬ低い声でささやいた。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
日向ひなたへのッそりと来た、茶の斑犬ぶちが、びくりと退すさって、ぱっと砂、いや、そのざまあわただしさ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また其が貴人の屍體であツたとしても、賤婦野人の屍體であツたとしても、彼は其處に黒犬くろ斑犬ぶちとの差別を付けようとしなかツた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
みんなは町の祭りのときのガスのようなにおいの、むっとするねむの河原を急いで抜けて、いつものさいかちぶちに着きました。
風の又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
別に名前のあるような淵ではないんで、村の者はトチぶちトチ淵と云っていましたが、さあ、どう云う字を書きますかな。
紀伊国狐憑漆掻語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
河岸ぶちへ来て、己が正体なくなって土地じびたへ坐った時に、常がこう/\と云った事はかすかに覚えてるが
今は失くした日本橋の旧居で使っていた道具のなかからわずかに残しておいたこの手のこんだ彫刻ぶちの姿見で化粧をするのは、小初には寂しい。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「山」と「川」が合った。二人は人通りのあまり多くない河ぶちを下りて行った。少し行くと、男が、
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
それは石狩川の川ぶちに沿つてゐる林だつた。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
巡「コラ、仮令たとい其の方をぶち打擲ちょうちゃくを致したにもせよ人を打擲するのみならず、此の谷川へ投落すと云う理由わけはあるまい、乱暴な事をして、えゝこれ、派出へ来なさい」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぶちのめしても飽足りない奴だ」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「この斑牛ぶちは、いつぞや荷を乗せて、山の無動寺へ行った商人あきんどに、牛方なしで貸した牛だ。おさむれえさん、いくらか牛賃をおくんなせえ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……お? あの斑牛ぶちだが」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お由良の肩の斑點ぶちを、俺はなぐつた傷だと思ふよ——毒で死んだのなら、口の中がどうかなつてゐる筈だし、胸のあたりにも斑點が出る筈だ」
瀉にはまた「ワラスボ」といふ鰻に似て肌の生赤い斑點ぶちのある、ぬるぬるとした靜脈色の魚もゐた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
禄高は五石二人扶持ぶちという指南番にしては甚しい小禄であるが、オカへあがるとバカであるから、領下の民にサムライをバカにさせる気風をつくってはこまる。そこで源左が、
「こんな大きな斑猫ぶちを!」
薄暮の貌 (新字旧仮名) / 飯田蛇笏(著)
髪は、禿げ上がり、顔は赤黒い無気味な照りを持って、れた唇のわきには、紫いろの斑痕ぶちが出来ていて、人の二倍もあるかのように全体が畸形きけいに大きくふくれているのだ。
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、自ら手拭出して拭きたりしも、化学染めの米沢平、乾ける後には、さだめて斑紋ぶちを留めたらん。気の毒に。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
毛むくじゃらの小さな斑馬ぶちも、やはり体じゅう真っ白になって、こほんこほん咳をしていた。
白斑ぶちの大きな木馬のくらの上に小さい主人が、両足をん張ってまたがると、白い房々したたてがみを動かして馬は前後に揺れるのだった。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
それから黒虎斑ぶちの這入った石造の大煖炉だんろ
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)