斑犬ぶち)” の例文
また其が貴人の屍體であツたとしても、賤婦野人の屍體であツたとしても、彼は其處に黒犬くろ斑犬ぶちとの差別を付けようとしなかツた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「畜生、しッ……畜生。」とこぶし揮廻ふりまわすのが棄鞭すてむちで、把手ハンドルにしがみついて、さすがの悪垂真俯向まうつむけになって邸町へ敗走に及ぶのを、斑犬ぶちは波を打ってさっと追った。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
斑犬ぶちに掘りぞへられて
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
日向ひなたへのッそりと来た、茶の斑犬ぶちが、びくりと退すさって、ぱっと砂、いや、そのざまあわただしさ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
斑犬ぶちに掘りぞべられて
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)