“斑々”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はん/\38.8%
はんはん29.9%
はんぱん17.9%
まだらまだら4.5%
ぶちぶち3.0%
てん/\1.5%
はだらはだら1.5%
まばらまばら1.5%
むらむら1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
月は一庭のじゆらし、樹は一庭の影を落し、影と光と黒白こくびやく斑々はん/\としてにはつ。えんおほいなるかへでの如き影あり、金剛纂やつでの落せるなり。
良夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
そして左足も捥ぎとられているとみえて、鮮血はすでにドスぐろあたり一帯の草の葉を染め、斑々はんはんとして地上一面にこびりついていた。
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
猪熊の爺の死骸は、斑々はんぱんたる血痕けっこんに染まりながら、こういうことばのうちに、竹と凌霄花との茂みを、次第に奥深くかれて行った。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
岐阜ぎふ清洲きよすなどとちがい、彼の地に、菜の花が咲き、桜も散る頃になって、ようやく、野や山が、斑々まだらまだら雪解ゆきげしてまいる」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(牛の肉の中で一番上等がの舌だといふのは可笑をかしい。よだれで粘々ねばねばしてる。おまけに黒い斑々ぶちぶちがある。歩け。こら。)
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
斑々てん/\と血が附いて居るのも無氣味です。
銭形平次捕物控:260 女臼 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
折々、サヤサヤと花のこずえが鳴り、さくもない倉院の満庭はただ斑々はだらはだらな落花の静寂しじまであった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八月の暑い日の光が広庭一面の青いこけの上にしげった樹木のかげを投げています。真黒まっくろな木の葉の影の間々に、強い日光が風の来る時斑々まばらまばらに揺れ動くのが如何いかにも美しい。せみが鳴く。からすく。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ひげのある親仁おやじが、紺の筒袖を、斑々むらむら胡粉ごふんだらけ。腰衣のような幅広の前掛まえかけしたのが、泥絵具だらけ、青や、あかや、そのまま転がったら、楽書らくがき獅子ししになりそうで、牡丹ぼたんをこってりと刷毛はけえどる。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)