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斑々
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はんはん
ふりがな文庫
“
斑々
(
はんはん
)” の例文
そして左足も捥ぎとられているとみえて、鮮血はすでにドス
黝
(
ぐろ
)
く
辺
(
あたり
)
一帯の草の葉を染め、
斑々
(
はんはん
)
として地上一面にこびりついていた。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
仮名書きの美しかりし手跡は
痕
(
あと
)
もなく、その人の筆かと疑うまで字はふるい墨はにじみて、涙のあと
斑々
(
はんはん
)
として残れるを見ずや。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
抜きかけたが、ベリッと、いいそうな、
硬
(
こわ
)
い感触にもためらわれた。
斑々
(
はんはん
)
と、紙端に黒く
乾
(
ひ
)
からびているのは、血の痕らしい。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに、平次の早い眼は、娘の帯から
裾
(
すそ
)
へかけて、
斑々
(
はんはん
)
と血潮の付いているのを、
咄嗟
(
とっさ
)
の間に見て取ったのです。
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
万丈の
塵
(
ちり
)
の中に人の家の屋根より高き処々、中空に
斑々
(
はんはん
)
として
目覚
(
めざま
)
しき
牡丹
(
ぼたん
)
の花の
翻
(
ひるがえ
)
りて見え候。
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
斑々
(
はんはん
)
と何かまぶしい白金光
駱駝の瘤にまたがつて
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
そのあたりの草いッぱい、
曼珠沙華
(
まんじゅしゃげ
)
という
地獄花
(
じごくばな
)
が
咲
(
さ
)
いたように、三ツの
死骸
(
しがい
)
の
返
(
かえ
)
り
血
(
ち
)
が
斑々
(
はんはん
)
とあかく
燃
(
も
)
えている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
血に染んで
斑々
(
はんはん
)
としてはおりますが、柄に巻いた
籐
(
とう
)
や、使い込んだ刃の減りに、見違えようはなかったのです。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その辺になお
血痕
(
けっこん
)
斑々
(
はんはん
)
として、滴り落ちているかと疑われんばかり、
肌
(
はだ
)
に
粟
(
あわ
)
の生ずるのを覚ゆる。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
葎
(
むぐら
)
の中に日が射して、
経巻
(
きょうかん
)
に、蒼く月かと思う草の影が
映
(
うつ
)
ったが、見つつ進む内に、ちらちらと
紅
(
くれない
)
来
(
きた
)
り、
黄
(
き
)
来
(
きた
)
り、
紫
(
むらさき
)
去
(
さ
)
り、
白
(
しろ
)
過
(
す
)
ぎて、
蝶
(
ちょう
)
の
戯
(
たわむ
)
るる
風情
(
ふぜい
)
して、
偈
(
げ
)
に
斑々
(
はんはん
)
と
印
(
いん
)
したのは
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
斑々
(
はんはん
)
とかくはさやかに
故郷の花
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
鶏
(
とり
)
の足痕みたいに
斑々
(
はんはん
)
と、血が
零
(
こぼ
)
れて行く。——右往左往する人々が、それを踏みつけるので殿中は赤く汚れた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
畳の上に
斑々
(
はんはん
)
とした泥足の跡。ガラッ八にそう言われるまでもなく、証拠は揃いすぎるほど揃っております。
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
徳松の
顎
(
あご
)
から下は、手も胸も、着物も
斑々
(
はんはん
)
たる血潮に染んでいることに、源吉は気がついたのです。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
尺八の籐に喰い込んで、
微
(
かす
)
かながら
斑々
(
はんはん
)
と残るのは紛れもなく古い血潮の
痕
(
あと
)
だったのです。
銭形平次捕物控:070 二本の脇差
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
尊い仏像の剣に
碧血
(
へきけつ
)
の
斑々
(
はんはん
)
たるのは、あまりにも
冒涜
(
ぼうとく
)
的で、結構な心持にはなれません。
銭形平次捕物控:130 仏敵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
六畳はまだ掃除が済まなかったものか、
斑々
(
はんはん
)
たる血潮で、昨夜の惨劇がよく解ります。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
斑々
(
はんはん
)
たる老の涙は、夜の大地に落ちて、祭の遠音も身内をかきむしるように響きます。
銭形平次捕物控:017 赤い紐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
石材の山を染めて、
斑々
(
はんはん
)
たる
碧血
(
へきけつ
)
、全く眼も当てられません。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
美濃紙
(
みのがみ
)
を巻いた羽を染めたのは、
斑々
(
はんはん
)
たる血潮です。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
斑
常用漢字
中学
部首:⽂
12画
々
3画
“斑”で始まる語句
斑
斑点
斑紋
斑鳩
斑猫
斑雪
斑點
斑犬
斑入
斑牛