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斑々
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はんぱん
ふりがな文庫
“
斑々
(
はんぱん
)” の例文
猪熊の爺の死骸は、
斑々
(
はんぱん
)
たる
血痕
(
けっこん
)
に染まりながら、こういうことばのうちに、竹と凌霄花との茂みを、次第に奥深く
舁
(
か
)
かれて行った。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
馳け合うことしばし、周謹の体や黒馬の肌には、白い
痕
(
あと
)
が
斑々
(
はんぱん
)
と描き出されたのにひきかえ、楊志の五体や駒には一点の痕もついていない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秋冬の
交
(
こう
)
、深夜夢の中に疎雨
斑々
(
はんぱん
)
として窓を
撲
(
う
)
つ音を聞き、
忽然
(
こつぜん
)
目をさまして燈火の消えた部屋の中を見廻す時の心持は
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ある街道筋の裏に
斑々
(
はんぱん
)
する
孟棕藪
(
もうそうやぶ
)
の
小径
(
こみち
)
を
潜
(
くぐ
)
ると、かの女の服に翠色が滴り染むかと思われるほど涼しい陰が、都会近くにあることをかの女に知らした。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
黙々
(
もくもく
)
の第一打者は五大洲である。かれはかんかんにおこっていた。かれは頭の鉢巻きをかなぐりすてたとき、その
斑々
(
はんぱん
)
たる
火傷
(
やけど
)
のあとが現われたので見物人はまたまた喝采した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
▼ もっと見る
起き上って月光りに
透
(
すか
)
して見ると、
斑々
(
はんぱん
)
たる一通の血染の手紙、押し開くと中は紛れもないお通の手で、加州御重役の悪辣さから、自分の命の危いこと、父の命までも狙われていることを
天保の飛行術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ばかりか
紅
(
くれない
)
斑々
(
はんぱん
)
生血
(
なまち
)
が諸所にしたたっている。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
、燈心の明りでよく見ますと、
梁
(
はり
)
や板戸に、
斑々
(
はんぱん
)
と、うるしのような黒い物がこびりついています。よく見るとそれはすべて人間の血です。この城を
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と思うと、沙金の手に
弓返
(
ゆがえ
)
りの音がして、まっさきに進んだ白犬が一頭、たかうすびょうの矢に腹を縫われて、苦鳴と共に、横に倒れる。見る間に、黒血がその腹から、
斑々
(
はんぱん
)
として砂にたれた。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
平次は辰五郎の
酔顔
(
すいがん
)
の前に、その
斑々
(
はんぱん
)
たる
得物
(
えもの
)
を突きつけました。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
硝子
(
ガラス
)
戸から客間を
覗
(
のぞ
)
いて見ると、
雨漏
(
あまも
)
りの
痕
(
あと
)
と鼠の食つた穴とが、白い紙張りの
天井
(
てんじやう
)
に
斑々
(
はんぱん
)
とまだ残つてゐる。が、十畳の座敷には、赤い
五羽鶴
(
ごはづる
)
の
毯
(
たん
)
が敷いてあるから、畳の古びだけは
分明
(
ぶんみやう
)
でない。
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
中から出て来たのは、
斑々
(
はんぱん
)
と鮮血に染んだ、小判が二百枚。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
硝子戸から客間を
覗
(
のぞ
)
いて見ると、
雨漏
(
あまも
)
りの痕と鼠の食つた穴とが、白い紙張りの
天井
(
てんじよう
)
に
斑々
(
はんぱん
)
とまだ残つてゐる。が、十畳の座敷には、赤い
五羽鶴
(
ごはづる
)
の
毯
(
たん
)
が敷いてあるから、畳の古びだけは
分明
(
ぶんみやん
)
ではない。
漱石山房の秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
斑
常用漢字
中学
部首:⽂
12画
々
3画
“斑”で始まる語句
斑
斑点
斑紋
斑鳩
斑猫
斑雪
斑點
斑犬
斑入
斑牛