斑々はん/\)” の例文
月は一庭のじゆらし、樹は一庭の影を落し、影と光と黒白こくびやく斑々はん/\としてにはつ。えんおほいなるかへでの如き影あり、金剛纂やつでの落せるなり。
良夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
手に取つて見ると、長々とひものついた匕首で、刄には斑々はん/\たる血が附いて居り、紐も所々血にまみれて、三尺ほどのところでフツと切れて居るのです
ときとしては柳条にりて深処にぼつするをふせぎしことあれども、すすむに従うて浅砂せんさきしとなり、つひに沼岸一帯の白砂はくさげんじ来る、砂土人馬の足跡そくせき斑々はん/\として破鞋と馬糞ばふんは所々に散見さんけん
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
三河町の伊太松は、先に立つて物干臺から降りると、狹い空地の前に建つてゐる、土藏の入口の段々——斑々はん/\として血に染んでゐるのを指さすのです。
それに、平次の早い眼は、娘の帶から裾へかけて、斑々はん/\と血潮の附いてゐるのを、咄嗟とつさの間に見て取つたのです。
井戸は床までの深さざつと三間くらゐ、石を疊みあげた極めて原始的なものですが、底は乾ききつて水もなく、斑々はん/\たる血潮の飛び散つて居るのも無氣味です。
徳松のあごから下は、手も胸も、着物も帶も斑々はん/\たる血潮に染んでゐることに、源吉は氣がついたのです。
剃刀は二梃ともよく使ひ込んだもので、背と背を合せて、元結もとゆひでキリキリと縛つてありますが、斑々はん/\たる碧血へきけつが、にかはのやうに附いて見るからに無氣味なものです。
それは反りの少ない新刀で、一應いたとはいふものの、斑々はん/\たる血糊ちのりががこびりついてをります。
天井かられて、斑々はん/\と疊を染めてゐる赤黒い血溜りにきもを潰したのも無理のないことでした。
少年の顏や手足に、斑々はん/\たる蚊の跡を見て、平次は早くも昨夜の事情を察してゐた樣子です。
お勝手も次の間も、疊も唐紙も斑々はん/\たる血潮。そればかりでなく、今まで其處で組討をしてゐた八五郎までが、全身あけんで、すさまじくも恐ろしい姿になつてゐるのです。
疊の上には斑々はん/\と土足の跡が殘つて、同じやうに踏み荒された縁側、其處には雨戸が一枚、外からのみでコジ明けたまゝの口を開けて、眞晝の陽がカンカンに入つて居るのです。
取散らした小切れ——赤いの青いの紫の、色とり/″\の品は、一とまとめにして、部屋の隅につくねてありますが、それを染めて斑々はん/\たる乙女の血は、平次の心を暗くさせます。
尊い佛像の劍に碧血へきけつ斑々はん/\たるのは、あまりにも冒涜的で、結構な心持にはなれません。
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
六疊はまだ掃除さうぢが濟まなかつたものか、斑々はん/\たる血潮で、昨夜の慘劇ざんげきがよく解ります。
中味は斑々はん/\たる血、一同の眼は思はずその血刀と寺本金之丞の顏に釘付けになります。
もゝすそは、母親の手で僅かに隱されましたが、床を敷いて掻卷かいまきを引つ掛けて休んでゐるところをやられたらしく、斑々はん/\たる上半身を起して見ると、首から顏へかけて、突き傷が三四ヶ所
斑々はん/\たる碧血へきけつに染めて、隣の相模屋の若旦那榮三郎は、縁側の下に幾十とも知れぬ傷を負うて斬り殺され、多之助の弟で——今は此家の主人あるじの多見治は、居間の八疊に、相手の一と突きを
奸智かんちにだけけて、武藝の心得の怪しい石卷左陣を取つて押へると、丁度八五郎は、下水の蓋になつてゐる御影石みかげいしを起して、その下から三百兩の金包と、碧血へきけつ斑々はん/\たる脇差を搜し出したのでした。
下女の話を大概たいがいにして、外へ出て見ると、昨日の雨で生乾なまかわきの大地には、斑々はん/\として足跡が入り亂れ、どれが曲者のやらわかりませんが、そのこと/″\くが女物の水下駄で、現に鼻緒はなをのゆるんだのが二足
裏板をハネ上げて、それを引下ろすと、手に從つて猛烈なほこりと一緒にズルズルと落ちて來たのは、まさに紫矢絣むらさきやがすりあはせが一枚、見ると胸から袖へ、裾へかけて、斑々はん/\と黒ずんだ血潮が附いて居るのです。
石材いしの山を染めて、斑々はん/\たる碧血、全く眼も當てられません。
中から出て來たのは、斑々はん/\と鮮血に染んだ、小判が二百枚。
美濃紙みのがみを卷いた羽を染めたのは、斑々はん/\たる血潮です。
平次はその斑々はん/\たる手槍の折れを眺めて居ります。
ひどく血が飛沫しぶいて、斑々はん/\たる凄まじさです。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)