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斑々
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はん/\
ふりがな文庫
“
斑々
(
はん/\
)” の例文
月は一庭の
樹
(
じゆ
)
を
照
(
て
)
らし、樹は一庭の影を落し、影と光と
黒白
(
こくびやく
)
斑々
(
はん/\
)
として
庭
(
には
)
に
満
(
み
)
つ。
椽
(
えん
)
に
大
(
おほい
)
なる
楓
(
かへで
)
の如き影あり、
金剛纂
(
やつで
)
の落せるなり。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
手に取つて見ると、長々と
紐
(
ひも
)
のついた匕首で、刄には
斑々
(
はん/\
)
たる血が附いて居り、紐も所々血に
塗
(
まみ
)
れて、三尺ほどのところでフツと切れて居るのです
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
時
(
とき
)
としては柳条に
拠
(
よ
)
りて深処に
没
(
ぼつ
)
するを
防
(
ふせ
)
ぎしことあれども、
進
(
すす
)
むに従うて
浅砂
(
せんさ
)
の
岸
(
きし
)
となり、
遂
(
つひ
)
に沼岸一帯の
白砂
(
はくさ
)
を
現
(
げん
)
じ来る、砂土人馬の
足跡
(
そくせき
)
は
斑々
(
はん/\
)
として破鞋と
馬糞
(
ばふん
)
は所々に
散見
(
さんけん
)
す
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
三河町の伊太松は、先に立つて物干臺から降りると、狹い空地の前に建つてゐる、土藏の入口の段々——
斑々
(
はん/\
)
として血に染んでゐるのを指さすのです。
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それに、平次の早い眼は、娘の帶から裾へかけて、
斑々
(
はん/\
)
と血潮の附いてゐるのを、
咄嗟
(
とつさ
)
の間に見て取つたのです。
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
井戸は床までの深さざつと三間くらゐ、石を疊みあげた極めて原始的なものですが、底は乾ききつて水もなく、
斑々
(
はん/\
)
たる血潮の飛び散つて居るのも無氣味です。
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
徳松の
顎
(
あご
)
から下は、手も胸も、着物も帶も
斑々
(
はん/\
)
たる血潮に染んでゐることに、源吉は氣がついたのです。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
剃刀は二梃ともよく使ひ込んだもので、背と背を合せて、
元結
(
もとゆひ
)
でキリキリと縛つてありますが、
斑々
(
はん/\
)
たる
碧血
(
へきけつ
)
が、
膠
(
にかは
)
のやうに附いて見るからに無氣味なものです。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは反りの少ない新刀で、一應
拭
(
ふ
)
いたとはいふものの、
斑々
(
はん/\
)
たる
血糊
(
ちのり
)
ががこびりついてをります。
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
天井から
漏
(
も
)
れて、
斑々
(
はん/\
)
と疊を染めてゐる赤黒い血溜りに
膽
(
きも
)
を潰したのも無理のないことでした。
銭形平次捕物控:158 風呂場の秘密
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
少年の顏や手足に、
斑々
(
はん/\
)
たる蚊の跡を見て、平次は早くも昨夜の事情を察してゐた樣子です。
銭形平次捕物控:322 死の秘薬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お勝手も次の間も、疊も唐紙も
斑々
(
はん/\
)
たる血潮。そればかりでなく、今まで其處で組討をしてゐた八五郎までが、全身
紅
(
あけ
)
に
染
(
そ
)
んで、
凄
(
すさ
)
まじくも恐ろしい姿になつてゐるのです。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
疊の上には
斑々
(
はん/\
)
と土足の跡が殘つて、同じやうに踏み荒された縁側、其處には雨戸が一枚、外から
鑿
(
のみ
)
でコジ明けたまゝの口を開けて、眞晝の陽がカンカンに入つて居るのです。
銭形平次捕物控:175 子守唄
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
取散らした小切れ——赤いの青いの紫の、色とり/″\の品は、一と
纒
(
まと
)
めにして、部屋の隅につくねてありますが、それを染めて
斑々
(
はん/\
)
たる乙女の血は、平次の心を暗くさせます。
銭形平次捕物控:256 恋をせぬ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
尊い佛像の劍に
碧血
(
へきけつ
)
の
斑々
(
はん/\
)
たるのは、あまりにも冒涜的で、結構な心持にはなれません。
銭形平次捕物控:130 仏敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
六疊はまだ
掃除
(
さうぢ
)
が濟まなかつたものか、
斑々
(
はん/\
)
たる血潮で、昨夜の
慘劇
(
ざんげき
)
がよく解ります。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中味は
斑々
(
はん/\
)
たる血、一同の眼は思はずその血刀と寺本金之丞の顏に釘付けになります。
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
股
(
もゝ
)
や
裾
(
すそ
)
は、母親の手で僅かに隱されましたが、床を敷いて
掻卷
(
かいまき
)
を引つ掛けて休んでゐるところをやられたらしく、
斑々
(
はん/\
)
たる上半身を起して見ると、首から顏へかけて、突き傷が三四ヶ所
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
斑々
(
はん/\
)
たる
碧血
(
へきけつ
)
に染めて、隣の相模屋の若旦那榮三郎は、縁側の下に幾十とも知れぬ傷を負うて斬り殺され、多之助の弟で——今は此家の
主人
(
あるじ
)
の多見治は、居間の八疊に、相手の一と突きを
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
奸智
(
かんち
)
にだけ
長
(
た
)
けて、武藝の心得の怪しい石卷左陣を取つて押へると、丁度八五郎は、下水の蓋になつてゐる
御影石
(
みかげいし
)
を起して、その下から三百兩の金包と、
碧血
(
へきけつ
)
斑々
(
はん/\
)
たる脇差を搜し出したのでした。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
下女の話を
大概
(
たいがい
)
にして、外へ出て見ると、昨日の雨で
生乾
(
なまかわ
)
きの大地には、
斑々
(
はん/\
)
として足跡が入り亂れ、どれが曲者のやらわかりませんが、その
悉
(
こと/″\
)
くが女物の水下駄で、現に
鼻緒
(
はなを
)
のゆるんだのが二足
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
裏板をハネ上げて、それを引下ろすと、手に從つて猛烈な
埃
(
ほこり
)
と一緒にズルズルと落ちて來たのは、まさに
紫矢絣
(
むらさきやがすり
)
の
袷
(
あはせ
)
が一枚、見ると胸から袖へ、裾へかけて、
斑々
(
はん/\
)
と黒ずんだ血潮が附いて居るのです。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
石材
(
いし
)
の山を染めて、
斑々
(
はん/\
)
たる碧血、全く眼も當てられません。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中から出て來たのは、
斑々
(
はん/\
)
と鮮血に染んだ、小判が二百枚。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
美濃紙
(
みのがみ
)
を卷いた羽を染めたのは、
斑々
(
はん/\
)
たる血潮です。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次はその
斑々
(
はん/\
)
たる手槍の折れを眺めて居ります。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ひどく血が
飛沫
(
しぶ
)
いて、
斑々
(
はん/\
)
たる凄まじさです。
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
斑
常用漢字
中学
部首:⽂
12画
々
3画
“斑”で始まる語句
斑
斑点
斑紋
斑鳩
斑猫
斑雪
斑點
斑犬
斑入
斑牛