“鑿”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
のみ83.7%
ほ7.1%
うが2.9%
たがね1.7%
き1.3%
さく0.8%
ほじ0.8%
いりほが0.4%
う0.4%
うがち0.4%
ほり0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
カチ、カチ、カチ! たえまのない石工(いしく)の鑿(のみ)のひびきが、炎天にもめげず、お城のほうから聞えてくる。町人の怠惰(たいだ)を鞭(むち)うつようだ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
Y港の西寄りは鉄道省の埋立地になって居り、その一帯に運河が鑿(ほ)られている。運河の水は油や煤煙を浮かべたまゝ澱(よど)んでいた。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
経済雑誌は斯(かく)の如き時に於て起てり。其批評的、破毀的(はきてき)の議論は善く其弊害を鑿(うが)ちしかば天下は勢ひ之を読まざるを得ざりき。是れ其理由の二也。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
彼はほとんど自由になって恐ろしい態度をし、すごい火光がしたたるばかりのまっかに焼けた鑿(たがね)を、頭の上に振りかざしていたのである。
そして持前の根強い力で一人ぼつちの寂しい道を鑿(き)り拓(ひら)いて往(ゆ)かうとはしたが、女の身にとつて掛替のない愛人の死は譬(たと)へがたない重荷であつた。
余は又目科が斯(か)く詮鑿(さく)する間に室中を其方此方(そちこち)と見廻して先に判事の書記が寄りたる卓子(てえぶる)の下にて見し彼のコロップの栓を拾い上げたり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
この時日は既に万家(ばんか)の棟(むね)に没しても、尚(な)お余残(なごり)の影を留(とど)めて、西の半天を薄紅梅に染(そめ)た。顧みて東方(とうぼう)の半天を眺むれば、淡々(あっさり)とあがった水色、諦視(ながめつめ)たら宵星(よいぼし)の一つ二つは鑿(ほじ)り出せそうな空合(そらあい)。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
拍子抜して返(もど)れる貫一は、心私(こころひそか)にその臆測の鑿(いりほが)なりしを媿(は)ぢざるにもあらざれど、又これが為に、直(ただ)ちに彼の濡衣(ぬれぎぬ)を剥去(はぎさ)るまでに釈然たる能はずして、好し
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
だが、鑿(う)ち出しものの壺(つぼ)のように外側ばかり鮮かで、中はうつろに感じられる少年だった。少年は自分でもそのうつろに堪えないで、この界隈(かいわい)を酒を飲み歩いた。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
支那太古の民、壤(つち)を撃ちながら歌つた「日出でゝ作り、日入つて息ひ、井を鑿(うがち)て飲み、田を耕して食ふ。帝力我に何かあらんや」
吾等の使命 (新字旧仮名) / 石川三四郎(著)
その遥かな街道は、小山の中腹を鑿(ほり)開いたのであるから、やや見上げるようになっていた。
玉菜ぐるま (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)