うが)” の例文
経済雑誌はかくの如き時に於て起てり。其批評的、破毀的はきてきの議論は善く其弊害をうがちしかば天下は勢ひ之を読まざるを得ざりき。是れ其理由の二也。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
砂金を谷川の砂からさぐり出すにしても、岩石をうがって鉱石あらがねを掘り出すにしても、いずれもそれは山からである。
他日市区改正の成らん暁には、この源森川と押上の六間川(あるいは十間川ともいふ)との間二町ほどの地はうがたれて、二水たゞちに聯絡せらるべきはずなり。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「これから先、たとえ山をひらいて喰い、石をうがって水を汲むとも、劉皇叔りゅうこうしゅくさまに従って参りとうございます。ついに生命を失っても使君しくん(玄徳のこと)をお恨みはいたしません」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のみならず地下水の石をうがつやうにじりじり実行へも移らうとしてゐた。
或社会主義者 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
物を通じて心に徹せざれば、自ら休むことを知らず。形をうがちて精に入らざれば、自ら甘んずること難し。人われを呼びて万有的趣味の賊となせど、われは既に万有造化の美に感ずるの時を失へり。
哀詞序 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
上月城とお味方との通路を遮断しゃだんするため、高倉山のふもとや、村々の谷あいに長い空壕からぼりうがち、低地にも兵をかくし、高地にも兵をひそめ、陣地陣地には、柵を植え、鹿砦ろくさいいまわし
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)