“飛沫”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
しぶき51.6%
ひまつ21.5%
しぶ15.4%
とばしり4.9%
とばちり2.0%
ひぶ2.0%
とばっちり0.8%
したたり0.4%
しわぶき0.4%
はね0.4%
(他:1)0.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
瀑壺の周囲まわりは瀑水の飛沫しぶきが霧となって立ち罩めているのに、高い木立の隙間から漏れた陽の光が射して処どころに虹をこしらえていた。
蛇怨 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
どっと飛沫しぶき全身ぜんしんびつつ、いかにも悠々ゆうゆうたる態度たいどで、巌角いわかどつたわって
それと同時に腰巻の唐縮緬から、血の飛沫しぶきが八方へ散ったと見たのは、今まで藤蔓に止まっていた赤蜻蛉あかとんぼが、驚いて逃げたので有った。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
それらのことはクリストフの友人らにとっては、もし彼らの雑誌が戦いの飛沫ひまつを受けさえしなかったならば、別になんでもないことだったろう。
あいあお群青ぐんじょうと、また水浅葱みずあさぎと白と銀と緑と、うず飛沫ひまつ水漚すいおうと、泡と、泡と、泡と。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
万寿丸甲板部かんぱんぶの水夫たちは、デッキに打ち上げる、ダイナマイトのような威力を持った波浪の飛沫ひまつと戦って、甲板を洗っていた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
專次は自分の胸のあたりを眺めました。成程目立つほどではありませんが、點々として左脇腹へかけて、飛沫しぶいた血の跡は隱しやうも無かつたのです。
浴衣は秋草を染め出した中形で、なか/\にいきなものですが、袖を半分から下、刄物で切り捨て、下の方には物凄いほど血が飛沫しぶいてをります。
「——それからこの柱を御覽下さい、かなりひどく血が附いて居りますが、これは手や着物から附いたのではなくて、傷口から飛沫しぶいたのです」
だんだん山間の溪流に沿うて降って行きますと、奔流ほんりゅうの岩に激して流るるその飛沫とばしりが足もとに打付けるという実に愉快なる光景であります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
奥さんの小言の飛沫とばしり年長うえのお嬢さんにまで飛んで行った。お嬢さんは初々ういういしい頬をあからめて、客や父親のところへ茶を運んで来た。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
こういう気象の先生だから、演説でもする場合には、ややもするとその飛沫とばしりが医者仲間なぞにまで飛んで行く。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鋏を受取りながらも、佃は念を入れて、足跡のことを繰り返した。伸子は、そばにいて、妙な極り悪さを感じた。自分達夫婦の、さっぱりしないいきさつの飛沫とばちりを、女中が受けているように思えた。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
あかあかと冬の蘇鉄にはぢく日の飛沫とばちりかなし地に沁みにつつ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その飛沫とばちりが秋子に向けられる。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
「匕首を胸に突つ立てたまゝ、驅けて行つて柄に匕首の柱を叩き付けたのだよ。あの柱の下から四尺ほどの高さに、ひどく血が飛沫ひぶいてゐたらう」
勘十郎は油障子を指すのです。成程さう言へば、一箇所刀を突つ込んだらしい穴があいて、穴のあたりに、血の飛沫ひぶいてゐるのも無氣味です。
傳右衞門を介抱したのは、自分の腕に飛沫ひぶいた血を胡麻化ごまかすため、——それに幸七は、死體を抱き上げた時、眞つ暗な中で——旦那を突いて逃げた奴がある——と言つたさうだ。
飛沫とばっちりを受けたので、眉をひそめながら膝を拭いている婆さんや、足袋たびの先を汚された職人もいたが、一番迷惑したのは私であった。
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
今度は村の人へ飛沫とばっちり
白木の墓標の横腹へかけていろんな毒々しい、気味わるい色の飛沫したたりを一パイにき散らしたまま
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おたがい、身の姿は一つじゃが、心のすがたは一つでない。おもとさがにも善あり悪あり、秀吉の性にも凡愚あり聡明あり。いわんや大衆。ただその惑濁わくだくの大海より真を汲み、美を飛沫しわぶきせしむることに尽きるわさ」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういいながら、着物をだいじにするひとがちいさな汚点しみでも気にするように、馬の横っ腹にくっついた泥の飛沫はねを、掌でていねいにぬぐってやる。
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
果實このみより、また青葉にかゝる飛沫みづけぶりよりいづる香氣かをり飮食のみくひの慾を我等のうちに燃やすなり 六七—六九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)