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ふりがな文庫
“
飛沫
(
しぶ
)” の例文
「まだある、下手人の着物なら、血が
飛沫
(
しぶ
)
いているはずだ、あれだけひどく殴ったんだもの、——ところがあれは血を
拭
(
ふ
)
いたんだぜ」
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
掠奪結婚も、折々あるし、恋愛争奪戦争に、家人奴僕を武装させ、
鏃
(
やじり
)
を射つくし、
矛
(
ほこ
)
に血を
飛沫
(
しぶ
)
かす場合も稀ではない。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吉之丞はあおのけに寝て、掌で受けをこしらえ、鼻のわきを流れるのも、顎から
飛沫
(
しぶ
)
くのもいっしょくたに飲みこんだ。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「城の衆は皆ここに居列んで、一度に腹を切ったので、天井や襖にもなまなましい血が
飛沫
(
しぶ
)
いていたとかいう話じゃ。」
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雨戸一重うらの崖で、熊笹に雨の
飛沫
(
しぶ
)
く音がした。量の殖えた温泉がごくごくむせんで筧を走る音。雨の中に、湯の香がいつもより強くただよった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
また血はそこに働く人々の白いシャツにも
飛沫
(
しぶ
)
きかかる……、豚はそこにころりっと倒れて
屍
(
しかばね
)
となる。それを両腕鮮血にまみれながら、鋸でごそごそひき切る。
首を失った蜻蛉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
一誦、赤や緑のイルミネーシヨン絢い文覚上人の活人形や、その背後を
飛沫
(
しぶ
)
いて落ちる電気仕掛の大滝の音が、きのふのごとく宛らに私の耳へ蘇つて来ないわけには行かない。
浅草灯籠
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
……数十名の美人は悲鳴を揚げて逃げ惑いつつ片端から狂馬の蹄鉄にかかって行く……肉が裂ける……骨が砕ける……血が
飛沫
(
しぶ
)
く……咆哮……怒号……絶叫……苦悶……叫喚……大叫喚……。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「だが、それなら、塀に血が
飛沫
(
しぶ
)
く筈は無い。——黒板塀がひどい血だぜ。ところで昨夜、誰と誰が家に居たか
訊
(
き
)
こうじゃないか」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
破
(
や
)
れ
廂
(
びさし
)
から雨だれの烈しく落ち
飛沫
(
しぶ
)
いている下に、藤吉郎はうずくまって訴えた。感動しやすい若い女性は、それだけでもう心がうごいたようだった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「子供の惡戯にしちや念が入り過ぎますね、——それにもう一つ、北側の唐紙に、少し血が
飛沫
(
しぶ
)
いてるのはどうしたわけでせう」
銭形平次捕物控:262 綾の鼓
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
相手は
韋駄天
(
いだてん
)
、
鵲橋
(
かささぎばし
)
を一足とびに、その黒い影は、どうとうの水の
飛沫
(
しぶ
)
く、流れの
彼岸
(
ひがん
)
に躍っている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
窓の下に置いた乾物の俵の端つこに、ほんの二三點、
飛沫
(
しぶ
)
いたやうに黒くなつて居るのは、馴れた者の眼から見れば、紛れもなく血の跡です。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
窓の下に置いた乾物の俵の端っこに、ほんの二三点、
飛沫
(
しぶ
)
いたように黒くなっているのは、馴れた者の眼から見れば、紛れもなく血の跡です。
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
続いて、その晩着ていた、お吉と弥助の着物を出させましたが、どっちにも血の
飛沫
(
しぶ
)
いた跡もなく、洗った跡もないのです。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
浴衣は秋草を染め出した中形で、なか/\に
粹
(
いき
)
なものですが、袖を半分から下、刄物で切り捨て、下の方には物凄いほど血が
飛沫
(
しぶ
)
いてをります。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「——それからこの柱を御覧下さい、かなりひどく血が付いておりますが、これは手や着物から付いたのではなくて、傷口から
飛沫
(
しぶ
)
いたのです」
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「——それからこの柱を御覽下さい、かなりひどく血が附いて居りますが、これは手や着物から附いたのではなくて、傷口から
飛沫
(
しぶ
)
いたのです」
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
續いて、其晩着てゐた、お吉と彌助の着物を出させましたが、何方にも血の
飛沫
(
しぶ
)
いた跡もなく、洗つた跡もないのです。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
眞の下手人ならあんなことはせずに、何處かへ取捨てる暇もあつた筈だ。血潮も
飛沫
(
しぶ
)
いた血ではなく、染付けた血だ。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
なるほど目立つほどではありませんが、点々として左脇腹へかけて、
飛沫
(
しぶ
)
いた血の跡は隠しようもなかったのです。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
成程目立つほどではありませんが、點々として左脇腹へかけて、
飛沫
(
しぶ
)
いた血の跡は隱しやうも無かつたのです。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「証拠は山ほどある。夜露に
濡
(
ぬ
)
れた弁次郎の袷には、一と晩明かした柳原土手の葉が付いているばかりではない。
袂
(
たもと
)
に
飛沫
(
しぶ
)
いた返り血を洗い落した跡まである」
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「證據は山ほどある。夜露に濡れた辨次郎の袷には、一と晩
明
(
あ
)
かした柳原土手の葉が附いて居るばかりではない。
袂
(
たもと
)
に
飛沫
(
しぶ
)
いた返り血を洗ひ落した跡まである」
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ズルズルと引き抜いて、パッと拡げると、隅っこの方にほんのわずかばかりですが、
飛沫
(
しぶ
)
いた
血潮
(
ちしお
)
の跡。
銭形平次捕物控:136 鐘五郎の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お前はさぞ仰天したことだらうが、主人が間もなく息が絶え、お前の右手には、ひどく血が
飛沫
(
しぶ
)
いて居る
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
血潮は前の疊や道具類には
飛沫
(
しぶ
)
かず、後ろの壁と、隣り長屋の羽目板に飛沫いてゐるのは、どういふ身體の位置で突かれたものか、平次にも一寸見當がつきません。
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
敷居に
飛沫
(
しぶ
)
いた血潮は、大方拭き取つたやうですが、まだ
生々
(
なま/\
)
しく殘つて、何となくぞつとさせます。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
敷居に
飛沫
(
しぶ
)
いた血潮は、大方拭き取ったようですが、まだ生々しく残って、何となくぞっとさせます。
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「白地の
浴衣
(
ゆかた
)
でも着ていなきゃ、少しぐらい血が
飛沫
(
しぶ
)
いたって、夜目に判るものか、馬鹿野郎」
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
梯子段の下でお杉の袷を見付け、逆に手を通して、胸へ
飛沫
(
しぶ
)
く血を
除
(
よ
)
けたのは憎いじゃないか
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
傷は谷口金五郎と全く同樣、喉笛から右の耳の下へかけての
斜
(
なゝめ
)
一文字で、頸動脈を切つた血潮は八方に飛び散り、側にある植木の葉まで
飛沫
(
しぶ
)
いて居るのは物凄いことでした。
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
階子段の下でお杉の袷を見附け、
逆
(
ぎやく
)
に手を通して、胸へ
飛沫
(
しぶ
)
く血を
除
(
よ
)
けたのは憎いぢやないか
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
血は大幅帳に
飛沫
(
しぶ
)
いたことだらう。曲者はその
汚
(
よご
)
れたところを、半紙二枚だけ引き挘つた、が燒く
隙
(
すき
)
がなかつた。捨てる場所もなかつたので、畑の柔かいところに埋めたのだ
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「白地の
浴衣
(
ゆかた
)
でも着て居なきや、少し位血が
飛沫
(
しぶ
)
いたつて、夜目に判るものか、馬鹿野郎」
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それにしても、障子越しに刺されたにしては、あまり血が
飛沫
(
しぶ
)
いちやゐないやうだが」
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「へェ、何んにもありませんね、
節穴
(
ふしあな
)
は一つも無いし——血は
飛沫
(
しぶ
)
いて居るが」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
門の扉に
飛沫
(
しぶ
)
いた血潮で見ますと、門を閉めたまゝで外で斬つたものに相違御座いません。御當家から送り出したものなら、あれだけ門の近くで斬る爲には、扉を開けて居る筈で御座います
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「匕首を胸に突つ立てる前でなきや書けないのが遺書だよ。その遺書は血に塗れては居るが、下から浸み透つた血だ。そればかりぢやない、遺書の下に血が
飛沫
(
しぶ
)
いて居たのはどういふわけだ」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
唐紙に
飛沫
(
しぶ
)
いた血が斑々として、その無気味さというものはありません。
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
門の
扉
(
と
)
に
飛沫
(
しぶ
)
いた血潮で見ますと、門を閉めたままで外で斬ったものに相違ございません。御当家から送り出したものなら、あれだけ門の近くで斬るためには、扉を開けているはずでございます
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの玄翁は両手で振りおろしたのじゃない。両手で使ったら、血飛沫で全身
蘇芳
(
すおう
)
を浴びたようになるはずだ。——あれは二枚
屏風
(
びょうぶ
)
を小楯に、片手で打ちおろしたんだ。お前も屏風一面に
飛沫
(
しぶ
)
いた血を
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
飛沫
(
しぶ
)
いた血が、赤黒くこびり附いて居るのも無氣味なことでした。
銭形平次捕物控:251 槍と焔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それにしても、こんな高いところまで血が
飛沫
(
しぶ
)
く筈はないよ」
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「此通り板塀に血は
飛沫
(
しぶ
)
いて居ますが、節穴はありませんね」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ひどく血が
飛沫
(
しぶ
)
いて、
斑々
(
はん/\
)
たる凄まじさです。
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“飛沫”の意味
《名詞》
飛沫(ひまつ)
飛び散る水や泡。しぶき。
(出典:Wiktionary)
飛
常用漢字
小4
部首:⾶
9画
沫
漢検準1級
部首:⽔
8画
“飛”で始まる語句
飛
飛騨
飛鳥
飛出
飛白
飛込
飛退
飛翔
飛行
飛脚