“廂”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひさし93.4%
びさし5.3%
0.7%
のき0.3%
ひさ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なだれに帯板へ下りようとする角の処で、頬被した半纏着が一人、右側のが下った小家の軒下暗い中から、ひたひたと草履で出た。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
どこかとほつたことがある樣な道の眞ン中に立つてゐるの樹かげから、脊の高いおほのハイカラ女が出て來る。お鳥の樣だが、然しお鳥ではない。
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
ちょうどここは、大蓮華の側壁百貫山と、三名引、毛勝の裾山とが、すれすれに額を突き合せた、その狭い合わいに当るのだ。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
……湖のほうから吹きわたって来る風は、しばらく声のとだえた客間にしのびいり、さきにった風鈴をぶように鳴らせていた。
青竹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
引越以来の混雑にまぎれて、解物も、洗濯物も皆なれて了ったと言って、家内は縁側の外へ張物板を持出したが、狭いの下に日蔭というものが無かった。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)