“びさし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
88.9%
11.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
まだあるじの声もすがたも見えないうちから、年景は、荒れ果てた配所のびさしへ向って、いんぎんにこうべを下げている。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「色が白いだけ、さ——お前のおほびさしと顏の造作ぞうさくとが釣り合つてゐない。」
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
窓のぐるりや屋根びさしについている新らしい木で彫り物をした蛇腹が、くすんだ壁にくっきりと浮かんでおり、鎧扉には、花をいけた壺の絵が描いてある。
サーッと、地を払ってゆく雨の飛沫しぶきが、濛々もうもうと、霧のように白くたちこめた。時雨堂しぐれどうびさしからは、滝となって水玉があふれ、なかば開け放されてある中のは、消えんばかりに揺らめいている。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)