びさし)” の例文
窓のぐるりや屋根びさしについている新らしい木で彫り物をした蛇腹が、くすんだ壁にくっきりと浮かんでおり、鎧扉には、花をいけた壺の絵が描いてある。
サーッと、地を払ってゆく雨の飛沫しぶきが、濛々もうもうと、霧のように白くたちこめた。時雨堂しぐれどうびさしからは、滝となって水玉があふれ、なかば開け放されてある中のは、消えんばかりに揺らめいている。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)