“庇合”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひあわ25.0%
ひあはひ18.8%
ひあわい18.8%
ひさしあ12.5%
ひあ6.3%
ひあは6.3%
ひあはい6.3%
ひさしあわ6.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
二階の窓から見おろす位置にある、ケチンの庇合ひあわいから猛烈な煙が吹きだし、合掌になった軒下を、炎がチラチラ走っている。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「裏には開いて居りましたが、其處から土藏の庇合ひあはひを通つて此處へ來れば、お勝手に居る者は見えない筈はありません」
と言う叫びが、やや間を置いたところから聞えて、町家の庇合ひあわいから、急に涌き出したように現れた、二つ三つの提灯ちょうちんの光。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
少しばかり右へ入った土蔵の庇合ひさしあいで、そこへ急造したらしい、縁側付の六畳ほどの部屋が、初夏の明るい陽に、まざまざと照らされております。
廊下の中に庇合ひあわいなどがあった。こんなに降ると、仏壇のおいてある戸棚の中が大もりになって、バシャバシャしぶいた。家じゅうそこここに、たらい、バケツがもち出された。
播州平野 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
殺して、土藏の庇合ひあはひとか、井戸の後ろとか、戸袋の蔭とかに隱れて、大勢人が出たところへ、そつとまぎれ込む手はあるぜ
同じ新開の町はづれに八百屋と髮結床が庇合ひあはいのやうな細露路、雨が降る日は傘もさゝれぬ窮屈さに、足もととては處々に溝板の落し穴あやふげなるを中にして、兩側に立てたる棟割長屋
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
寝ぼけまなこをこすりながら格子をあけて出ると、外には若い男が忍ぶように立っていた。隣りと隣りとの庇合ひさしあわいから落ち込んでくる月のひかりを浴びて、彼の横顔は露を帯びたように白く見えた。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)