“庇”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かば49.6%
ひさし39.8%
かげ8.0%
かぼ1.6%
おお0.3%
びさし0.3%
かくま0.1%
きず0.1%
ひきし0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「妹は私をつてゐるんです。さう言ふ生意氣な妹なんです、——揃ひにこしらへた自分の櫛は、半歳も前に落してしまつたくせに」
「三輪の親分なんざ、ごまめの齒ぎしりで、お長屋の總後架から赤金を睨んで、半日いきんでゐたつて、良い智慧は出ませんよ」
「見附かったからね、黙って買って上げようと思って入ったんですがね、おで大変な思いをしたんですよ。ああ、恐かった。」
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
………その癖いつも味方になってうて上げてるのんに、人に一言の相談もせんと、あんな板倉みたいなもんとそんな約束してしもうて、………
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
光を恐れる暗闇の生物ででもあるように、両手の肘で顔をってその隙間から、醜い皺を寄せた額と、しかめた眉と、陰険な細い目とで、まぶしそうに穴の入口を見上げていた。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
窓のぐるりや屋根についている新らしい木で彫り物をした蛇腹が、んだ壁にくっきりと浮かんでおり、鎧扉には、花をいけた壺の絵が描いてある。
「では、鎌倉殿の仇をわれて、御命にかるるお考えか」
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつもより余程手を抜いてはいるが、化粧の秘密をりて、い美をうと云う弱点も無いので、別に見られていて困ることは無い。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
闇にもそれと見える屋根やの壊れたところから、車軸のやうに雨は落ちて来てゐた。堂の板敷はすべて水で満たされてあつて、それに、かれの手にした蝋燭が微かに照つた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)