“ひきし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
引緊61.4%
緊張18.2%
引締11.4%
引占4.5%
2.3%
引〆2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
其處そこ風呂敷ふろしきひぢなりに引挾ひつぱさんだ、いろ淺黒あさぐろい、はりのある、きりゝとしたかほの、びん引緊ひきしめて、おたばこぼんはまためづらしい。……
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
馬はあらゆる筋肉を緊張ひきしめて懸命に前へ牽きだそうとするけれど、車台は微塵も動かない。
乞食 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
と、何処どこか見当の付かぬ処で、大きなおならの音がした。かの女の引締ひきしまって居た気持を、急に飄々ひょうひょうとさせるような空漠くうばくとした音であった。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
おび引占ひきしめて夫の……といふき心で、昨夜待ち明した寝みだれ髪を、黄楊つげ鬢櫛びんくしで掻き上げながら、その大勝だいかつのうちはもとより、慌だしく、方々心当りを探し廻つた。
夜釣 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
闇にもそれと見える屋根やひきしの壊れたところから、車軸のやうに雨は落ちて来てゐた。堂の板敷はすべて水で満たされてあつて、それに、かれの手にした蝋燭が微かに照つた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
脚絆きゃはんを堅く、草鞋わらじ引〆ひきしめ、背中へ十文字に引背負ひっしょった、四季の花染はなぞめ熨斗目のしめ紋着もんつき振袖ふりそでさっ山颪やまおろしもつれる中に、女の黒髪くろかみがはらはらとこぼれていた。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)