“きず”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:キズ
語句割合
38.4%
16.1%
14.1%
11.9%
3.1%
3.1%
2.7%
瑕瑾1.8%
1.6%
創痍0.8%
0.8%
創傷0.4%
傷痍0.3%
損傷0.3%
瑕疵0.3%
0.3%
0.3%
負傷0.3%
瘡痍0.1%
瘢痕0.1%
欠点0.1%
傷所0.1%
傷痕0.1%
傷部0.1%
刃疵0.1%
切傷0.1%
外傷0.1%
0.1%
0.1%
斫疵0.1%
0.1%
欠損0.1%
0.1%
0.1%
瑕理0.1%
生漉0.1%
疵傷0.1%
疵所0.1%
疵瑕0.1%
0.1%
裂傷0.1%
𤺨0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
頭の頂上てっぺんにチクチク痛んでいる小さな打ちきずが、いつ、どこで、どうして出来たのかイクラ考えても思い出し得ないのであった。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
顔をしかめて向こうずねきずをあらっている者や、水をくんでゆく者や、たわしであらい物をする者などで、井戸いどばたがこみ合っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
噛まれたきず摺創すりきず血塗ちまみれになりつつ、当途あてどもなく犬鎌を振り廻して騒ぎ立つ有様は、犬よりも人の方が狂い出したようであります。
彼女は富子と同い年の廿四で、眼の細いのと髪の毛のすこし縮れているのとをきずにして、色白の品の好い立派な女振りであった。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
少しく安堵あんどの思ひをなし、忍び忍びに里方へ出でて、それとなく様子をさぐれば、そのきず意外おもいのほか重くして、日をれどもえず。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
この家の古い建築の仕方から見れば、いま食卓の据えてある土間の奥にかまどきずかれていて、朝夕に赤い火が燃えていたものと推測される。
「その方なかなかに心利いた奴じゃな。小姓共のおらぬがちと玉にきずじゃ。ふっくらいたして、なかなか坐り心地がよいわい」
「若様は急に命にかかわる事もありますまい。それより大事なのは、お家の瑕瑾きずにもなる縄付の始末です。利助はいつ頃ここを出かけました」
二人共後悔の瘢痕はんこんのこさなければすまないきずを受けたなら、それこそ取返しのつかない不幸だと思っていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
帰国以来僕は心に創痍きずを得て、いまだ父の墓参をもはたさずにゐる。家兄の書信にると八十吉は十二で死んでゐるから僕の十一のときであつた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
それだのに、此の人に逢っていると又昔のように、向うですげなくすればするほど、自分のきずを相手にぎゅうぎゅうしつけなくては気がすまなくなって来そうだ。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
当時は死ぬか生きるかの大きな創傷きずを総身に受けたに相違なかつたが、いつ治つたともなく治つて、今ではその痕跡あとをすら見出すことが出来なくなつた。否、そればかりではなかつた。
船路 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
かくのごときの信仰治療法は無益なり、しかれども我信ぜざるを得ざれば信ずるなり、見よ下等動物の傷痍きずいやすにおいて自然法のすみやかにして実功多きを、清浄なる空気にまさる強壮剤のあるなく
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
現に今朝主人に言ひつけられた下男の猪之松が、大のみを持出して、玄能げんのうで叩いて、無理をしてコジ開けた新しい損傷きずが、敷居にも雨戸のかまちに麗々と殘つてゐるのです。
ただ歩くだけなら名誉になろうとも瑕疵きずとは云わせぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
内々は彼方あちらがたに成たるも口惜くちをし、まつりは明後日あさつて、いよいよ我がかたが負け色と見えたらば、破れかぶれに暴れて暴れて、正太郎がつらきず一つ、我れも片眼片足なきものと思へばやすし
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きずは貴方の一生の瘢よ。そしてあたしの一生の紀念かたみだわ。此瘢を見るたんびに、貴方はあたしを思出して下さるでせう。あたしが風来者ふうらいものになつちやつて、満洲あたりを
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
左の肩の骨が少しくだけたとかで、手が緩縦ぶらぶらになつてしまつたの、その外紫色のあざだの、蚯蚓腫めめずばれだの、打切ぶつきれたり、擦毀すりこはしたやうな負傷きずは、お前、体一面なのさ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
勘次かんじかれ輕微けいび瘡痍きず假令たとひ表面へうめんだけでもいからおもつておもてさうしてかれ同情どうじやう言葉ことばをしまないものをもとめたが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
手先てさき火傷やけど横頬よこほゝのやうな疼痛いたみ瘡痍きずもなかつたが醫者いしや其處そこにもざつと繃帶ほうたいをした。與吉よきちばかりして大袈裟おほげさ姿すがたつてかへつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それで見物の衆はインチキ見世物を見せられたことになると思うのですが、実は僕の背の左側に楕円形の大きな瘢痕きずがあるんです。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして妾は、はからずもそこに遂に見るべからざるものを見てしまった。真一の背にある恐ろしき瘢痕きず
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
弾正太夫はそれを聞くと思わず高く笑ったが、「老師! あなたはよいお方じゃ。しかしただ一つ欠点きずがござる。理窟が多いという事じゃ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかしただ一つ欠点きずがござります。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼は、甘いものを食べると、それは、血管を流れて行って、足の傷所きずで、皮になるように感ずるほど、それほど甘いものに飢えていた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
手の甲の傷痕きずにしても、トランクの男の無罪を証する時間のことにしても、或は覗き眼鏡を取りはずしている時に発見した怪しい人影についても、その他種々いろいろな点で
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「失礼します。今日こんにちは腰の傷部きずが又痛みますので」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と興に乗じた隊長は斜な陽を、刃疵きずのある片頬に浴びながら、あぶみを踏んで一膝のり出した。
シベリヤに近く (新字新仮名) / 里村欣三(著)
五、六ヵ所の切傷きずがあった。「かような有様でございます」それから彼は左腕を捲った。七、八ヵ所の切傷きずがあった。「この通りでございます」それから彼はスッポリと、両方の肌を押し脱いだ。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
このお医者さんは、外科はまるでだめだったと見えて、女中の足の指も腐らせてしまったが、あんぽんたんの父の手の外傷きずも例の膏薬で破傷風はしょうふうにしてしまった。
いつもより余程手を抜いてはいるが、化粧の秘密をりて、きずおおい美をよそおうと云う弱点も無いので、別に見られていて困ることは無い。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
「とは云え殿下のご威光までがそのためきずつきはしますまいか?」
郷介法師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それからずっと次に居並んで居ります者が彼是百五六十人ばかり、商人ていの者もれば、あるい旅僧体たびそうていの者や武士体の者、種々いろ/\なる男がずっと居並んで居て、面部に斫疵きずなどのあるこわらしい男が居る。
縁に余白がなくなっているので、手に把って暫く眺めていると、どうもえん側が狭すぎて、やや窮窟な感じを与えるのがきずである。
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
例えば他人ひとから預っておいた彫刻品が、気候のめに欠損きずが出来たとかいう様な、人力じんりょくでは、如何どうにも致方しかたの無い事が起るのである、このはなしをすると
頭上の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)
しかるに名利はこちらから追い駆けて、あるいは他人をきずつけたり、またおのれの本心にそむいて得るものと、天よりくだつゆのごとくにおのずから身に至るものとあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
悪を汝の幕屋まくやに留むるなかれ、さすれば汝顔をあげてきずなかるべく、堅く立ちておそるる事なかるべし
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「芳江兄弟の隠れ家は突きとめましたが、大変な身分の者でございます。御関係はお家の瑕理きずともなりましょう、このままお思い止まり遊ばすよう、私からお願いいたします」
知るに至った端緒たんちょであるがこの書は生漉きずきの和紙へ四号活字で印刷した三十枚ほどのもので察するところ春琴女の三回に弟子の検校がだれかに頼んで師の伝記を編ませ配り物にでもしたのであろう。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
友人をあざむく……道徳上の大罪を承知でおかすように余儀なくされた。友人の好意で一面の苦しみはやや軽くなったけれど精神上に受けた深い疵傷きずは長く自分を苦しめることになった。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
疵所きずを手当しかける者や
近藤勇と科学 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
疵瑕きずと言ッてはただ大酒飲みで、浮気で、しかも針を持つ事がキツイきらいというばかり。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ために、滔々とうとうと、軟弱な弊風へいふうがあったことも否めません。自力聖道門しょうどうもんが、絶対力をきずいたのは、そういう時代の反動でございました。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
程近い福太郎の納屋に担ぎ込んで、ラムプをともして応急手当をしているうちに、幸運にも福太郎は頭の上に小さな裂傷きずを受けただけで、間もなく正気を回復した。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わめき叫びながら、むらがり寄せる敵をさんざんに駈けなやましたが、わずかな手兵はしだいに討ち取られ、吉信もついにあまた𤺨きずを負った。かたな折れ、矢つきたのである。
死処 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)