“きず”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:キズ
語句割合
38.6%
14.9%
14.9%
11.5%
3.4%
3.4%
2.5%
瑕瑾1.9%
1.8%
0.9%
創痍0.7%
創傷0.4%
損傷0.3%
瑕疵0.3%
0.3%
0.3%
負傷0.3%
瘡痍0.1%
瘢痕0.1%
切傷0.1%
欠点0.1%
傷所0.1%
傷痍0.1%
傷痕0.1%
傷部0.1%
刃疵0.1%
外傷0.1%
0.1%
0.1%
斫疵0.1%
0.1%
欠損0.1%
0.1%
0.1%
瑕理0.1%
生漉0.1%
疵傷0.1%
疵所0.1%
疵瑕0.1%
裂傷0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
孝「貴方様あなたさま左様そんな御無理な事をして、わたくしのような虚弱ひよわい身体にきずでも出来ましては御奉公が勤まりません」
いくら歌劇「ボリスゴドノフ」をうたっては世界一であろうとも、こんなにわがままでは人間としての値打にきずがつく、惜しいものだと思いました。
お蝶夫人 (新字新仮名) / 三浦環(著)
婦人は指先に一寸きずをしてゐたのに過ぎなかつたが、医者が丁寧にしんの臓まで診察しようとしたので大分だいぶん時間が手間どつた。
で、鬼気が身に迫るようだ。胸のきずえて、甲板を散歩することがゆるされたチャン君は、中甲板で、四つの屍体を発見して、ぞっとした。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
起きあがつて見ると、ころぶときに地べたにいたらしく、右の掌にきずがついてゐた。その他は別だんせうもなかつた。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
さきにドノバンがひょうにおそわれたとき、富士男は身をていしてドノバンを救うた、いまドノバンは、みずからきずついて富士男をすくうた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
その鈍いおちつき、救われないひとりよがり——AH! 私のろんどんはきずだらけな緩動映画スロウ・モウションの、しかもやり切れない長尺物だ。
庭作りとして、高貴の家へ出入していたお島の父親は、彼が一生のきずとしてお島たちの母親である彼が二度目の妻を、いやしいところから迎えた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
母、生みの母、上衝のぼせで眼を悪くしてる母が、アノ時甚麽どんなに恋しくなつかしく思はれたらう! 母の額に大きなきずがあつた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ところが、道を間違えて、彼方此方、馳けまわるうち、肩のきずからあふれ出る血しおに、眩暈めまいをおぼえて、また馬を捨ててしまった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山谷から三輪みのわに通ずる八丁の土手は、諸大名に命じてきずかせた荒川の水けで、これを日本堤と言ったのには、いろいろの江戸人らしい伝説や付会があります。
「それではまるで、他人がこのしろきずいてくれるようなものだ。なぜだ? なぜそんなにして秀吉の住居すまいをみんなしてつくってくれるのか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くあの時に金をもらわなかった、貰えば生涯気掛りだが、い事をしたと、今日までも折々思い出して、大事な玉にきずを付けなかったような心持がします。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「そこ、そこ、そこじゃ、流れの狭いがちと玉にきずじゃな。いや、曲乗きょくのり致したか。見事じゃ、見事じゃ、ほめとらするぞ」
殿様のお家柄にあるまじき瑕瑾きずのようにいいました。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
親類の中には死因に疑念をはさむ者もあって、パトリック・マンディを先頭に立てていちじは訴訟になりそうな形勢だったが、なにしろベシイの遺言書に法律上の瑕瑾きずがないので、ついに折れて手を引いてしまった。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
はしに殘れる緑にも蟲づき病めるきずあと
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
「頸筋のきずは、後ろから刺したんだ。いゝか、ぼんのくぼは大變な急所だが、のどや胸と違つてあまり血が出ねえ、——ところで、少しばかりの血が、目隱の手拭の下へ附いて居るのは何う言ふわけだ」
濡紙を取って呼吸を見るとパッタリ息は絶えた様子細引を取って見ると、咽喉頸のどくびに細引でくゝりましたきずが二本付いて居りますから、手のひらで水を付けてはしきりに揉療治を始めました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
首の所は、よくは分らぬが、どうやら、められたきずが紫色になっているらしい。
D坂の殺人事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
帰国以来僕は心に創痍きずを得て、いまだ父の墓参をもはたさずにゐる。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
氏が自分から私に押したあの時の執拗さに反発され、それが氏に創痍きずを残していることが想像される。
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「僕等の発見は遂に尽きている筈だぜ。そして、流血の形態かたち一つだけでも、兇器の推定が困難な位だ。だがそれより、創傷きずの成因が君の説の通りだとすれば、当然この屍体に、驚愕恐怖苦痛等の表出がなけりゃならんがね」
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
現に今朝主人に言ひつけられた下男の猪之松が、大のみを持出して、玄能げんのうで叩いて、無理をしてコジ開けた新しい損傷きずが、敷居にも雨戸のかまちに麗々と殘つてゐるのです。
ただ歩くだけなら名誉になろうとも瑕疵きずとは云わせぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あたら美玉びぎよくきずをつけたまふは、そのさまにもひきかせたきことおほくあれどくちよりいはヾまたみヽ兩手りようてなるべし
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「此きずは貴方の一生の瘢よ。そしてあたしの一生の紀念かたみだわ。此瘢を見るたんびに、貴方はあたしを思出して下さるでせう。あたしが風来者ふうらいものになつちやつて、満洲あたりをうろつくやうになつても、ねえ、さうでせう。」
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
頼母は既に紙帳の側から離れ、ふたたび立ち木の幹へ背をあて、群がり寄せ、斬りかかろう斬りかかろうとする五郎蔵の乾児たちを睨み、自分もいつか受けた数ヵ所の負傷きずで、——斬った敵方の返り血で、全身あけに染まり、次第に迫る息を調え、だんだん衰える気力を励まし励まし、……
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それとともに一にちでもうして時間じかん空費くうひする自分じぶん瘡痍きずいてかれふかかなしんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
実は君の方は普通の健全な人間だったけれど、真一君の方はそうでなかった。彼は畸形児だったのだ。手も足も胴体も一人前だったが、気の毒なことに首が二つあった。つまり両頭の人間だったのだ。そういえば思い当るだろうが、真一君の肩にあるあのいやらしい瘢痕きずのところには、昔もう一つの首がついていたのだ。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
七、八ヵ所の切傷きずがあった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「しかしただ一つ欠点きずがござります。理窟がお解りにならぬことじゃ! まあまあ黙って私の言葉をしばらくお聞きくださるよう——さて、そのように過去においては沢山に出た鉱石が、そもそも何んの理由によって今日出ぬようになったかと申すに、それには深い訳がござる」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼は、甘いものを食べると、それは、血管を流れて行って、足の傷所きずで、皮になるように感ずるほど、それほど甘いものに飢えていた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
涙に泣き濡れたかの女の顔には、死ばかりか、心の傷痍きずをも救つて呉れた男に対する感謝の色がはつきりと上つて来てゐた。
波の音 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
この短刀に見覚えのあることを明かにするためにも、手の甲の傷痕きずにしても、トランクの男の無罪を証する時間のことにしても、或は覗き眼鏡を取りはずしている時に発見した怪しい人影についても、その他種々いろいろな点で、あれを打開けてしまわないと工合が悪そうに思われます。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「失礼します。今日こんにちは腰の傷部きずが又痛みますので」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と興に乗じた隊長は斜な陽を、刃疵きずのある片頬に浴びながら、あぶみを踏んで一膝のり出した。
シベリヤに近く (新字新仮名) / 里村欣三(著)
このお医者さんは、外科はまるでだめだったと見えて、女中の足の指も腐らせてしまったが、あんぽんたんの父の手の外傷きずも例の膏薬で破傷風はしょうふうにしてしまった。
いつもより余程手を抜いてはいるが、化粧の秘密をりて、きずおおい美をよそおうと云う弱点も無いので、別に見られていて困ることは無い。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
「とは云え殿下のご威光までがそのためきずつきはしますまいか?」
郷介法師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
面部に斫疵きずなどのあるこわらしい男が居る。
やや窮窟な感じを与えるのがきずである。
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
多くは何処どこか眼の届かなかったところとか、如何どうしても避けられぬ事、例えば他人ひとから預っておいた彫刻品が、気候のめに欠損きずが出来たとかいう様な、人力じんりょくでは
頭上の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)
しかるに名利はこちらから追い駆けて、あるいは他人をきずつけたり、またおのれの本心にそむいて得るものと、天よりくだつゆのごとくにおのずから身に至るものとあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「手に罪のあらんにはこれを遠く去れ、悪を汝の幕屋まくやに留むるなかれ、さすれば汝顔をあげてきずなかるべく、堅く立ちておそるる事なかるべし、すなわち汝憂愁うれえを忘れん……汝の生きながらうる日は真昼よりも輝かん……汝は何にも恐れさせらるる事なくして伏し休まん……」と。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「芳江兄弟の隠れ家は突きとめましたが、大変な身分の者でございます。御関係はお家の瑕理きずともなりましょう、このままお思い止まり遊ばすよう、私からお願いいたします」
近頃ちかごろ私の手に入れたものに「鵙屋春琴伝」という小冊子がありこれが私の春琴女を知るに至った端緒たんちょであるがこの書は生漉きずきの和紙へ四号活字で印刷した三十枚ほどのもので察するところ春琴女の三回に弟子の検校がだれかに頼んで師の伝記を編ませ配り物にでもしたのであろう。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
友人の好意で一面の苦しみはやや軽くなったけれど精神上に受けた深い疵傷きずは長く自分を苦しめることになった。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
一人は、川水で、顔を洗った。疵所きずを手当しかける者や
近藤勇と科学 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
疵瑕きずと言ッてはただ大酒飲みで、浮気で、しかも針を持つ事がキツイきらいというばかり。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ラムプをともして応急手当をしているうちに、幸運にも福太郎は頭の上に小さな裂傷きずを受けただけで
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)