“端緒”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
たんちょ29.2%
いとぐち24.6%
たんしょ23.1%
はなお7.7%
こぐち4.6%
たんちよ4.6%
いとくち3.1%
いちぐち1.5%
たんしよ1.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
山に走り込んだという里の女が、しばしば産後の発狂であったことは、事によると非常に大切な問題の端緒たんちょかも知れぬ。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それで今、すこしく端緒たんちょをここに開いて、秋から冬へかけての自分の見て感じたところを書いて自分の望みの一少部分を果したい。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
不思議だ、不思議だと、お種が思い続けたことは、ようや端緒いとぐちだけ呑込のみこめることが出来るように成った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鉄胤かねたねはじめその子息むすこさんの延胤のぶたねとも交わりを結ぶ端緒いとぐちを得たというだけにも満足して
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「まだ、どうとも、断言ができんが、下手人には充分に余裕があった。死骸から端緒たんしょを求めようとするのは徒労じゃな」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大事は今がほんの端緒たんしょ。一名の生命といえ、おろそかにはならぬ。みかどの御為、一新の世直しの為、貴公は生命を惜しまれたい。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「苔が、すべる。庭下駄の端緒はなおが切れていやあがる。危えじゃねえか。や、ほかに履きものはがあせんな。はてね。」
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……峠をもう一息で越そうという時、下駄の端緒はなおが切れて、一足後れた女が一人キャッと云う。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夏になると湯治場が流行はやりますが、明治七年あたりは湯治場がまだそろ/\是から流行って来ようと云う端緒こぐちでございました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と此の事は稻垣小左衞門が勝って笑って居りましたが、さて物は負けて置きたいもので、これが稻垣小左衞門の災難の始まりで、遂に命を落す程の事になるという、仇討あだうち端緒こぐちでございます。
もとより明言めいげんするを得るかぎりには非ざれどこころみに想像そうぞうを畫きて他日精査を爲すの端緒たんちよとせん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
それいでは新著百種しんちよひやくしゆ末頃すゑごろ離鴛鴦はなれをしふのを書いたが、それが名を端緒たんちよであつたかと思ふ
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
健三の心を不愉快な過去にき込む端緒いとくちになった島田は、それから五、六日ほどして、ついにまた彼の座敷にあらわれた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし自分で自分の先が見えない人間の事ですから、ことによるとあるいはこれが私の心持を一転して新しい生涯にはい端緒いとくちになるかも知れないとも思ったのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私も怪談を探り出す端緒いちぐちに困ったが、更にあらぬていで、「しかしお前さん達は夫婦差向さしむかいで、こんな広い別荘に十何年も住んでいて、寂しいとか怖いとか思うような事はありませんかね」と
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
兼吉は大喜びで飛出しました。平次の註文は見當も付きませんが、何となく自信あり氣で、これが六つかしい事件をほぐす端緒たんしよになりさうな氣がしたのです。