“端然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たんぜん44.1%
きちん20.6%
たんねん11.8%
ちゃん8.8%
しゃん5.9%
しやん2.9%
ちゃんと2.9%
ぢつ2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その部屋の十吉は、いつも端然たんぜんとデスクの向ふに坐つて、或ひは読書したり、或ひは何か考へごとに耽つてゐる彼を見出すのだつた。
灰色の眼の女 (新字旧仮名) / 神西清(著)
「……止そう、そんな事を云うんなら。」と葛木は苦笑して、棒縞お召の寝々衣ねんねこを羽織った、胡坐あぐらながら、両手を両方へ端然きちんと置く。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朽木形の几帳きちょうの前には十二一重の御めし、何やら知らぬびらしゃらした御なりで端然たんねんとしていたまうから、野郎共皆ウヘーとなって恐入り奉る。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
紺地の素袍すおうに、烏帽子えぼしを着けて、十三げん端然ちゃんと直ると、松の姿にかすみかかって、琴爪ことづめの千鳥がく。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すっきり端然しゃんと構えたる風姿ようだいといい面貌きりょうといい水際立ったる男振り、万人が万人とも好かずには居られまじき天晴あっぱれ小気味のよき好漢おとこなり。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すつきり端然しやんと構へたる風姿やうだいと云ひ面貌きりやうといひ水際立つたる男振り、万人が万人とも好かずには居られまじき天晴小気味のよき好漢をとこなり。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あかり目的めあてに駆けつけると、洋燈ランプは少し暗くしてあったが、お杉は端然ちゃんと坐ったまま、そのまげ、そのくし、その姿で、小鍋をかけたまま凍ったもののごとし。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
硬い唐筵の上に、しびれをきらして端然ぢつと坐つて居なければならなかつた。最初机の前に座蒲団が置いてあつたので、私は何心なく、何等の顧慮もなく、当然の様にその上へ坐つて居た。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)