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端然
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たんぜん
ふりがな文庫
“
端然
(
たんぜん
)” の例文
その部屋の十吉は、いつも
端然
(
たんぜん
)
とデスクの向ふに坐つて、或ひは読書したり、或ひは何か考へごとに耽つてゐる彼を見出すのだつた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
こう言って彼は
風呂
(
かま
)
の前に
端然
(
たんぜん
)
として控えていたが、伝二郎にも、それから丁稚にさえ
自身
(
てずから
)
湯を汲んで薄茶を奨めてくれた。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
次郎が、茶の間に這入って驚いたことは、いつの間に来たのか、正木のお祖父さんが、白い
鬚
(
ひげ
)
をしごきながら、
端然
(
たんぜん
)
と坐っていることであった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
龍太郎は、かたわらに両手をついたが、伊那丸ははっきりこたえて、
端然
(
たんぜん
)
と、家康の顔をじいとみつめた。——家康も、しかと、こっちをにらむ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう云う相手の
気勢
(
けはい
)
を見ると、瑠璃子は何気ないように、元の椅子に帰りながら、
端然
(
たんぜん
)
たる様子に帰ってしまった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
泣き伏す代りに
端然
(
たんぜん
)
と坐った。あたかもその坐っている席の下からわが足の腐れるのを待つかのごとくに。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大尉を驚かせたのは、米艦隊の
最上
(
さいじょう
)
の空に、
守
(
まも
)
り
神
(
がみ
)
のように
端然
(
たんぜん
)
と
游泳
(
ゆうえい
)
をつづけていたメーコン号が、一団の火焔となって、焼け墜ちてゆくのを発見したことだった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
前なる四輪の
豪奢
(
ごうしゃ
)
な馬車には、霊公と
並
(
なら
)
んで
嬋妍
(
せんけん
)
たる南子夫人の姿が
牡丹
(
ぼたん
)
の花のように
輝
(
かがや
)
く。
後
(
うしろ
)
の見すぼらしい二輪の牛車には、
寂
(
さび
)
しげな孔子の顔が
端然
(
たんぜん
)
と正面を向いている。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そゞろに
床
(
ゆか
)
しく、
懷
(
なつ
)
かしく、
眼
(
まなこ
)
を
揚
(
あ
)
げて、
目前
(
もくぜん
)
に
端然
(
たんぜん
)
たる
松島大佐
(
まつしまたいさ
)
の
面
(
おもて
)
を
瞻
(
なが
)
めると、
松島大佐
(
まつしまたいさ
)
も
意味
(
ゐみ
)
あり
氣
(
げ
)
に、
私
(
わたくし
)
と
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
の
顏
(
かほ
)
とを
見
(
み
)
くらべたが、
例
(
れい
)
の
虎髯大尉
(
こぜんたいゐ
)
と
一寸
(
ちよいと
)
顏
(
かほ
)
を
見合
(
みあ
)
はせて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
さうしてその机の
後
(
うしろ
)
、二枚重ねた座蒲団の上には、
何処
(
どこ
)
か
獅子
(
しし
)
を想はせる、脊の低い
半白
(
はんぱく
)
の老人が、或は手紙の筆を走らせたり、或は
唐本
(
たうほん
)
の詩集を
飜
(
ひるがえ
)
したりしながら、
端然
(
たんぜん
)
と独り坐つてゐる。……
漱石山房の秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わが幼時の思ひ出の取縋る
術
(
すべ
)
もないほどに
端然
(
たんぜん
)
と……。
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
すると、ふしぎなことには、先生のいつもの
端然
(
たんぜん
)
たる静坐の姿勢がいくらかくずれている。顔をすこし
伏
(
ふ
)
せ、その
眉
(
まゆ
)
の間には深いしわさえ見えるのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
どうしたものか、秀吉の膝にあっては、駄々でおむずかりやの三法師も、人形のように
端然
(
たんぜん
)
としている。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御紋
(
ごもん
)
散らしの塗り桶を前に、流し場の金蒔絵の腰かけに、
端然
(
たんぜん
)
と控えておいでです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
さうしてその机の
後
(
うしろ
)
、二枚重ねた座蒲団の上には、
何処
(
どこ
)
か
獅子
(
しし
)
を想はせる、
背
(
せい
)
の低い
半白
(
はんぱく
)
の老人が、或は手紙の筆を走らせたり、或は
唐本
(
たうほん
)
の詩集を
飜
(
ひるがへ
)
したりしながら、
端然
(
たんぜん
)
と独り坐つてゐる。……
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その明るさの中央に、ネステレンコが長い上身を小さなデスクの向ふに聳えさせて、
端然
(
たんぜん
)
としてこちらを凝視してゐる。十吉の顔をみて、ちよつと意外らしい表情を見せたが、すぐ顔色を和らげて
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
風采
(
ふうさい
)
端然
(
たんぜん
)
、
威風
(
ゐふう
)
凛々
(
りん/\
)
、
言
(
い
)
ふ
迄
(
まで
)
もない、
本艦
(
ほんかん
)
の
艦長
(
かんちやう
)
である。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
はッとして、こころを
冴
(
さ
)
え
澄
(
す
)
まそうとした。そしてなにげなく見まわすと、まえの人は
端然
(
たんぜん
)
としているが、ふたりの
従僧
(
じゅうそう
)
は
坐
(
ざ
)
しながら、われをわすれていねむっている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
将軍八代様のお
湯殿
(
ゆどの
)
。八畳の
高麗縁
(
こうらいべり
)
につづいて、八畳のお板の間、
御紋
(
ごもん
)
散らしの塗り桶を前に、お流し場の
金蒔絵
(
きんまきえ
)
の腰かけに、
端然
(
たんぜん
)
とひかえておいでになるのが、後に
有徳院殿
(
うとくいんでん
)
と申しあげた吉宗公で。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
松島海軍大佐
(
まつしまかいぐんたいさ
)
の
端然
(
たんぜん
)
たる
顏色
(
がんしよく
)
は
微
(
かすか
)
に
動
(
うご
)
いて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
“端然”の意味
《名詞》
身なりや姿勢などがきちんと整っていること。
(出典:Wiktionary)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“端”で始まる語句
端
端折
端書
端緒
端唄
端近
端々
端居
端倪
端艇