“唐本”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とうほん50.0%
たうほん50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
由雄はその時お延から帙入ちついり唐本とうほんを受取って、なぜだか、明詩別裁みんしべっさいといういかめしい字で書いた標題を長らくの間見つめていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは十二三冊の小さな黄表紙きびょうし唐本とうほんで、明治四十年ごろ、私は一度浅草の和本屋で手に入れたが、下宿をうろついている間に無くしたので、この四五年欲しいと思っていた。
妖影 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
満庭の樹影青苔せいたいの上によこたはりて清夏の逸興にはかきたるを覚ゆる時、われ年々来青花のほとりに先考所蔵の唐本たうほんを曝して誦読日の傾くを忘る。
来青花 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「成程、御尤ごもつともで……」と市島氏は型のやうに一寸頭を下げた。そしてその次ぎの瞬間には文求堂の店で見た古い唐本たうほんの値段の事を考へてゐた。