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端緒
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たんちょ
ふりがな文庫
“
端緒
(
たんちょ
)” の例文
それで今、すこしく
端緒
(
たんちょ
)
をここに開いて、秋から冬へかけての自分の見て感じたところを書いて自分の望みの一少部分を果したい。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
かれは血に飢えている犬を
嗾
(
けし
)
かけて、お作を咬ませたのであった。そうして、自分の運命をも縮める
端緒
(
たんちょ
)
を作り出したのであった。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
丁度
(
ちょうど
)
自分の学校から出た生徒が実業に
着
(
つい
)
て自分と同じ事をすると同様、
乃公
(
おれ
)
がその
端緒
(
たんちょ
)
を開いたと云わぬ
計
(
ばかり
)
の
心持
(
こころもち
)
であったに違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
一月八日に保は東京博文館の
求
(
もとめ
)
に応じて履歴書、写真並に文稿を寄示した。これが保のこの
書肆
(
しょし
)
のために書を
著
(
あらわ
)
すに至った
端緒
(
たんちょ
)
である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
あのような恐ろしい事件の
端緒
(
たんちょ
)
となったこの宿命的な帰郷は、自分にとって、その後長いあいだ、ほとんど常に不可解な
謎
(
なぞ
)
として残っていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
▼ もっと見る
山に走り込んだという里の女が、しばしば産後の発狂であったことは、事によると非常に大切な問題の
端緒
(
たんちょ
)
かも知れぬ。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
然し主任がその位の説明で満足する筈はなく、当分夜の間刑事を吉蔵の店の床下に張り込ませて、何処までも事件の
端緒
(
たんちょ
)
を
掴
(
つか
)
むようにと手配した。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
当時、朝廷と院政との、二元政治の変則を見たほど、世はすでに、
紊
(
みだ
)
れの
端緒
(
たんちょ
)
をみせていたが、まだちまたには、こんなある日の春風も流れてはいたのである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こうなると、一面解決の
端緒
(
たんちょ
)
が見えそうになると共に、一面問題はいよいよ大きくなるでしょう。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
これに
端緒
(
たんちょ
)
を得た忠相は、用人に命じ、みずからも手をくだして乾坤二刀争奪のいきさつから、それに縦横にまつわる恋のたてひきまで今はすっかり
審
(
しら
)
べあがっているのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
今から思えば用意の足りない計画であったともいえるが、同時にその純な若々しい気持が燃えていなくば、この仕事は
端緒
(
たんちょ
)
を得なかったであろう。私たちは幸にも信念で事を始めた。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
しかれども答えず。因って儂は、あるいは書にし、あるいは百方
言
(
げん
)
を尽して、
数〻
(
しばしば
)
その心事を陳述せしゆえ、やや感ずる所ありけん、
漸
(
ようや
)
く、今回事件の計画中、その
端緒
(
たんちょ
)
を聞くを得たり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
次の事件の
端緒
(
たんちょ
)
をつかみ得るだろうと狙いをつけて、幸い神山さんと土居画伯が毎日タマツキの賭けに熱中しておられるところから、私も賭けのタマツキに一枚加わることに致したのです。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
紊
(
みだ
)
りに事を荒立てて、正面切って押し入ったのでは、事件を隠蔽される懸念がありましたので、先ず事実の
端緒
(
たんちょ
)
をつかむ迄はと、退屈男は影のように近よりながら、邸内の様子を窺いました。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
知るに至った
端緒
(
たんちょ
)
であるがこの書は
生漉
(
きず
)
きの和紙へ四号活字で印刷した三十枚ほどのもので察するところ春琴女の三回
忌
(
き
)
に弟子の検校が
誰
(
だれ
)
かに頼んで師の伝記を編ませ配り物にでもしたのであろう。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それがなんと
僥倖
(
ぎょうこう
)
にも、犯人逮捕の
端緒
(
たんちょ
)
となったのである。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
まず長官に心事を語る そこで私は話の
端緒
(
たんちょ
)
を改め
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
何分にも
世故
(
せこ
)
の経験に乏しい長三郎の
頭脳
(
あたま
)
では、その謎を解くべき
端緒
(
たんちょ
)
を見いだし得なかった。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すでにある秘密の
端緒
(
たんちょ
)
をつかみかけた事もあったが、その折、光厳が次の夜ここでもう一度落会った上、一切を打明けるとの事に、うっかり信じて翌晩を待っていると、光厳は次の日
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この一羽の窮鳥が、越後へ入国したのが
抑〻
(
そもそも
)
の
端緒
(
たんちょ
)
である。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“端緒”の意味
《名詞》
端緒(たんしょ、たんちょ)
物事の始まり。糸口。
(出典:Wiktionary)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
緒
常用漢字
中学
部首:⽷
14画
“端”で始まる語句
端
端折
端書
端唄
端然
端近
端々
端居
端倪
端艇