“審”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つまびらか19.6%
いぶか16.3%
つまびら13.7%
つぶ11.1%
いぶ9.2%
さば7.8%
つまび7.8%
しら5.9%
つば2.0%
つぶさ2.0%
くは0.7%
しん0.7%
あやし0.7%
いぶかし0.7%
くわ0.7%
つばら0.7%
ふしん0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
利害を重んずる文明の民が、そう軽卒に自分の損になる事を陳述する訳がない。小野さんはもう少し敵の動静をつまびらかにする必要がある。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
勿論もちろん外形ぐわいけいあらはれてもなにいぶかしいてんはないが、すこしくわたくし異樣ゐやうおぼえたのは、さう噸數とんすう一千とんくらゐにしてはその構造かうざうあまりに堅固けんごらしいのと
雑誌記者しばしば来って女子拒婚問題の事を問う。余初め拒婚の字義を解せず、為に婦人雑誌を購読して漸くその意をつまびらかにするを得たり。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「江戸の事情は、またつぶさに、ただす人間が、この小屋へ戻って来たのだ。今、それにも引き会わせるから、こっちへ来い」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なにとぞそこよりお落ちあそばしませ! ただし御跡おんあとに残りとどまって戦う兵なくば、敵いぶかしみ、御後おんあと追いかけ申すべし。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
小女は座布団を出してはやらないので、冷い籐畳の広いまん中にたった一人坐った老人は寂しげに、そしてさばきを待つ罪人のように見えた。
家霊 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
これは、外部から彼に聞かせた者はないはずであったが、ほかの事情は知り得なくても、それだけはつまびらかに聞いていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しらべあぐみ、廻り廻ってこの小屋へ来た藤吉、年久しく使いもしないと見えて朽ちた板戸に赤錆びた錠が下りている。開きそうもない。
熱劇しくて譫語うはことのみ言ひしを、エリスがねもごろにみとる程に、或日相澤は尋ね來て、余がかれに隱したる顛末をつばらに知りて、大臣には病の事のみ告げ、よきやうに繕ひ置きしなり。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
其方どものうちにも、過日の件を目撃した者があるとのことだが、この佐々木小次郎もまた、当日の立会人として、親しくあの試合には双方の実情をつぶさに検分いたしておる。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もつとも丑松の目に触れたは、式の始まるといふ前、くはしく読む暇も無かつたから、其儘そのまゝ懐中ふところへ押込んで来たのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
きゝ吉兵衞不しんに思ひ御の如く幼少えうせうの時不※ふと怪我けがを致せしが其あとが今にのこり在しを娘が人さうかゝると人々が申せしとて平常つねに苦勞致しをりしが此度斯樣かやうの死を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これによりて活胴いきどうを試みたく、ひそかに柳原の土手へ出で往来の者を一刀に殺害しけるが、ある夜飛脚を殺し、きっさきの止まりたるをあやしみ、懐中を探れば金五十両を所持せり。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこで今度の深山という女じゃが、誠にいぶかしい呼吸法を再々致して見せるでの。どうやらお気の毒にも本条殿は復も妖怪に憑かれたらしい
高島異誌 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大佐たいさかたところによると、海賊島かいぞくたう云々うんぬん風聞ふうぶん實際じつさいことで、その海賊かいぞく仲間なかまある強國きようこくとのあひだに、一種いつしゆ密約みつやくそんしてことも、海事かいじくわしき船員せんゐん社會しやくわいには、ほとん公然こうぜん秘密ひみつとなつてよし
昨年英吉利イギリスびとひとり山賊に撃ち殺されしは、此巖の上にての事なりき。賊はサビノの山のものなりといへど、羅馬のテルニイとの間に出沒して、人その踪蹤そうしようつばらにすること能はず。
と申して、見た事は確かに見たのでございますから、考えれば考えるほどますますふしんでたまりません。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)