“つば”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ツバ
語句割合
60.5%
33.0%
唾液4.3%
0.5%
0.4%
0.4%
唾吐0.2%
0.2%
0.2%
都婆0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
背嚢ルックザックから乾麺麭かんパンの包みを取りだすと、てのひらの中でこなごなにくだき、たいへん熟練したやりかたでつばといっしょに飲みにしてしまう。
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
こんな独り言を云いながら、敬虔けいけんに短刀を抜いてみた。恐らくあげ物というやつだろう、つばから切尖きっさきまでのバランスがとれていない。
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そう云う令嬢の眼付を見ると、どうやら父親の無罪を確信しているらしい態度ようすである。吾輩はグッと一つ唾液つばみ込んだ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
熱劇しくて譫語うはことのみ言ひしを、エリスがねもごろにみとる程に、或日相沢は尋ね来て、余がかれに隠したる顛末てんまつつばらに知りて、大臣には病の事のみ告げ、よきやうにつくろひ置きしなり。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かれまた煙草たばこひつけようとしては羅宇らうひゞつたのをつた。かれはくた/\につたかみたもとからさぐしてそれをつばらしてきはめて面倒めんだうにぐる/\とひゞいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
四月にははやつば広の帽を被つた
わがひとに与ふる哀歌 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
こう云いながら、其処にあった炭俵の中から佐倉炭の塊を取り出し、唾吐つばをかけて仙吉の額へこすり始めた。
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
家なみのひさし紺暖簾こんのれんに飛びちがえるつばくろの腹が、花ぐもりの空から落ちる九つどきのざしを切って、白く飜えるのを夢みるような眼で、女は下からながめて行った。これも祭の景物であろう。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その一部にいくつもの赤い屋根をつばさのように拡げたサナトリウムの建物が、ごく小さな姿になりながらしかし明瞭めいりょうに認められた。
風立ちぬ (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
それからまた、越後に来て、北蒲原きたかんばら分田ぶんた村の都婆つばの松が、これまた親鸞上人の昼飯の箸でありました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一人いちにんは黒の中折帽のつば目深まぶか引下ひきおろし、鼠色ねずみいろの毛糸の衿巻えりまきに半面をつつみ、黒キャリコの紋付の羽織の下に紀州ネルの下穿したばき高々と尻褰しりからげして、黒足袋くろたびに木裏の雪踏せつた
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)