トップ
>
痍
>
きず
ふりがな文庫
“
痍
(
きず
)” の例文
議官
(
セナトオレ
)
の甥と
鞘當
(
さやあて
)
して、
敵手
(
あひて
)
には
痍
(
きず
)
を負はせたれど、不思議にその場を
遁
(
のが
)
れ得たり。かくてこたび「サン、カルロ」座には出でしなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
少しく
安堵
(
あんど
)
の思ひをなし、忍び忍びに里方へ出でて、それとなく様子をさぐれば、その
痍
(
きず
)
意外
(
おもいのほか
)
重くして、日を
経
(
ふ
)
れども
愈
(
い
)
えず。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
その常に
慙
(
は
)
ぢかつ
悔
(
くゆ
)
る一事を責められては、
癒
(
い
)
えざる
痍
(
きず
)
をも
割
(
さか
)
るる心地して、彼は苦しげに
容
(
かたち
)
を
歛
(
をさ
)
め、声をも
出
(
いだ
)
さでゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
母、生みの母、
上衝
(
のぼせ
)
で眼を悪くしてる母が、アノ時
甚麽
(
どんな
)
に恋しくなつかしく思はれたらう! 母の額に大きな
痍
(
きず
)
があつた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「いまから幾ら謝りになっても、受けた
痍
(
きず
)
あとがそんなに簡単に治るもんですか、あやまるなんて言葉はとうに、通用しなくなっているわよ。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
留紅草
(
るこうさう
)
、
樽形
(
たるがた
)
の花、その底にダナウスの娘たちが落ちてゐさうな花、人間の弱い心臟の血を皆
關
(
かま
)
はずに吸いこむため、おまへの唇には
痍
(
きず
)
がある。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
体中に
掻
(
か
)
きむしったような
痍
(
きず
)
の絶えない男の子であるから、病原菌の浸入口はどこだか分からなかった。
カズイスチカ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ふと目に着いたものは
白蝋
(
はくろう
)
のような色をした彼女の肉体のある部分に、
真紅
(
しんく
)
に咲いたダリアの花のように、
茶碗
(
ちゃわん
)
大に
刳
(
く
)
り取られたままに、鮮血のにじむ
隙
(
すき
)
もない深い
痍
(
きず
)
であった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
よって、これにほかから
香
(
かん
)
ばしい餌を投げ与えてごらんなさい。二虎は猛然、本性をあらわして
咬
(
か
)
みあいましょう。必ず一虎は仆れ、一虎は勝てりといえども満身
痍
(
きず
)
だらけになります。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
踠けば踠くほど
痍
(
きず
)
を深くして、結局自滅だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
まじれる君が
微笑
(
ほほゑみ
)
はわが身の
痍
(
きず
)
を
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
そがもとに
痍
(
きず
)
つける
女神
(
ぢよじん
)
の瞳。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
幾
(
いくばく
)
もあらぬに、ベルナルドオが
痍
(
きず
)
は
名殘
(
なごり
)
なく
癒
(
い
)
え候ひぬ。彼人も君の御上をば、いたく
氣遺
(
きづかひ
)
居たれば必ず惡しき人と御思ひ
做
(
な
)
しなさるまじく候。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
黄金丸はまづ
恭
(
うやうや
)
しく礼を施し、さて病の由を
申聞
(
もうしきこ
)
えて、薬を賜はらんといふに、彼の翁心得て、まづその
痍
(
きず
)
を打見やり、
霎時
(
しばし
)
舐
(
ねぶ
)
りて後、何やらん薬をすりつけて。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
左の眉の上に生々しい
痍
(
きず
)
があつて、一筋の血が頬から耳の下に伝つて、胸の中へ流れてゐる。
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
これを初て来た日に、お時婆あさんが床の壁に立て掛けて、叱られたのである。立てた物は倒れることがある。倒れれば
刀
(
とう
)
が傷む。壁にも
痍
(
きず
)
が附くかも知れないというのである。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ために、太古からの自然も、ようやく、あちこち、
痍
(
きず
)
だらけになり、まぬがれぬ脱皮を、苦悶するように、この大平原を遠く
繞
(
めぐ
)
る、富士も浅間も
那須
(
なす
)
ヶ
岳
(
たけ
)
も、硫黄色の煙を常に噴いていた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その時分になると、銀子も座敷に
馴
(
な
)
れ、心の
痍
(
きず
)
もようやく
癒
(
い
)
えていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
げに思ひいづ、
鳴神
(
なるかみ
)
の都の
騷擾
(
さやぎ
)
、
村肝
(
むらぎも
)
の心の
痍
(
きず
)
を。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
痍
(
きず
)
つけるわかうどの
舟
(
ふね
)
。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
古夢
(
ふるゆめ
)
の
痍
(
きず
)
こそ消えね
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
ベルナルドオの
痍
(
きず
)
は命を
隕
(
おと
)
すに及ばざりしかば、私は其治不治生不生の君が身の上なるべきをおもひて、
須臾
(
しゆゆ
)
もベルナルドオの側を離れ候はざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その犬も
去
(
いぬ
)
る日
村童
(
さとのこ
)
に石を打たれて、左の
後足
(
あとあし
)
を破られしが、
件
(
くだん
)
の翁が薬を得て、その
痍
(
きず
)
とみに癒しとぞ。さればわれ直ちに往きて、薬を得て来んとは思ひしかど。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
左の眉の上に生々しい
痍
(
きず
)
があつて一筋の血が頬から耳の下に傳つて、胸の中へ流れてゐる。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
郊外にある
夏侯惇
(
かこうじゅん
)
の陣地まで急を告げに行くつもりだったろう。ところが、道を間違えて、彼方此方、馳けまわるうち、肩の
痍
(
きず
)
からあふれ出る血しおに、
眩暈
(
めまい
)
をおぼえて、また馬を捨ててしまった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
げに思ひいづ、
鳴神
(
なるかみ
)
の都の
騒擾
(
さやぎ
)
、
村肝
(
むらぎも
)
の心の
痍
(
きず
)
を。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
それに
痍
(
きず
)
もまだ充分ではなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
痍
(
きず
)
つける
悪
(
あく
)
のうごめき
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
痍
(
きず
)
にか、身に
逼
(
せま
)
る
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
痍
(
きず
)
に悩める胸もどき、ヴィオロン
楽
(
がく
)
の
清掻
(
すががき
)
や
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
咽喉
(
のんど
)
の
痍
(
きず
)
を見せし女かな
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
痍
(
きず
)
に悩める胸もどき、ヴィオロン
楽
(
がく
)
の
清掻
(
すががき
)
や
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
女の
鬢
(
びん
)
の古き
痍
(
きず
)
あと
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
痍
(
きず
)
に惱める胸もどき、ヸオロン
樂
(
がく
)
の
清掻
(
すががき
)
や
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
痍
(
きず
)
に惱める胸もどき、ヸオロン
樂
(
がく
)
の
清掻
(
すががき
)
や
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
痍
漢検1級
部首:⽧
11画
“痍”を含む語句
創痍
傷痍
瘡痍
矢痍
傷痍軍人
満身創痍
深痍
手痍
創痍満身
淺痍
槍痍
無痍
痍口
痍負
痍跡
痛痍
足痍