傷痍きず)” の例文
涙に泣き濡れたかの女の顔には、死ばかりか、心の傷痍きずをも救つて呉れた男に対する感謝の色がはつきりと上つて来てゐた。頭上では松の音が微かに鳴つた。
波の音 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
かくのごときの信仰治療法は無益なり、しかれども我信ぜざるを得ざれば信ずるなり、見よ下等動物の傷痍きずいやすにおいて自然法のすみやかにして実功多きを、清浄なる空気にまさる強壮剤のあるなく
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)