“いたみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
伊丹25.8%
25.8%
疼痛19.4%
苦痛6.5%
4.3%
痛味3.2%
痛苦3.2%
疚痛2.2%
傷心1.1%
悲傷1.1%
悲痛1.1%
損傷1.1%
板箕1.1%
疼通1.1%
1.1%
痛所1.1%
痛痒1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
天正六年に荒木攝津守せつつのかみ村重が攝津國伊丹いたみの有岡城にこもつて織田信長にそむいた。其時孝高は村重をいさめに有岡城に往つて、村重に生け捕られた。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
宮はやにはに蹶起はねおきて、立たんと為れば脚のいたみもろくも倒れて効無かひなきを、やうや這寄はひよりて貫一の脚に縋付すがりつき、声と涙とを争ひて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
三十九度内外の熱が少し静まると、胸の疼痛いたみが来たり、または激しい咳に襲われたりした。咳が少しいいと思うとまた高い熱に悩まされた。
生あらば (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
時々丑松は立留つて、人目の無い路傍みちばたの枯草の上に倒れて、声を揚げて慟哭どうこくしたいとも思つた。あるひは、其をたら、堪へがたい胸の苦痛いたみ少許すこしは減つて軽く成るかとも考へた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
貫一ははや幾間を急行いそぎゆきたり。宮は見るより必死と起上りて、脚のいたみ幾度いくたびたふれんとしつつも後を慕ひて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「切っちまっても、痛味いたみは感じないようにしてあげてあるよ」
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼の面容かおかたちを変らせていやり給う、その子貴くなるも彼はこれを知らず、卑賤いやしくなるもまたこれをさとらざるなり、ただ己みずからその心に痛苦いたみを覚え己みずからその心になげくのみ
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「太夫様お手ずから。……竜と蛞蝓なめくじほど違いましても、しょうあるうちはわしじゃとて、芸人の端くれ。太夫様の御光明おひかりに照らされますだけでも、この疚痛いたみは忘られましょう。」と、はッはッと息をく。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むしろ慚愧ざんき傷心いたみが多く、誇る気もちなどは毛頭ないが、あの事件は、相当世間の耳目を聳動しょうどうして、うわさの波を天下に拡げているらしい。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
犬烏あつまむ。天皇此のいざによぶ声を聞きて、心に悲傷いたみす。群卿にみことのりして曰く、それ生くるときにめぐみし所を以て亡者なきひとしたがはしむ。これ甚だいたきわざなり。それ古風といへども良からずば何ぞ従はむ。
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
鋭い良心の詰責とがめは、身をまもる余儀なさの弁解いひわけと闘つて、胸には刺されるやうな深い/\悲痛いたみを感ずる。丑松はぢたり、おそれたりしながら、何処へ行くといふ目的めあても無しに歩いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「この床の間ぢやよ、——見事な大幅での、げん時代のものにしては大した損傷いたみもなく、目の覺めるやうな極彩色ごくさいしよくぢや。五人の唐子からこ牡丹ぼたんの咲き亂れる庭で、遊んでゐる圖ぢや」
因って二里半歩み巨勢へ往き薬を求め還って見れば小舎の近傍に板箕いたみほど大きなあとありて小舎に入り、入口に血したたりて妻子なし。
かくて曲者は間近の横町にりぬ。からうじておもてげ得たりし貫一は、一時に発せる全身の疼通いたみに、精神やうやく乱れて、しばしば前後を覚えざらんとす。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
やがていたみもおちつきし
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
ひざ立て直さんとして、持病のリュウマチスの痛所いたみに触れけん、「あいたあいた」顔をしかめて癇癪かんしゃくまぎれに煙草盆の縁手荒に打ちたたき「松、松松」とけたたましく小間使いを呼び立つる。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
手芸を習ふか、縁付くか、どちらにしても、しかとした談話はなしの纒まるそれまでは、かうして気楽に暮すがよい。たとへば二年三年でも、汝一人をかうして置くが、乃公の痛痒いたみになりはせぬ。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)