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痛
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いたみ
ふりがな文庫
“
痛
(
いたみ
)” の例文
縦
(
よ
)
し一方が余の見立通り老人は唯一突にて
痛
(
いたみ
)
を感ずる間も無きうちに事切れたりと見定むるとも其一方が然らずと云わば何とせん
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
宮はやにはに
蹶起
(
はねお
)
きて、立たんと為れば脚の
痛
(
いたみ
)
に
脆
(
もろ
)
くも倒れて
効無
(
かひな
)
きを、
漸
(
やうや
)
く
這寄
(
はひよ
)
りて貫一の脚に
縋付
(
すがりつ
)
き、声と涙とを争ひて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その
苦
(
くるしみ
)
その
痛
(
いたみ
)
何とも形容することは出来ない。むしろ真の狂人となつてしまへば楽であらうと思ふけれどそれも出来ぬ。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
それがまた
寝
(
ね
)
せ
付
(
つけ
)
られるようで快い。今眼が覚めたかと思うと、また
生体
(
しょうたい
)
を失う。繃帯をしてから傷の
痛
(
いたみ
)
も止んで、何とも云えぬ
愉快
(
こころよき
)
に節々も
緩
(
ゆる
)
むよう。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
死力を
籠
(
こ
)
めたる細き
拇指
(
おやゆび
)
に、左眼
抉
(
ゑぐ
)
られたる松島は、
痛
(
いたみ
)
に堪へ得ぬ
面
(
かほ
)
、
僅
(
わづか
)
に
擡
(
もた
)
げつ「——秘密——秘密に——名誉に関はる——早く医者を、内密に——」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
しかしこの私は学校を出て三十以上まで通り越せなかったのです。その苦痛は無論
鈍痛
(
どんつう
)
ではありましたが、年々
歳々
(
さいさい
)
感ずる
痛
(
いたみ
)
には相違なかったのであります。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
尚
(
なほ
)
去
(
さ
)
らざる
時
(
とき
)
は
全身
(
ぜんしん
)
に
冷水
(
れいすゐ
)
を
灌
(
そゝ
)
ぎて
其
(
その
)
痛
(
いたみ
)
全
(
まつた
)
く
去
(
さ
)
りし
故
(
ゆゑ
)
に、
其後
(
そのご
)
頭痛
(
づつう
)
の
起
(
おこ
)
る
毎
(
ごと
)
に
全身
(
ぜんしん
)
冷水灌漑
(
れいすゐくわんがい
)
を
行
(
おこな
)
ひしが、
遂
(
つひ
)
に
習慣
(
しふくわん
)
となり、
寒中
(
かんちゆう
)
にも
冷水灌漑
(
れいすゐくわんがい
)
に
耐
(
た
)
ゆるを
得
(
え
)
たり。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
その日も
何心
(
なにごころ
)
なく一皿の
中
(
うち
)
少しばかり食べしがやがて二日目の
暁方
(
あけがた
)
突然
腸
(
はらわた
)
搾
(
しぼ
)
らるるが如き
痛
(
いたみ
)
に目ざむるや、それよりは
夜
(
よ
)
の
明放
(
あけはな
)
るるころまで
幾度
(
いくたび
)
となく
廁
(
かわや
)
に走りき。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
怪我は
両臂
(
りょうひじ
)
を傷めたので骨には
障
(
さわ
)
らなかったが
痛
(
いたみ
)
が久しく
息
(
や
)
まなかった。五郎作は十二月の末まで名倉へ通ったが、臂の
痹
(
しびれ
)
だけは跡に
貽
(
のこ
)
った。五十九歳の時の事である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
良
(
よ
)
い
薬
(
くすり
)
が
有
(
あ
)
るから……お
美那
(
みな
)
や
其粉薬
(
そのこぐすり
)
を
出
(
だ
)
して
遣
(
や
)
んな……
此薬
(
これ
)
は
他
(
ほか
)
にない
能
(
よ
)
く
効
(
き
)
く
薬
(
くすり
)
だからな……
血止
(
ちど
)
めには
善
(
よ
)
く
効
(
き
)
くし、
直
(
す
)
ぐに
痛
(
いたみ
)
が
去
(
さ
)
るから、
此薬
(
これ
)
を
遣
(
や
)
るから
此方
(
こつち
)
へ足を出しな。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
痛
(
いたみ
)
おおきマリア様、どうぞお
恵
(
めぐみ
)
深く、お顔をこちらへお向け遊ばして、わたくしの悩みを御覧なされて下さいまし」という句に始まる
祈祷
(
きとう
)
は哀調にみちた美しい祈りであると思う。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
ああ神よ
恕
(
じょ
)
し賜え、
爾
(
なんじ
)
は爾の子供を
傷
(
きずつ
)
けたり、彼は
痛
(
いたみ
)
のゆえに爾に近づくこと
能
(
あた
)
わざりしなり、爾は彼が祈らざる故に彼を捨てざりしなり、
否
(
い
)
な、彼が祈りし時に
勝
(
まさ
)
りて爾は彼を恵みたり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
怪物
(
ばけもの
)
に負けない
禁厭
(
まじない
)
だ、と
鱏
(
えい
)
の針を
顱鉄
(
はちがね
)
がわりに、
手拭
(
てぬぐい
)
に畳込んで、うしろ
顱巻
(
はちまき
)
なんぞして、非常な
勢
(
いきおい
)
だったんですが、
猪口
(
ちょこ
)
の
欠
(
かけ
)
の踏抜きで、
痛
(
いたみ
)
が
甚
(
ひど
)
い、お
祟
(
たたり
)
だ、と人に
負
(
おぶ
)
さって帰りました。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紙
(
かみ
)
へ
伸
(
のべ
)
て
腫物
(
しゆもつ
)
の上に
貼置
(
はりおき
)
けるに其
夜
(
よ
)
亥刻頃
(
よつごろ
)
より痛む事甚だ
敷
(
しく
)
曉方
(
あけがた
)
に成て
自然
(
しぜん
)
と
潰
(
つひ
)
え
膿
(
うみ
)
の出る事
夥多敷
(
おびたゞしく
)
暫時
(
しばらく
)
有て
痛
(
いたみ
)
は
忘
(
わす
)
れたる如く
去
(
さり
)
ければ少しづつ
動
(
うご
)
かし見るに是迄
寢返
(
ねがへ
)
りも自由に成ざりし足が
膝
(
ひざ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
扨、先間
便
(
びん
)
に差下候字は
痛
(
いたみ
)
なく相屆候哉、自然御披見被
レ
下候半。
遺牘
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
ひそやかな
痛
(
いたみ
)
の種子を
蒔
(
ま
)
き、645
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
沁
(
し
)
み渡る目の
痛
(
いたみ
)
を覚えて。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
痛
(
いたみ
)
知るささやきながら
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
朱
(
あけ
)
の
斑
(
ふ
)
の
痛
(
いたみ
)
と、はたや
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
午後は体もぬくもり殊に今日は
痛
(
いたみ
)
もうすらぎたれば静かに俳句の選抜など余念なき折から、
本所
(
ほんじょ
)
の茶博士より一封の郵書来りぬ。
披
(
ひら
)
き見れば他の
詞
(
ことば
)
はなくて
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
で、
弥
(
いよいよ
)
移居
(
ひっこし
)
を始めてこれに
一朝
(
ひとあさ
)
全潰
(
まるつぶ
)
れ。傷も
痛
(
いたん
)
だが、何のそれしきの事に
屈
(
めげ
)
るものか。もう健康な時の心持は
忘
(
わすれ
)
たようで、全く
憶出
(
おもいだ
)
せず、何となく
痛
(
いたみ
)
に
慣
(
なじ
)
んだ形だ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
恋という字の耳に響くとき、ギニヴィアの胸は、
錐
(
きり
)
に刺されし
痛
(
いたみ
)
を受けて、すわやと躍り上る。耳の裏には
颯
(
さ
)
と音がして熱き血を
注
(
さ
)
す。アーサーは知らぬ顔である。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三右衛門は
灼
(
や
)
けるような
痛
(
いたみ
)
を頭と手とに覚えて、
眩暈
(
めまい
)
が
萌
(
きざ
)
して来た。それでも自分で自分を励まして、
金部屋
(
かねべや
)
へ引き返して、何より先に金箱の錠前を改めた。なんの異状もない。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それ故段々
痛
(
いたみ
)
が
烈
(
はげ
)
しくなり、
随
(
したが
)
って気分も悪くなり、
終
(
つい
)
にはどっと寝ました。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
妻の足の
痛
(
いたみ
)
は
忽
(
たちま
)
ち下腹に
転
(
うつ
)
りて、彼は得堪へず笑ふなりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
恋愛の
痛
(
いたみ
)
を
鎮
(
しずむ
)
る妙薬。
怨恨
(
えんこん
)
を激する昂奮剤。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
火で焼く
痛
(
いたみ
)
が見たいのか。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
余は
痛
(
いたみ
)
をこらへながら病床からつくづくと見て居る。痛い事も痛いが
綺麗
(
きれい
)
な事も綺麗ぢや。(四月十五日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
沁み渡る目の
痛
(
いたみ
)
を覚えて。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
この二、三日は右向になつての仕事が過ぎたためでもあるか
漸
(
ようや
)
く減じて居た局部の
痛
(
いたみ
)
がまた少し増して来たので、座敷へ移つてからは左向に寐て痛所をいたはつて居た。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
“痛(痛み)”の解説
本記事では神学、哲学、文学等々で扱われている痛みあるいは苦痛 (いずれも pain)を扱う。
痛みについては、(医師などばかりでなく)哲学者や神学者などもしばしば論じてきた。近年では、人間の経験(や現象)というものが持つ基本的な性質に関して哲学的な議論を行うときや、クオリアについて論じる時などに、しばしば言及されている。
(出典:Wikipedia)
痛
常用漢字
小6
部首:⽧
12画
“痛”を含む語句
痛痒
苦痛
悲痛
頭痛
疼痛
痛所
痛々
心痛
手痛
痛苦
腹痛
痛快
痛事
痛入
痛恨
痛切
歯痛
頭痛膏
痛足
痛心
...