“転”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
ころ46.9%
まろ17.6%
ころが9.3%
うた7.1%
4.2%
てん3.2%
かえ2.0%
1.2%
うたた1.2%
まわ0.7%
かわ0.7%
うつ0.5%
まろば0.5%
ころば0.5%
めぐ0.5%
のめ0.3%
ウタヽ0.3%
くるめ0.3%
コロ0.3%
うたゝ0.2%
かは0.2%
0.2%
くつが0.2%
こけ0.2%
ごろ0.2%
そら0.2%
なま0.2%
0.2%
0.2%
ほろ0.2%
めぐら0.2%
ウタタ0.2%
ウタテ0.2%
クルメ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
少年しょうねんどくおもって、さかのぼるときに、そのくるまあとしてやりました。するとくるまうえから、ちいさないしころが一つころちました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二度目にさけんだ時は、武蔵はもう前後もわきまえなかった。ただ燃え苦しむ火のかたまりのように駈けまろんで行って、愚堂のあしもとへ
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口の中にかう言つて、かれは僧衣ころもの上に袈裟けさをかけて、何年ともなく押入の中に空しくころがつてゐた鉄鉢てつばつを手にして、そして出かけた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
予在外中しばしば屠場近く住み、多くの牛が一列に歩んで殺されに往くとて交互哀鳴するを窓下に見聞して、うた惨傷さんしょうえなんだ。
まだ薄暗い方丈の、朝露に濡れた沓脱くつぬぎ石までけつまろびつ走って来た一人の老婆が、まばらな歯をパクパクと噛み合わせてあえいだ。
中学校にてんずるのを機として、教育大学附属の中学校に入れて貰うことが出来た。私の家も、もとの焼けあとに小屋を作ることが出来た。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
不意に自己を失ったような引ッくりかえかたをした白衣の体には、どこから飛んで来るのやら、得態えたいの知れぬ矢が突き刺さッていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は細君が髭の存在を認めたことが分ると、早速向きをえて、二度と髭に触らせない様に、蒲団を被って、グウグウ空鼾そらいびきをかき出したものだ。
一人二役 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
読む者をして百年の地上に明滅する種々雑多な人間の浮沈と文化の興亡とを、一巻に偲ばせて、うたた深思しんしの感慨にふけらしめる魅力がある。
三国志:01 序 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのそばには一ちょうの斧がげ出してあるが、風の具合でその白いがぴかりぴかりと光る事がある。他の一人は腕組をしたまま立ってまわるのを見ている。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鳰鳥はハッと身をかわし、危く初太刀しょだちを遁がれたが、そのままバタバタと大岩の上を山手の方へ逃げて行った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
幾年いくとせ聞かざりしその声ならん。宮は危みつつも可懐なつかしと見る目を覚えず其方そなたうつせば、鋭くみむかふる貫一のまなこ湿うるほへるは、既に如何いかなる涙の催せしならん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
雪頽なだれといふ事初編しよへんにもくはしくしるしたるごとく、山につもりたる雪二丈にもあまるが、春の陽気やうきしたよりむし自然しぜんくだおつる事大磐石だいばんじやくまろばしおとすが如し。
さればこゝに一証をたるゆゑ、此雪譜せつふ記載きさいして后来こうらいしめすは、かゝる瑣談さだんも世に埋冤まいゑんせん事のをしければ、いざさらばとて雪にころばす筆の老婆心らうばしんなり。
『地上のもの、宇宙のもの、すべてはめぐめぐっている。た身が、今は、される身となったか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
というがはやいか、段に片足を上げて両手をく、裾を引いて、ばったり俯向うつむけのめった綺麗な体は、ゆわえつけられたように階子に寝た。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
花見れば花に慰まずウタヽ益、花になぞへて、人を思ふに、心痛むを覚えるのである。秋と言ふほど、愈心が痛いのである。
副詞表情の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
日は此屋敷からは、稍ひつじさるによつた山の端に沈むのである。西空の棚雲の紫に輝く上で、落日は俄かにくるめき出した。その速さ。雲は炎になつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其他にも幾多の芸能文学が出没したが、すべて皆奴隷宗教家の口舌の上にコロがされることによつて維持せられて来た事も、一つの忘るべからざる事実である。
黄表紙も可なり、道行も可なり、其形式を保存するはほ忍ぶ可し、想膸を学び、理想を習ふに至つては、余輩明治文学を思ふ者をして、うたゝ、慨歎にへざらしむ。
信号燈シグナルは赤くかはってすきとほり
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
妻のかいなは、羅生門の鬼の腕を思わせる。しがみついていた良人の衾は引き剥がれ、まろくしていた背も、こッち向きに、引っり返されて。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今夜こよひのおめでたを申さんとてこそやどはいでたれ、なにやつのしわざにや、ほりあげの道きのふとはちがひてあしもとあしくしおきたれば、あやまちてこけたるがまどをもおしやぶりておち入たる也
彼は手をたたいて、下女を呼んで今夜の急行列車の寝台しんだいを注文した。それから時計を出して、食事を済ましたあと、時間にどのくらい余裕があるかを見た。窮屈にれない二人はやがてごろりと横になった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だから吾儕われ/\も頭を痛めて居るのさ。まあ、聞き給へ。ある人は又た斯ういふことを言出した。瀬川君に穢多の話を持掛けると、必ず話頭はなしわきそらして了ふ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
諸国に多き栗栖くるす小栗栖おくるすの名は、『クズ』のなまりにあらずやと疑われ、紀伊国栖原浦に久授呂くずろ宮あり、社伝に国栖人の吉野より来りて祭れるものとなし、今国主宮と訛るという事実を引かれた
国栖の名義 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
ばあやゆっくり拝みねえッて、つかみかかった坊主を一人引捻ひんねじってめらせたのに、片膝を着いて、差つけて見せてやった。どうしてたまったもんじゃあねえ。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼はおそれて傍目わきめをもらざりけれど、必ずさあるべきを想ひてひとり心ををののかせしが、なほ唯継の如何いかなることを言出でんも知られずと思へば、とにもかくにもその場を繕ひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
商「エーイ主人がね此方こっひえようとすう、てもえ此方ほっひけようとする時にほろがりまして、主人の頭とうわしの頭とぼつかりました処が、石頭ゆいあさまいさかった事、アハアしべてえや」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
青年わかものは水車場を立ち出でてそのままちまたの方へと足をめぐらしつ、節々おりおり空を打ち仰ぎたり。間もなくちまたでぬ。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「不止而転」といふ字面のまゝ読むと、ウタテが何にかゝつてゐる副詞やら訣らなくなる。
言語の用語例の推移 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
日は、此屋敷からは、ヤヤヒツジサルによつた遠い山のに沈むのである。西空の棚雲の紫に輝く上で、落日ラクジツは俄かにクルメき出した。その速さ。雲は炎になつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)