)” の例文
旧字:
彼は細君が髭の存在を認めたことが分ると、早速向きをえて、二度と髭に触らせない様に、蒲団を被って、グウグウ空鼾そらいびきをかき出したものだ。
一人二役 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
五郎次は槍を繰り出す暇がなく、ふいに身を向きえると石突きの方で、小次郎のえりがみの辺りをなぐり下ろした。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日射ひざしもそこばかりはものの朦朧もうろうとしてよどむあたりに、——そよとの風もない折から、根なしに浮いた板ながら真直まっすぐに立っていた白い御幣が、スースーと少しずつ位置をえて
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
どおーンと突き当ったのはいいが拳固げんころすところを、ヒラリとわされて
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それにも拘らず、彼は背筋がぞっとした。そして何か差迫った、恐ろしい危険に脅やかされているような気がして、いきなりナイフを逆手に持ち、懐中電燈を点けながら素早く身をわした。
空家 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
浪子が病みて地をえしより、武男は帰京するごとに母の機嫌きげんの次第にしく、伝染の恐れあればなるべく逗子には遠ざかれとまで戒められ、さまざまの壁訴訟の果てはこうじて実家さと悪口わるくちとなり
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
スースーと少しづゝ位置をへて、夢のやうに一すん二寸づゝ動きはじめた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
みよしともへ、二人はアッと飛退とびのいた。紫玉は欄干にすがって身をわす。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みよしともへ、二人はアツと飛退とびのいた。紫玉は欄干らんかんすがつて身をはす。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)