“移転”のいろいろな読み方と例文
旧字:移轉
読み方割合
ひっこ25.7%
ひっこし25.7%
ひつこし14.3%
うつ8.6%
ひきこし5.7%
いてん5.7%
こし5.7%
ひきこ2.9%
ひっこす2.9%
わたまし2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
或る人が来て、景色の好い上に馬鹿に安い地所があるから移転ひっこさないかと云うから、何処かと聞くと、市外五里の辺鄙な田舎いなかである。
駆逐されんとする文人 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
『……しかと、わからんが、もう移転ひっこしの荷を、ぼつぼつ本所へ送っているのは事実だ。然し吉良父子おやこが移った様子はまだないらしい』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お移転ひつこし下さいますなら、失礼ではございますが、私の計らひで百円ばかし差上げてもよろしいかと存じまして。」
あ、エウゲニイ、フェオドロイチの有仰おっしゃるには、本院ほんいん薬局やっきょく狭隘せまいので、これを別室べっしつの一つに移転うつしてはどうかとうのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
土地ところの牧師が、ある日通りかゝりに気をつけてみると、その男は今年にはつてから四度目の移転ひきこしの支度に忙しかつたらしかつた。
移転いてんさわぎも一型ひとかたついて、日々の生活もほゞ軌道に入ったので、彼女は泣く/\東京に帰った。妻も後影うしろかげを見送って泣いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「広田さんのお移転こしになるのは、こちらでございましょうか」
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
で、いろ/\思案の末が大家を説いて大杉氏を移転ひきこさすより外にはいゝすべが無かつた。
植木屋さんも何時いつまであんな物置小屋ものおきごやみたような所にも居られんで移転ひっこすなりどうなりするだろう。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その移転わたましの式の日、頼朝のいでたちは水干すいかんに騎馬で、前後左右、おびただしい武者を従え、新館の寝殿(正殿)にはいると、美しき御台所とならんで、出仕の武士三百余人に、えつを与えた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)