“ひっこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
引込74.6%
引越10.3%
移転7.1%
引籠1.6%
0.8%
却後0.8%
引起0.8%
引退0.8%
落籍0.8%
蟄居0.8%
転宅0.8%
転居0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
が、すぐ町から小半町引込ひっこんだ坂で、一方は畑になり、一方は宿のかこいの石垣が長く続くばかりで、人通りもなく、そうして仄暗ほのくらい。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「また引越ひっこしをされたようですが、今度は、さびしいところらしいですね」このように、誰かが私達に聞いてくれるとすると
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
しかも、泡鳴が清子を訪れたのは十二月の一日がはじめてで、十日にはもう大久保おおくぼ移転ひっこしている。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「だって、こうして引籠ひっこんでばかりいらっしゃらないで、御出掛に成ったら可いでしょうに……」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
頭山満とうやまみつるの邸へ逃込んだ印度人がとうとう判らなくなったり、早大の佐野学が某所にひっこんでいるんだなどと噂やら事実やらとにかく東京で有力な人の袖にすがれば、安全な事今も昔も大した変りはない。
鍵屋の辻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
『外国事』にいう、毘呵羅ひから寺に神竜ありて、倉中に往来す、奴米を取る時、竜却後ひっこむ、奴もし長く取れば竜与えず、倉中米尽くれば、奴竜に向い拝すると、倉やがて盈溢みちあふる(『淵鑑類函』四三七)。
さま/″\の評判が立ってちり/″\人がほか引起ひっこしてしまうから、白翁堂も薄気味悪くや思いけん、此処こゝ引払ひきはらって、神田旅籠町かんだはたごちょう辺へ引越ひっこしました。
あやうく鉄瓶の口へ顔を出した湯がおどり出しもし得ず引退ひっこんだり出たりしているに鍋は火にかけられる。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
世のいゝ時には一旦落籍ひっこんでもじきまたたものですが、当節のように世が悪くっては、芸妓もたいていではないので、落籍ひっこんだとしたら容易に出ません、あなた景気が宜くって御覧じろ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
長く田舎に蟄居ひっこんでいる父親に物をくされた愚痴が、また言い出された。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
御徒町おかちまち転宅ひっこしまして病気もあらかたなおりました。
私共が転居ひっこして来た時、裏の家主やぬしで貸してくれたものだから、もしやと思って、私は早速さっそく裏のうちへ行って訊ねてみると、案の条、婆さんが黙って持って行ったので。
一寸怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)