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引込
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ひっこ
ふりがな文庫
“
引込
(
ひっこ
)” の例文
そして
間
(
ま
)
もなく、
私
(
わたくし
)
の
住宅
(
すまい
)
として、
海
(
うみ
)
から二三
丁
(
ちょう
)
引込
(
ひっこ
)
んだ、
小高
(
こだか
)
い
丘
(
おか
)
に、
土塀
(
どべい
)
をめぐらした、ささやかな
隠宅
(
いんたく
)
を
建
(
た
)
ててくださいました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
が、すぐ町から小半町
引込
(
ひっこ
)
んだ坂で、一方は畑になり、一方は宿の
囲
(
かこい
)
の石垣が長く続くばかりで、人通りもなく、そうして
仄暗
(
ほのくら
)
い。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婆「何だか知りやしねえが
武士
(
さむらい
)
の娘で有りやすが、浪人してひやア此の山家へ
引込
(
ひっこ
)
んだ者じゃアはと評判ぶって居りやす、ひやア」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もし強く抑えたり持ったりすれば、全体がきっと崩れてしまうに違ないと彼は考えた。彼は恐ろしくなって急に手を
引込
(
ひっこ
)
めた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
左
(
さ
)
れば今僕は君の進退を賛成して居るから、君も
亦
(
また
)
僕の進退を賛成して、福澤は
能
(
よ
)
く
引込
(
ひっこ
)
んで居る、
旨
(
うま
)
いと
云
(
いっ
)
て誉めてこそ
呉
(
く
)
れそうなものだ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
(太吉も今は
引込
(
ひっこ
)
んでもいられず、恐る恐る這い出して来て、父のうしろに
寄添
(
よりそ
)
うと、重兵衛は鮓の折を
把
(
と
)
って、その眼さきに突き付ける。)
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
はてナと思って、そのまま見ているとまた何かがヒョイッと出て、今度は少し時間があってまた
引込
(
ひっこ
)
んでしまいました。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
『お前
怨霊
(
おんりょう
)
が見たいの、怨霊が見たいの。
真実
(
ほんと
)
に生意気なこというよ
此
(
この
)
人
(
ひと
)
は!』と言い放ち、つッと
起
(
たっ
)
て自分の部屋に
引込
(
ひっこ
)
んで
了
(
しま
)
った。僕は思わず
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
私はもう
後
(
あと
)
は聴いていなかった。
誰
(
たれ
)
を
憚
(
はばか
)
る必要もないのに、
窃
(
そっ
)
と目立たぬように
後方
(
うしろ
)
へ
退
(
さが
)
って、
狐鼠々々
(
こそこそ
)
と奥へ
引込
(
ひっこ
)
んだ。ベタリと机の前へ坐った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
所
(
ところ
)
が
仕合
(
しあわせ
)
にもミハイル、アウエリヤヌイチの
方
(
ほう
)
が、こんどは
宿
(
やど
)
に
引込
(
ひっこ
)
んでいるのが、とうとう
退屈
(
たいくつ
)
になって
来
(
き
)
て、
中食後
(
ちゅうじきご
)
には
散歩
(
さんぽ
)
にと
出掛
(
でか
)
けて
行
(
い
)
った。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
こちらは
可笑
(
おか
)
しくなってきて、ニヤニヤすると、向うも、毛色の変った、ジャップの少年なので、
気抜
(
きぬ
)
けしたのか、ニヤッと笑いかえして
引込
(
ひっこ
)
みました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
生まれつきひ弱で、勝気ではあっても強気なところが見えない。世間に出てからは他に押され気味で、いつとはなしに
引込
(
ひっこ
)
み
思案
(
じあん
)
に陥ることが
慣
(
なら
)
いとなった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
博士が燻製にあこがれること、実に、
旱天
(
かんてん
)
が
慈雨
(
じう
)
を待つの想いであった。秘書は、びっくりして、
引込
(
ひっこ
)
んだ。
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
宙は取次ぎの男が
引込
(
ひっこ
)
んで往った後で、伯父に向って云う謝罪の言葉を考えながら
黙然
(
もくぜん
)
と立っていた。
倩娘
(新字新仮名)
/
陳玄祐
(著)
隅っこの方に
引込
(
ひっこ
)
んで、素知らぬ顔をして窓の外の闇などを眺めて居る、磯上伴作の面上に、幾十人の視線が、痛くなるほど投げかけられましたが、肝心の磯上伴作は
奇談クラブ〔戦後版〕:01 第四の場合
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「イヤ、ところが、どうもそうではなさそうなんです」津村はそのまま
引込
(
ひっこ
)
みはしなかった。
殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
亀は花火のそばまで来ると首が自然に
引込
(
ひっこ
)
んでしまって出て来なかったのでありました。
赤い蝋燭
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
すると、もぐらのお母さんは子供を
引張
(
ひっぱ
)
って、ずんずん下の方へ
引込
(
ひっこ
)
んで行きました。
もぐらとコスモス
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
店の
跡
(
あと
)
を
譲
(
ゆず
)
った人も
素性
(
すじょう
)
はよし(もちろん売り渡したのだが)安心して
引込
(
ひっこ
)
めますよ。
巴里の秋
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
京都の
人
(
ひと
)
は、「
晴
(
はれ
)
がましい」という
言葉
(
ことば
)
を使う、すなわち東京のいわゆる、「きまりが悪い」の意で、目立つ所に立ち、多数の
環視
(
かんし
)
のもとに出ることを
晴
(
はれ
)
がましいといって
引込
(
ひっこ
)
むが
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
従順を装う彼の心の底から「今度はおとなしく何処までも
引込
(
ひっこ
)
んでいるぞ」と固き決意の閃きを感じて、これはしまったと思った。両雄
併
(
なら
)
び立たず、私は流を見詰めたまま暫く憮然としていた。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
黙って、おとなしく
引込
(
ひっこ
)
んでいてくれと話を
極
(
き
)
められました。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
で、私は度々
引込
(
ひっこ
)
みのならない
恥
(
は
)
ずかしい思いをした。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
... 六十までかけられましょうか。折角のお土産ですけれどもこれは一旦お
引込
(
ひっこ
)
ませになって
外
(
ほか
)
の良いのとお
取
(
とり
)
かえなすったらいいでしょう」と忠告されて大原は面目なく「そう致しましょう。今度は
貴女
(
あなた
)
に見立て戴いて上等のを ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
浪「おい、何をいやアがるのだ、湯に遣そうが遣されめえがお
前
(
めえ
)
の構った事じゃアねえ、生意気な事を云わねえで
引込
(
ひっこ
)
んでろい」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
途端に
引込
(
ひっこ
)
めた、
年紀
(
とし
)
の若い
半纏着
(
はんてんぎ
)
の手ッ首を、即座の冷汗と取って置きの
膏汗
(
あぶらあせ
)
で、ぬらめいた手で、夢中にしっかと
引掴
(
ひッつか
)
んだ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「実は喧嘩をしていたのです。妻も定めて無愛想でしたろう。私はまた
苦々
(
にがにが
)
しい顔を見せるのも失礼だと思って、わざと
引込
(
ひっこ
)
んでいたのです」
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「まあ、そうかい」、と
吃驚
(
びっくり
)
した拍子に、今迄の奥様がヒョイと奥へ
引込
(
ひっこ
)
んで、
矢張
(
やっぱり
)
尋常
(
ただ
)
の
阿母
(
かあ
)
さんになって了った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
私は
一切
(
いっさい
)
関係せず、
唯
(
ただ
)
独
(
ひと
)
り世の中を眺めて居る
中
(
うち
)
に、段々時勢が切迫して来て、
或日
(
あるひ
)
中
嶋
(
島
)
三郎助
(
さぶろうすけ
)
と
云
(
い
)
う人が私の処に来て、ドウして
引込
(
ひっこ
)
んで居るか。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
『しかし
我々
(
われわれ
)
は
随分酷
(
ずいぶんひど
)
い
田舎
(
いなか
)
に
引込
(
ひっこ
)
んだものさ、
残念
(
ざんねん
)
なのは、こんな
処
(
ところ
)
で
往生
(
おうじょう
)
をするのかと
思
(
おも
)
うと、ああ……。』
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
重兵衛はそのまま内へ
引込
(
ひっこ
)
むと、舞台は元に戻る。おつやは抜き足をして窓の下にゆき、閉めたる戸の外から、内の会話をぬすみ聴くように耳をすましている。
山風
(
やまかぜ
)
の音。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
だから格子を
外
(
はず
)
して降りようたって簡単にはゆかない。見す見す宝を前にして指を
銜
(
くわ
)
えて
引込
(
ひっこ
)
むより
外
(
ほか
)
しかたがないのであろうか。帆村は歯をぎりぎり噛みあわせて残念がった。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
表の
間
(
ま
)
に坐っていたお客も、船頭がオヤと言ってあっちの方を見るので、その方を見ると、薄暗くなっている水の中からヒョイヒョイと、昨日と同じように竹が出たり
引込
(
ひっこ
)
んだりしまする。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
とここまで……愛吉にお賤が言って聞かせて、見なさい、そういう御恩人だ、といっても、奴泡を吹いて、ブウブウの舌を
引込
(
ひっこ
)
ませない。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
甚「そうか無理にお借り申そうという訳じゃアねえ、じゃア
帰
(
けえ
)
りましょう、新吉黙って
引込
(
ひっこ
)
んで居るなえ
此処
(
こゝ
)
へ出ろ、借りて呉れ、ヤイ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私の知っている兄弟で、弟の方は家に
引込
(
ひっこ
)
んで書物などを読む事が好きなのに
引
(
ひ
)
き
易
(
か
)
えて、兄はまた
釣道楽
(
つりどうらく
)
に
憂身
(
うきみ
)
をやつしているのがあります。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ドウも貴様は
亜米利加
(
アメリカ
)
行
(
こう
)
の御用中不都合があるから
引込
(
ひっこ
)
んで謹慎せよと云う。
勿論
(
もちろん
)
幕府の引込めと云うのは誠に楽なもので、外に出るのは一向構わぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「今に見ておいて。
必然
(
きっと
)
あの人を呼んで、お前さん達に見せ付けて
与
(
や
)
るから……。嫌われたからと云って、すごすご指を
啣
(
くわ
)
えて
引込
(
ひっこ
)
むようなお葉さんじゃアないんだから……。
確乎
(
しっかり
)
頼むよ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
といって、このまま指をくわえて
引込
(
ひっこ
)
んでいるわけには、いかなかった。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
家
(
うち
)
を間違えたか知らと、
一寸
(
ちょっと
)
狼狽したが、標札に確に
小狐
(
おぎつね
)
三平とあったに違いないから、姓名を
名告
(
なの
)
って今着いた事を言うと、若い女は
怪訝
(
けげん
)
な顔をして、
一寸
(
ちょっと
)
お待ちなさいと言って
引込
(
ひっこ
)
んだぎり
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その
後
(
のち
)
は
彼
(
かれ
)
は
少
(
すこ
)
しも
外出
(
がいしゅつ
)
せず、
宿
(
やど
)
にばかり
引込
(
ひっこ
)
んでいた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
三田の三角の
所
(
とこ
)
の詰らない
所
(
ところ
)
に
引込
(
ひっこ
)
んで、それから
此方
(
こっち
)
へ
便
(
たよ
)
って来て、誠に私も三年越し喘息で、今にも死ぬかと思うが死なれもし無いで
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と指をかけようとする
爪尖
(
つまさき
)
を、
慌
(
あわただ
)
しく
引込
(
ひっこ
)
ませるを
拍子
(
ひょうし
)
に、
体
(
たい
)
を引いて、今度は
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
に、背中を土手へ寝るばかり、ばたりと腰を
懸
(
か
)
ける。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私はその頃まだ十七八だったろう、その上大変な
羞恥屋
(
はにかみや
)
で通っていたので、そんな所に居合わしても、何にも云わずに黙って
隅
(
すみ
)
の方に
引込
(
ひっこ
)
んでばかりいた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
喧
(
やかま
)
しい、
引込
(
ひっこ
)
んでいろ。」と、市郎は
疳癪
(
かんしゃく
)
を
起
(
おこ
)
して
呶鳴
(
どなり
)
付けた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
といって、
周章
(
あわ
)
てて衝立のかげに
引込
(
ひっこ
)
んだ。
大使館の始末機関:――金博士シリーズ・7――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そう、そう、そう来るだろうと思ったんだ。が、こうなれば刺違えても今更糸
的
(
こう
)
に譲って、指を
銜
(
くわ
)
えて、
引込
(
ひっこ
)
みはしない。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
番「何じゃ、
汝
(
おのれ
)
が出る幕じゃアない、汝は
飯炊
(
めしたき
)
だから台所に
引込
(
ひっこ
)
んで、飯の
焦
(
こげ
)
ぬように気を附けて
居
(
お
)
れ、
此様
(
こない
)
な事に口出しをせぬでも
宜
(
え
)
いわ」
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この亭主は
額
(
ひたい
)
が長くって、
斜
(
はす
)
に頭の
天辺
(
てっぺん
)
まで
引込
(
ひっこ
)
んでるから、横から見ると
切通
(
きりどお
)
しの坂くらいな
勾配
(
こうばい
)
がある。そうして上になればなるほど毛が
生
(
は
)
えている。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「は、」と、
頷
(
うなず
)
くと
斉
(
ひと
)
しく門を開けて
透
(
すか
)
して見る、と
取着
(
とッつき
)
が白木の新しい格子戸、
引込
(
ひっこ
)
んで奥深く門から敷石が敷いてある。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
込
常用漢字
中学
部首:⾡
5画
“引込”で始まる語句
引込思案