“尋常”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
じんじょう25.6%
ただ18.3%
よのつね15.6%
じんじやう8.9%
たゞ6.7%
なみ6.7%
なみなみ2.8%
なみ/\2.8%
ひととおり2.8%
あたりまえ1.7%
ヨノツネ1.7%
あたりまへ1.1%
ひととほり1.1%
ひとゝおり1.1%
じみち0.6%
じんじゃう0.6%
つねなみ0.6%
ひとかた0.6%
ひとなみ0.6%
まっとう0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
謙譲のつまはづれは、倨傲きょごうえりよりひんを備へて、尋常じんじょう姿容すがたかたち調ととのつて、焼地やけちりつく影も、水で描いたやうに涼しくも清爽さわやかであつた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「あら! ……」と忽ち機嫌を損ねて、「だから阿母かあさんは嫌いよ。じきああだもの。尋常ただのじゃ厭だって誰も言てやしなくってよ。」
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
こは深き憂にあたれるが爲めなるべけれど、その憂は貧か戀か、そも/\別に尋常よのつねならざる祕密あるか。これを知るもの絶て無しとぞ。
良兼は何様どうかして勝を得ようとしても、尋常じんじやうの勝負では勝を取ることが難かつた。そこで便宜べんぎうかゞひ巧計を以て事をさうと考へた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
花里花魁自分を名指してくれたお客を見ますると、成程新造の申しました通り美男子いゝおとこで、尋常たゞのへっぽこ職人じゃアないらしく思われます。
男「えお嬢さん、お見かけ申せば何うも尋常なみならぬ御様子でげすが、何処へいらしッたのでげす、今おけえりになるんでげすかえ」
それでも後進生や門下生が帰服していたのは紅葉が文壇に勢力があったばかりでなく、尋常なみなみならぬ熱情と親切とを持っていたからであった。
箪笥たんす抽斗ひきだしより取出して見せけるを彦兵衞大いにかんじ偖々御信心なる事尋常なみ/\の者には勿々なか/\出來難き御事なるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ところで大津法学士は何でも至急に結婚して帰京の途中を新婚旅行ということにしたいと申出たので大津家は無論黒田家の騒動さわぎ尋常ひととおりでない。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いわばこのうち奴隷おいはくりで、尋常あたりまえに雇うとお金を出さなければならないから、養子という事にしただけの人間だよ。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
昔を守ることばかりはいかついが、新しいことの考へは唯、尋常ヨノツネの婆の如く、愚かしかつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
聞てくれ尋常あたりまへの手紙にては手前も一けん主人あるじ容易よういに出て來る氣遣きづかひはないと思ひしゆゑ我等が謀計はかりごとにて九死一生なりと云てやれば如何に遠國ゑんごくにてもことに寄たら來るべしと思ひての事なりしがかくかほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なるほど承つてみますれば、そんなものでござりまするか存じませぬが、何分にも今晩のうちの人の立腹は尋常ひととほりの事ではござりませぬ。
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
其の年の秋までに謀策たくみ仕遂しおおせるのに一番むずかしいものは、浮舟うきふねという老女で年は五十四で、男優おとこまさりの尋常ひとゝおりならんものがいて居ります。此者これを手に入れんければなりません。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
引張りかかるに『何じやぞえ。私が逃げるものではなし。往来中での大声は、ちと嗜んで貰ひましよ。私に話はない筈ながら、あるといはんす事ならば、詮方がないゆゑ行きまする。人通りのない処で、尋常じみちに話すが好ござんせう』
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
とらへてくれう。……やい、モンタギューめ、破廉恥はれんち所行しょぎゃうめい。うらみ死骸むくろにまでおよぼさうとは、墮地獄だぢごく人非人にんぴにんめ、引立ひきたつる、尋常じんじゃういてい。けてはおかぬぞ。
かゝらではもどらるゝことかはさるにても此病人このびやうにんのうへにこの生計くらしみぎひだりもおひとつにりかゝるよしさまが御心配ごしんぱいさぞなるべし尋常つねなみならば御兩親ごりやうしん見取みと看護かんごもすべき餘所よそ見聞みきくるしさよとかへなみだむねみてさしのぞかんとする二枚戸にまいど
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
奥様はコンな幸福は無いツて喜んで在らつしやいましたが、感冒おかぜの一寸こじれたのがもとあへない御最後でせう——私は尋常ひとかたならぬ御恩おめぐみに預つたもんですから、おしまひ迄御介抱申し上げましたがネ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
妻は尋常ひとなみより小きに、夫はすぐれたる大兵だいひよう肥満にて、彼の常に心遣こころづかひありげの面色おももちなるに引替へて、生きながら布袋ほていを見る如き福相したり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お互い尋常まっとうのくらしをしていて、別れるというなら話になる。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)