尋常なみ/\)” の例文
箪笥たんす抽斗ひきだしより取出して見せけるを彦兵衞大いにかんじ偖々御信心なる事尋常なみ/\の者には勿々なか/\出來難き御事なるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
親兄弟に恥を見するな、貴樣にいふとも甲斐は無けれど尋常なみ/\ならば山村の若旦那とて、入らぬ世間に惡評もうけず、我が代りの年禮に少しの勞をも助くる筈を
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何分にも御承知の如き尋常なみ/\ならぬ男なので御座りまするから、執事等も陰では皆な苦慮致し居りまするものの、誰も言ひ出し兼ねて居るので御座ります——如何いかがで御座りませう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ゆう拔群ばつくん小兒こせがれなり、尋常なみ/\なる鬼胎おにのはらより
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
繼ぎ其上九助伯父九郎兵衞と申者も名主惣内母後家ごけ密通みつつう致し居り尋常なみ/\ならぬ中ゆゑ親類ない相談さうだんの上にて里へ金五十兩付て離縁りえんいたし其後惣内と夫婦に相なり伯父九郎兵衞も介抱かいはう人と名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あまりの無分別むふんべつひとふところでもねらうやうにならば、はぢが一だいにとゞまらず、おもしといふとも身代しんだいは二のつぎ親兄弟おやけうだいはぢするな、貴樣きさまにいふとも甲斐かひけれど尋常なみ/\ならば山村やまむら若旦那わかだんなとて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
送りけるが娘お幸は今年ことし十七歳となり尋常なみ/\の者さへ山茶も出端でばなの年頃なるにまして生質うまれつき色白いろしろにして眼鼻めはなだちよく愛敬あいきやうある女子をなごなれば兩親りやうしんは手のうちたまの如くにいつくしみ手跡しゆせき縫針ぬひばりは勿論淨瑠璃三味線も心安き方へ頼みならはせ樂みくらして居ける處に一日あるひ長八は淺草觀音へ參詣なし夫より上野の大師へ參らんと車坂くるまざか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)