-
トップ
>
-
尋常
>
-
じんじやう
良兼は
何様かして勝を得ようとしても、
尋常の勝負では勝を取ることが難かつた。そこで
便宜を
伺ひ巧計を以て事を
済さうと考へた。
安井は
門口へ
錠を
卸して、
鍵を
裏の
家へ
預けるとか
云つて、
走けて
行つた。
宗助と
御米は
待つてゐる
間、
二言、
三言、
尋常な
口を
利いた。
殺せしや
餘りと言へば恩知らず
憎き
仕方なりサア
尋常に
白状されよと云ひければ段右衞門
輾々と
打笑ひ
汝ぢ女の
分際として何を
知べきや三五郎を
また
其甲板の
下部には
數門の
大砲等の
搭載て
居るのではあるまいか、
其船脚は
尋常ならず
深く
沈んで
見える。
私アお
前にりん
病が
起つても
直に
療る
禁厭を
教へて
遣らう、
縄を持つて
来な、
直に
療らア。主人「はてな…へえゝ。弥「
痳病(
尋常)に
縄にかゝれと
云ふのだ。 ...
久し
振りの
妾が帰郷を
聞て、親戚ども
打寄りしが、母上よりは
却て
妾の顔色の常ならぬに驚きて、
何様尋常にてはあらぬらし、医師を迎へよと口々に
勧め呉れぬ。
が、いぢけたのでも
縮んだのでもない。
吹込む
煙に
惱亂した
風情ながら、
何處か
水々として
伸びやかに
見える。
襟許、
肩附、
褄はづれも
尋常で、
見好げに
釣合ふ。
「
來てくんねえか」と
彼は
簡單にさういつて、
思ひ
出したやうに
又雪を
蹴つて
走つた。
慌てた
彼は
閾も
跨なかつた。
南の
家の
亭主は
勘次の
容子を
見て
尋常でないことを
知つた。
薄い頭髪、然うとは見えぬやうにきように
櫛卷にして、
兩方の
顳顬に
即効紙を張ツてゐた。
白粉燒で
何方かといふと色は
淺黒い方だが、鼻でも口でも
尋常にきりツと締ツてゐる。
宗助はさういふ
方面に
丸で
經驗のない
男ではなかつたので、
強ひて
興味を
裝ふ
必要もなく、たゞ
尋常な
挨拶をする
所が、
却つて
主人の
氣に
入るらしかつた。
助んと
云心底は
嬉しけれども
其は
無益の事なり我は
其外にも
科多ければとても
遁れぬ
身なるにより
尋常に
科を
蒙らんと申にぞ喜八は
差俯向て
詞なし大岡殿暫時
兩人の
詞を
尋常な、
婦の
人ほどに
見えつけ。
等身のお
祖師様もござれば
丈六の
弥陀仏も
居さつしやる。
五
秒、十
秒は
大叫喚、あはや、
稻妻は
喰伏せられたと
思つたが、
此犬尋常でない、
忽ちむつくと
跳ね
起きて、
折から
跳り
掛る
一頭の
雄獅の
咽元に
噛付いて、
一振り
振るよと
見へたが
貧乏な
小作人の
常として
彼等は
何時でも
恐怖心に
襲はれて
居る。
殊に
其の
地主を
憚ることは
尋常ではない。さうして
自分の
作り
來つた
土地は
死んでも
噛り
附いて
居たい
程それを
惜むのである。
かう
云ふ
惡戯をする
年頃の
娘は
固よりの
事、
子供と
云ふ
子供を
育て
上げた
經驗のない
宗助は、
此小さい
赤い
夜具の
尋常に
日に
干してある
有樣をしばらく
立つて
眺めてゐた。
葬禮の納め物となすならば寺へこそ
納める
筈なれ何ぞ
燒場へ納めると云
法の
有んやサア
尋常に白状致せ不屆者め
夫責よと言葉の下より
手先の者共
笞を
揚て左右より彌十の
股を
岩魚の
大を三
匹食つて
咽喉を
渇かすやうな
尋常なのではない。
和井内自慢のカバチエツポの
肥つた
処を、
二尾塩焼きでぺろりと
平げて、あとをお
茶漬さら/\で
小楊子を
使ふ。……
氣球がいよ/\
大陸の
都邑に
降下して
後、
秘密藥品の
買收から、
竊かに
船に
艤裝して、
橄欖島へ
赴く
迄の
間の
駈引は
尋常な
事で
無い、
私は
早くも
櫻木大佐の
心を
讀み
得たので、
自ら
進み
出た。
尋常ぢや
乘切れないもんですから、そのまんま……そツとでせうと
思ひますがね、——それとも
下敷は
潰れても
構はない、どかりとだか
何うですか、
汽船の
屋根へ、
頭をまたいで
十度、これを
洗ひたるものは、
生れし
兒 清秀にして
貴し。
洗ふこと
二三度なるものは、
尋常中位の
人、まるきり
洗濯をしないのは、
昏愚、
穢濁にして、
然も
淫亂だ、と
教へたのである。
生えた……などと
尋常な
事は
言ふまい。「
出た」とおばけらしく
話したい。
空模樣は、その
癖、
星が
晃々して、
澄切つて
居ながら、
風は
尋常ならず
亂れて、
時々むく/\と
古綿を
積んだ
灰色の
雲が
湧上る。とぽつりと
降る。
降るかと
思ふと、
颯と
又暴びた
風で
吹拂ふ。
恁うまで
情の
昂ぶつた
処へ、はたと
宿から
捜しに
出た
一行七八人の
同勢に
出逢つたのである……
定紋の
着いた
提灯が
一群の
中に
三ツばかり、
念仏講の
崩れとも
見えれば、
尋常遠出の
宿引とも
見えるが