-
トップ
>
-
七八人
お
職業はと
問へば、いえ
別段これといふ
物も
御座りませぬとて
至極曖昧の
答へなり、
御人數はと
聞かれて、
其何だか
四五人の
事も
御座りますし、
七八人にもなりますし
七八人群飮むに、
各妻を
帶して
並び
坐して
睦じきこと
限なし。
更闌けて
皆分れ
散る
時、
令史が
妻も
馬に
乘る。
婢は
又其甕に
乘りけるが
心着いて
叫んで
曰く、
甕の
中に
人あり。と。
恁うまで
情の
昂ぶつた
処へ、はたと
宿から
捜しに
出た
一行七八人の
同勢に
出逢つたのである……
定紋の
着いた
提灯が
一群の
中に
三ツばかり、
念仏講の
崩れとも
見えれば、
尋常遠出の
宿引とも
見えるが